日本マクドナルドは2021年6月23日から日本創業50周年を記念して思い出のバーガーを復活します。ジューシーチキン赤とうがらし、テキサスバーガー2021、トリチを期間限定で提供します。ジューシーチキン赤とうがらしは辛さが特徴の異色のメニューとして思い出があります。過去に発売した際も論評しました。
ジューシーチキン赤とうがらしは2008年7月24日に期間限定ではなく、レギュラーメニューとして販売しました。暑い季節には辛いものが好まれるため、この時期にメニュー化したのでしょう。一方でレギュラーメニューとして季節を超えて定着するまでには至りませんでした。
ジューシーチキンの名前の通り、チキンを使用したハンバーガーです。赤唐辛子で味付けした鳥モモ肉とレタスを合わせてゴマ付きバンズでサンドします。鳥モモ肉はジューシーさにこだわり、一枚肉を使用しました。レタスにはマヨネーズが付されています。
商品名に「赤とうがらし」と特記されているとおり、辛さが第一印象です。「辛味が苦手な方はご注意ください」と記します。ジューシーチキンの辛さは、辛さを売りにしている世の中の食品と比べるならば序の口であり、激辛というほどではありません。それでも子ども向けの味付けが基本であるマクドナルドにしては珍しいです。
普通の味付けに食傷気味の向きには、食後も口の中がヒリヒリする辛さはボリュームとは別の意味で食後感があります。逆に辛くてハンバーガーのバンズや他のサイドメニューとマッチしていない感もあります。
マクドナルドは過去に「サルサチキンフィレオ」を期間限定メニューとして発売しました。これはチキンフィレオをピリ辛のサルサソースとチーズで味付けしたものです。ジューシーチキンは、より単純に辛さで勝負した感があります。
私は2008年7月28日にマクドナルド東陽町店でメロンパンやホットアップルパイと共に食べました。レシートにも半角カタカナで「ジューシーチキン アカトウガラシ」と印字されていました。
当時のジューシーチキンのメニュー化には以下の戦略があったものと考えます。第一に比較的高い年齢層の顧客を呼び戻す戦略です。プレミアムローストコーヒーと同様の位置付けです。ジューシーチキンの辛さはビールのツマミとして注文される可能性もあったかもしれません。
第二に牛肉偏重からの分散です。マクドナルドはビーフ100%を謳い、自社の牛肉に自信を持っていますが、狂牛病などによる牛肉離れが生じた場合、牛肉に特化していると打撃も大きくなります。このリスクを回避するためには、牛肉以外のメニューを充実させる必要がありました。
実際、マクドナルドは7月18日にはマックベーカリーと称し、メロンパン、チョコデニッシュ、シュガークロワッサンも新発売しました。ジューシーチキンもビーフ偏重からの分散戦略の一環でしょう。
チキンフィレオやトマトチキンフィレオ、シャカシャカチキンに続く、ジューシーチキンのレギュラーメニュー化で、マクドナルドのチキン商品は充実しました。この点でチキンを専門とするファーストフードチェーンのケンタッキーフライドチキン(KFC)と直接競合します。
既にKFCでは辛さをセールスポイントとするレッドホットチキンを販売しています。マクドナルドもチキン単体では2018年6月にスパイシーチキンマックナゲットを発売しました。逆にKFCではシャカシャカチキンに類似した形態のボンレスチキンを2008年7月10日に新発売しました。両者共に似たような方向を目指していました。思い出のバーガー企画は商品戦略の振り返りにもなります。
マクドナルドが「ブアツく生きよう」!キャンペーン
ベーコンポテトパイ
チキンマックナゲットのソース
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