2月7日に『ジモティー』が上場する。同社の事業内容を共有したうえで個人的に感じたことを伝えたい。
ジモティーが発行している目論見書から事業内容を抜粋してみよう。「『地域の今を可視化して、人と人の未来をつなぐ』という経営理念のもと、地域に存在する情報を隅々までいきわたらせ、生活の中で生まれる問題を地域の人・お店同士で補い合える仕組みを提供するため、地元情報のプラットフォーム『ジモティー』を運営しております」。
実は2年近く前にジモティーを体感したことがある。友人の引越し作業を手伝った時のことだ。部屋の広さの関係で新居に持ち込めないテーブルや本棚などをジモティーで見知らぬ人に買い取ってもらった。売りたい家具の写真をいろいろな角度から撮影し、使い勝手や傷の有無などを丁寧に記載する。サイトに無料で投稿するとすぐに購入希望者が現れ、翌日にはワゴン車で家具を受け取りにきた。顔を合わせる必要はなく、こちらが指定した場所から勝手に持ち運んでくれる。非常に簡単、便利、迅速であった。
ジモティーがマッチングするのは物品だけではない。およそ地域に存在する情報はすべて対象になりうる。例えば、中古車や不動産の情報が最近では人気らしい。中古車の場合、いわゆるガリバーやラビットなどの中古車専門店が主に取り扱うのは、年式が比較的新しく走行距離も短い車が多いようだが、ジモティーでは年式が10年落ち、走行距離は10万キロ以上といった、一般的には廃車に近いがまだ十分に乗れる状態の車が取り引きされているようだ。また、不動産も「家賃5万円以下」といった格安物件が多いとみられる。『地元の掲示板』として、地域に潜在している情報を見える化することに、ジモティーの存在意義があると言って良い。
ジモティーの収入源は何か。これまた目論見書の力を借りたい。一つが自動配信売上。「アドネットワーク事業者と連携して各事業者に広告枠を提供し、広告がクリックされた回数や表示された回数等に応じて売上を計上している」。もう一つがマーケティング支援売上。「ユーザー間のマッチングを支援することを目的とした『投稿オプション』機能の提供を行なっており、ユーザーのみなさんが希望する機能を有償販売することで売上を計上している」。すなわち、広告収入とオプション収入が収益の柱と言えよう。後者の例としては、お金を支払えば、自分の投稿を常に上位で表示できるサービスが挙げられる。
UUUMと同様、ジモティーも『個の時代』を象徴するプラットフォームと言えるかもしれない。売りたいものが、自分の知識か資産かの違いこそあれ、買い手の目にとまるよう発信の仕方を工夫し、お金に変える面白さを体験できるという点では共通するように思う。
ただ、製造業に比べると参入障壁は低いと思われるだけに競争も激しくなろう。他社との提携や新たなサービスの開発など超高速で走り続ける必要がありそうだ。