近畿圏以外の方、大阪といえば「お好み焼き・たこ焼き」とお思いだと思います。
それは、それでいいです。
問題はあなたが大阪にやってきて、「大阪人に『大阪のおいしいお好み焼き屋に連れてって』とお願いすること」なのです。
特にその発言を大阪の中心地、梅田・難波では特に、です。
別に、その発言がタブーだと言ってはいません。
その発言をしたからと言って、道頓堀から「妖怪ドウトーン」がずぶ濡れの状態で現れて、
あなたをカーネルサンダースのように真っ白に塗ってから道頓堀川に引きずり込む、なんてことはありません。
ただ、この発言を「目を輝かせて」しないでください。
そして、「きっとおいしい店に連れてってくれる」という過度な期待もしないでください。
当然、「連れて行ってくれる店は、そんなに広くない店内で、ヒョウ柄のスパッツ履いて、ジャガーの横顔がプリントされたTシャツを着て、ふわっとしたパーマな髪形のオカンなおばちゃん店主が、『いらっしゃい~、なんな~ん、いや~、お友達連れてきたん~?いやー、これでうちもインスタでツイートされてチックトックやんかいさ~。どないしょ~、ニュースステーションがぺ・ヨンジュンをリポーターにしてうちの店に来て、行列のできるお好み焼き屋になるやんかいさ~。かなんわ、も~。え、豚玉てか?なんや、もうちょっと贅沢なんたのみぃなぁ。あんた、こういう日はドーンと贅沢せなあかんでー。たとえば豚ミックス玉とかどない?600マンエーンやでー。』なんて感じでコミュニケーションとってくるコッテコテな【ナニワのお好み焼き屋】にちがいない」なんて想像は決してしないでもらいたいのです。
だって、単純にあなたを落胆させてしまうからです。
「そんなステレオタイプなナニワのオカンはそんなにいない」
「そんなにおいしいお好み焼き屋はない」
という以前の問題です。
「大阪人は繁華街や都市部のお好み焼き屋を『知らない』」
のです。
例えば、大阪人である僕が、東京に行って
「うまい江戸前寿司に連れてって」といえば、友人はウマい店に連れて行ってくれます。
例えば、大阪人である僕が、博多に行って
「うまいもつ鍋の店に連れてって」といえば、友人はウマい店に連れて行ってくれます。
例えば、大阪人である僕が、名古屋に行って
「うまいひつまぶしの店に連れてって」といえば、友人はウマい店に連れて行ってくれます。
そのうまい〇〇に共通しているのは、「外食」で食べるものだから、
連れて行ってもらえるのです。
お好み焼きは外食することはめったにありません。
あなたは、
梅田や難波のように、都市部に出てきて、
わざわざ、家で食べるものを「外食」しますか?
「いやいや、唐揚げ定食とか、餃子の王将とか、酢豚定食とか、バーミヤンで食べるじゃない」と反論があるかもしれませんが、
渋谷や新宿、栄や天神に出てきて、バーミヤンに行きますか?
たぶんファミレスに行くのは、地元の幹線道路沿いのお店のはず。
そうです。
僕らは、
梅田や難波のお好み焼き屋は知りません。
知っているのは、
地元の近所のお好み焼き屋と、我が家のお好み焼きです。
なので、
期待してくれる友人やお世話になっているみなさん、
申し訳ありません。
期待に沿うことができないです。
ほんと、申し訳ない。
地元なら、「別にめちゃくちゃウマいわけではないけど、普通のお好み焼き屋」につれていけます。
我が家に来てくれたら、「我が家のお好み焼き」を提供します。
でも、僕は、地元の近所のお好み焼きや、我が家のお好み焼きが、
友人をより喜ばせていることも知っています。
そもそもめちゃくちゃおいしいものではない、庶民の味であるお好み焼きを、
過度に期待せず、普通の民衆の食として、とらえてもらえるとありがたいです。
(僕個人的には庶民の味のほうが性に合うようですが。)
ちなみに、
「チェーン店って、そんなにおいしくないよね」という方がいらっしゃいますが、
お好み焼き屋はチェーン店もおいしいです。
大阪の4大お好み焼きチェーン「鶴橋風月」「ぼてぢゅう」「ゆかり」「千房」はまちがいなくおいしいです。
かといって、大阪に来てくれた友人を、東京にも名古屋にもあるチェーン店に連れて行くのは忍びない、というか、申し訳ない。
でも、
僕らはは梅田や難波のお好み焼き屋、そんなに知りません。
だから、「鶴橋風月」「ぼてぢゅう」「ゆかり」「千房」に連れて行くかもしれません。
でも、「なんだチェーン店じゃん」と思わないでください。
なぜって、
僕らな梅田や難波のお好み焼き屋、そんなに知りません。
もちろん、梅田や難波のおいしいお好み焼き屋を知っている人も多くいるでしょう。でも、そんな人がすべてだとは思わないでください。
そんな僕らが知っているのは、
地元の近所のお好み焼き屋と我が家のお好み焼きです。
でも、それでも
『大阪のおいしいお好み焼き屋に行きたい』人は、
大阪人の友人にお願いするのではなく、
「一緒に探してあげて」ください。
もし、その店が、大阪人の友人がおいしいと思えば、
その友人はあなた以外の来阪者に「梅田と言えばここやで」とまるで前から知っていたかのように自慢することになるでしょう。
そんなかわいい大阪人の友人を暖かい目で見てやってください。
なぜ、大阪人に「大阪のおいしいお好み焼き屋に連れてって」とは言わないでとお願いしているかおわかりいただけましたか?
そうそう、僕はお好み焼きが好きです。
次回は、
【大阪人に「大阪のおいしい串カツ屋に連れてって」とは言わないで】
ですな。