どうもふくねこです。
法律が専門分野なのに、どのように書こうかと迷っているうちに全然関係ない投稿ばかりしていたので今回こそちゃんと書こうと思います!
もし、このようなケースに陥った場合、送金元と送金先の取引所に連絡するのが一番です。実際まだ送金が完了していない場合や、送金先のアドレスが存在しない場合はこの取引所への連絡で解決します。
しかし、今回のケースは確実にCさんのもとに送金が完了しています。送金先のアドレスがCさんのものであるというのを解明するのは、暗号化されている以上かなり困難です。
取引所に対してもし何らかの情報を教えてほしい場合は、プロバイダ責任法に基づく情報開示請求ができますが、請求が認められるかはわかりません。
もし誤送金先がCさんだとわかった場合、Aさんは錯誤(民法95条本文)を主張してCさんへの送金の無効と、それに伴う不当利得返還請求(民法703条)ができます。
しかし、ここで返還請求できるのは「現存利益」という、現に受けている利益に限られ、一般に「浪費」は「現存利益」に含まれないと考えられています。なので、誤送金ををきっかけに投機性の高いFXに使われたBTCは「浪費」に当たるとされ、現在の残額の20BTCしか返還請求できない可能性が高いです。
(内田著・民法Ⅰに基づいています)
第95条(錯誤)
意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。
第703条(不当利得の返還義務)
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
当たり前かもですけど、このように誤送金された仮想通貨は取り戻しが非常に困難なので、送金の際はしっかり確認してからしましょう
「浪費なら返さなくていいから誤送金されたらラッキー!!」って思うかもしれませんが、刑事上の責任は問われる可能性があります。法定通貨の話ですが、銀行で誤振り込みを知ってて引き出した人は窃盗罪(刑法235条)に問われています。
仮想通貨は、窃盗の対象になる「財物」に当たるとは考えられていないので窃盗罪が成立する可能性はないと思いますが、気を付けた方が賢明だと思います。
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