世の中には、がんばり過ぎる女性が多い。
真面目で、完璧主義。全てをこなそうと
エネルギーを注いでしまう。
かく言う私にも、「がんばりや」の傾向はあるけれど
様々な書籍を読んだり、経験したことから
3つの考え方を取り入れ、まずは
「長期のがんばりすぎ」から手放すことにした。
なお、「短期のがんばり」は女性の人生には
(特に育児には)不可欠なことの方が多いので、逆に「今まで人生で特別がんばった経験がない…」
という方も落ち込まなくていいとおもう。
そして、結婚や育児を通らない人生だったとしても
それはそれで「がんばらない」わけには行かない
山場みたいなものは誰しも必ずあらわれるはずだから(もしくはもう乗り越えてしまったから、最近の
がんばりは感覚としてがんばりすぎではなくなった)どちらにしても、不安にならなくていいのではと考えている。
有川真由美さんの著書
感情に振りまわされない―― 働く女(ひと)のお金のルール 自分の価値が高まっていく稼ぎ方・貯め方・使い方
という本の中に、有川さんの友人である80代の女性のエピソードが登場する。
この女性は、現役時代は教師として働き、生涯を独身で終えた。
普段は、身なりも生活スタイルも大変質素な生活をしているが、
ひとたび「見てみたい景色」や「やってみたいこと」を閃くと、
まとまったのお金をパッと使って、たちまち自分の叶えたいことを実現する。
有川さんは、そんな彼女に尋ねる。
「どこにそんなお金があるのですか?」
そして、彼女の答えはこのような感じ。
「使わないで置いていただけよ」※
「父親によく言われたの。お金の蛇口は、普段は締めておく。
お金が必要になった時に、ジャーっとひねって出せばいいだけ」
※2019年現在のお金の管理は、昔の銀行預金のように
「置いているだけ」とはいかない。が、本筋は
そこではないので、今回は割愛させて頂く。
私はこの本から「お金」や「仕事」についての
考えも大いに参考にしているが、
「がんばる」についても同じなのではないかと考えた。
「がんばる」も「蛇口を締めてもいい」また
「蛇口は締められる」し「蛇口はもう備わっている」
真面目だろうと不器用だろうと責任があろうと
女子力が高かろうと子育てや介護をしていようと
水もお金も「がんばり」も、常に全開で流さなくてもいい。
あなたが「がんばりや」なことは
周囲も、絶対に絶対に、よくわかっている。
あとは「がんばり」を調節するだけ。
蛇口の存在にハッと気づき、
蛇口を締めたり、ゆるめたり。
がんばるのをやめたり、ほんのちょっとだけ頑張ったり。
ひねる手首の動きや向きをゆったりと観察し、
コントロールできるようになってはじめて
「がんばり」が輝き出すかもしれない。
ファッションもイラストもデザインもお金遣いも。
なんでもメリハリがあると、一気に面白くなるものだ。
常に「がんばりすぎ」を強要される環境からは、自分を守るために離れる。
「がんばりすぎ」を強要される環境を「無意識に選んでしまう」必要もない。
特に「職業選択」の場では。
個人的には、職業というのは「自分にとってはそこそこのがんばり」と
「ちょっとした面白さややりがい」が交互に訪れて、なんとなく続けられる。
そんなものが一番なのではないかと思う。
他人にとってはびっくりするほどハードな職だったとしても
「自分にとってはそこそこのがんばり」に感じられる職は
世の中に意外とある。
ただ職業選択については私のせまい経験からの話なので、(選べる人は)
「がんばる」環境を、(無意識ではなく)「意図的に選ぶ」ことなども
アリだとは思う。
その選択も「がんばる」の「蛇口を調節できる」という話に繋がるので。
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また、私が29年、女として生きてきた中の感覚ではあるが…
「がんばり」を完璧に追求しているように見える女性ほど、
「蛇口の調節」を上手に身につけている人、だ。
「蛇口の調節」が上手な人は、必ずどこかでは「がんばっていない」
そして「がんばらない」自分のことを
「常にがんばらない私はダメな私」と、
自己肯定感を下げる考え方は、しない。
人間はずっとがんばれないもの、と知っていて、あっさり許す。
「ここで頑張らなくっていいよねー」と冷静沈着に
判断していたり、友人や家族に助けを求め、
甘いものを食べたりと、一息つくのがとっても上手だ。
どちらにしても、それを身に付けているのは
「がんばる」の蛇口の調節を許される環境にいたから。
または、いたことがあるから、だろう。
自分で蛇口のまだ見えない人は
一息つくことを誘ってくれる人の近くに。
または、「がんばる」の「蛇口は締めてもいいんだよ」
と言ってもらえる人のそばにいよう。
自分の「がんばりすぎ」を認めていい。
「蛇口」がついている「がんばる」を常に
流し続けると、大きな大きなコストがかかってしまう。
もしも「蛇口」から出るものが水なら、
水道代と、地球環境への負担というコストがかかり
「がんばる」でかかるコストは
肉体、精神の不調、病、治療費、時間、生命だ。
「常にがんばらない私はダメな私」などと思わず、あっさり許そう。
「それができたら苦労しないから!」
「仕事忙しいのに言ってる場合か!」
というツッコミを入れたくなるかもしれないので
もう一つ、ほぼ誰にでも共通の答えを用意しておく。
「肉体や脳」が原因で、「がんばれない」のだ。
「がんばらない私を許す」方にしてみれば
何を当たり前のことを…と笑ってしまうかもしれないが
・うっかり食事を忘れてしまう。
・なんとなく眠れない。
・肩こりや腰痛が辛い。
・風邪をにひきがち。
などは、人生で一度は経験するとは思う。
これらが「がんばりや」には、何度も何度も何度も
積み重なって起きてしまうことは、承知の通り。
食事を摂って、しっかり眠り、よく歩く。ストレッチをする。よく休む。
人間だって、肉体を持つ動物だ。
真面目だろうと不器用だろうと責任があろうと
女子力が高かろうと子育てや介護をしていようと。
「がんばる」の「蛇口を常に流しても」
人間である以上「肉体や脳」の
「標準装備(デフォルト)」には逆らえない。
「がんばれない」の解決方法は、
当たり前のようなことにあるのかもしれない。
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だが、これだけで終わってしまうと、納得しきれない部分もあると思う。
食事を摂って、しっかり眠り、よく歩く。ストレッチをする。よく休む。
が、「何をやってもどうしてもがんばれないとき」
が、きてしまうのは、なぜなのか?
この「何をやってもどうしてもがんばれないとき」を
「甘えていて根性がない私」と考えていたのだけれど
最近色々な書籍を当たるうちに、わかってきた。
どうもこの「常にがんばれない」症状の原因も
「肉体や脳」の「標準装備(デフォルト)」らしい。
中でも衝撃を感じた事実を2つ、再び書籍から引用してみようと思う。
体や脳の機能については、有名な著書、詳しい著書はたくさんあるが、
私はそれらの詳細には全く疎い人間。
だからこそ、そんな私でも読めた「女性著書の、読みやすいメジャー本」を
今回は選んでみた。男性にもぜひおすすめしたい、2冊だ。
という本には、「自律神経」についての説明が
イラスト付きで、一目でわかるように解説してある。
自律神経のバランスが崩れると、体の不調が現れる。
原因は主にストレス。緊張や、気圧の変化などでも起こる。
中でも、気圧の変化は自然現象。
自律神経が人間の「標準装備(デフォルト)」である以上、
「何をやってもどうしてもがんばれないとき」は
大なり小なり、みんなに起こる。
決して「甘えていて根性がない私」のせいではない。
ちなみに、自律神経とは以下のようなものだ。
自律神経とは、人間の健康を維持するものだ。
内臓・血管・汗腺・筋肉
すべてをコントロールしている。知らないうちに(無意識下で)体内の環境を整えてくれる神経。
自律神経には、体を活動させる交感神経
体を休ませる副交感神経
の2つがある。
この2つがバランスをとりながら、シーソーのように健康を維持しているんだ!
(本書から引用)
妻のトリセツ
という本には、女性脳の仕組みについて、そして男性脳との違いについてが、
わかりやすく解説されている。
著書の黒川伊保子さんは、人工知能研究者、
脳科学コメンテイターの肩書きを持つ、脳のスペシャリストだ。
女性脳には、「類似体験記憶を一気に引き出し思い出す」
機能が備わっているのだという。
しかも、ネガティブな思い(=ネガティブトリガー)の方が、
発動しやすい傾向にあるらしい。
なぜ、こんな機能が?と疑問になる。
それは、子育てのため、なのだそうだ。
少し長くなるが、引用する。
過去の体験記憶を臨場感たっぷりに想起し、何十年分もの類似体験記憶を一気に引き出す力は、女性脳が子育てのために備えている標準装備だ。
人類は一個体が残せる子どもの数が少ないので、子育ては常に「新しい問題」に直面する。それを何百世代にもわたって培ってきた女性脳は、いつからか「新たな命題に対して、人生の記憶を総動員して瞬時に答えを出す機能」を備えるようになったと考えられる。
(中略)
女性脳は目の前の問題解決のために、過去の関連記憶を瞬時に引き出してダイナミックな答えを出す、究極の臨機応変脳なのである。
特に、怖い、辛い、ひどいといった危険に伴う体験記憶は、子どもを守るために「とっさに発動すべき」第一級重要情報であるがゆえに、それを引き出すネガティブトリガーは、周産期(妊娠、出産)と授乳期に格段にパワーアップする。
(引用)
私にはまだ子どもはいないので、パワーアップの感覚まではわからないが
大半の女性が、ネガティブな記憶を連鎖させて
思い出すことがある、という脳の機能の存在に、心の底から安心した。
ネガティブな過去の記憶をどんどん思い出してしまい、
囚われ、ぐるぐると考えこんでしまうような
「何をやってもどうしてもがんばれないとき」は、
女性の「脳」の「標準装備(デフォルト)」だった。
ネガティブな過去に囚われる、あの真っ暗な時間は、
私だけの苦しみではない。
「甘えていて根性がない私」ではなく、本当は
「大切な人を危険から守ることの出来る私」だった。
1「がんばる」の蛇口を調節すること
2「がんばる」の蛇口の調節を許される環境に身を置くこと
3「がんばれないとき」は「能力」のせいではなく
「肉体や脳」の「標準装備(デフォルト)」だということ
「がんばる」の蛇口を調節することで、
「長期のがんばりすぎ」を、ゆっくりと減らしていこう。
真面目で、不器用で、責任感があって。
女子力が高かったり、仕事や子育てや介護に日々全力で取り組む。
あなたが「がんばれる人」なのはもう、みんなが知っているから。
ポジティブでい続けるための、「がんばり」も手放そう。
時々、少しづつ、かろやかに。無理なく。ゆっくりと、力を抜こう。
大切な人を危険から守るためだから、
あなたは、ネガティブであってもいい。
「がんばれないとき」はみんなにある。