昨日、昼過ぎ頃に、自宅にいる時に私の携帯電話が鳴った。
お世話になっているウェディングサロンの担当者Rさんからの電話だった。
電話を取る前に内容はだいたい想像できたが、緊急事態宣言を受けてのサロン休業の連絡だった。
そう。私たち夫婦は、今年10月に結婚式を執り行う予定だったのだ。
私はショックを隠しきれないまま、分かりましたと答え、電話を切った。
この事実を妻に伝えたらどんな顔をするだろうか。
ずっと挙式を楽しみしている妻は、きっと悲しい気持ちに包まれるだろう。
半年先に控えた挙式に向けて、今まで二人で準備を進めてきた。
2ヶ月間かけて休日に10店舗ほどドレスショップを巡った。
ウェディングドレスを探して、この前ようやくドレス2着を決めた矢先だった。
5月からは本格的に挙式に向けての準備がサロンで始まる予定だった。
私たちの挙式は一体どうなるのだろうか。
電話を切った私の顔を、不安な顔つきをしながら、覗き込む妻。
私 「しばらくサロン休業するみたい。挙式も無事にどうできるか分からない。」
妻 「残念だけれど、仕方ないね。私たちの挙式の延期するかどうか考えなくちゃね。」
私 「延期したとしても、いつ挙式ができるか分からない。」
妻 「そうね。でも挙式はいつでも挙げられるもの。急ぐ必要なんてないわ。」
私はびっくりした。妻は悲しみに包まれるどころか、とても前向きだったのだ。
10月の挙式を延ばすかどうか。二人でよく話し合った。
これから感染は収束していくのか。挙式の準備はスムーズにできるのか。当日は参列者は気持ち良く参列したいと思うのか。挙式日の延長の費用はどうするか。ドレスの保管料はどうするのか。家族や親戚は、実施すること、もしくは延期をどう思うのか。
これらを踏まえて、二人で出した答えは、挙式を延期することだった。
私たちの親戚には80歳を超える祖父・祖母らもいる。外出することに敏感になり、とても心配している。周りの人たちの安全の心配を考えて、決めた決断だった。
私 「結婚式を早く挙げたかったね。」
妻 「そんなの本質じゃないわ。」
私 「これじゃハネムーンも当分先だね。」
妻 「わたし、ヴェネツィアに行きたかったわ。」
私 「いつか、絶対に行こう。」
妻 「今できること、精一杯しながら、生きましょう。」
こうして、私たち夫婦は悲しみを乗り越えて、前に進む。
いつかその先に、素敵な将来が待っていることを、想像しながら。