小池百合子東京都知事は2020年3月23日に記者会見を開き、新型コロナウイルス(COVID-19; coronavirus disease 2019)対策として4月12日までの3週間、密閉・密集・密接を避けることを要請しました。行事や会合の自粛も呼びかけました。ところが、月島三丁目南地区市街地再開発準備組合は2020年3月30日に臨時総会を開催する予定です。準備組合は東京都中央区で超高層ビルの建設を含む再開発を計画しています。総会では事業計画案や定款案の変更の承認など重要な議案が審議されます。
行事や会合の集会自粛要請は一般的な要請にとどまらず、都の各組織レベルでも徹底されています。都の都市整備局市街地整備部再開発課は3月26日に各区市の再開発担当に対し、「貴区市所管の市街地再開発組合並びに準備組合に対して、総会の開催延期を要請いただくようお願いいたします」とのメールを送付しています。再開発事業は巨額の税金が補助金として投入されるもので、要請を無視して開催を強行することは総合格闘技K-1さいたまスーパーアリーナ開催以上に問題があります。泣く泣くイベントを中止したアーティストらには許し難い行為に映るでしょう。
住民団体の「愛する月島を守る会」も総会の延期を求めています。「ご高齢な地権者も多い中、密閉空間での密集は、多くの命を脅かすことになりかねません。本会では地権者のいのち、またこの再開発にかかわるすべての人のいのちを守るために、総会の延期を求めています」
しかしながら、準備組合は依然として総会の中止や延期を表明していません。新型コロナウイルスの感染拡大により、リーマンショック以上の経済的な打撃が予想されています。経済的な打撃は、既に過熱気味と言われており、アフターオリンピックの下落が確実視されていた不動産市況に直撃するでしょう。
再開発事業はビルを建て、床を売却して建設費を賄う仕組みであり、不動産不況が深刻化すれば反対意見も強くなるでしょう。総会開催は駆け込み的な発想が感じられます。多くの企業や団体が新型コロナウイルス対応で生命や健康を守ることを最優先に掲げている中で、準備組合の見識が問われます。