Uniswap v3の発表でAutomated Market Maker(AMM)にConcentrated Liquidity(集中流動性)という概念が導入されました。
集中流動性提供とは流動性提供者として担当する価格範囲を指定することで、今までの無限範囲の流動性提供と比較して資金効率を高める方法です。
図示すると次のような感じです。特定の価格範囲にズームしていくことで、本来オレンジ線の長さに相当する在庫が必要なプールの性能を、緑線や水色線の在庫だけでも発揮することができます。
価格レンジを指定したときに、資本をどれだけ集中できることになったのか考えてみましょう。呼び方は多分定まっていなくて、色々でてくるでしょう(レバレッジ係数、増幅度、集中度、等々)。
簡単のために、ある時点の価格(1とする)から見て1/R倍からR倍[1/R, R]のレンジを指定して集中流動性提供するとします。
範囲指定のないプールの視点に立つと、アセットXとYの在庫曲線は逆関数に従うので、価格がR倍になるとき、そのアセットの在庫量は1/sqrt(R)倍になり、他方のアセットの在庫量はsqrt(R)倍になります。
つまり価格レンジ[1/R, R]の集中流動性提供とは、アセットXの在庫量[1/sqrt(R), sqrt(R)]をサポートするものです。図にすると次のようになります。
どれだけ資産を集中できたかは、上図のオレンジ線の長さと緑線の長さの関係が表しています。
オレンジ線の長さは 1、
緑線は 1 - 1/sqrt(R)
ですので、集中度は次のようになります:
1 / (1 - 1/sqrt(R)).
例えば価格変動1.5倍のレンジで集中流動性提供を行うとき、範囲指定のない場合と比較して5.45倍の効率を得られます。
実利用を考えると、現在価格を中心にR倍とかではなく、単にレンジの下限(Pmin)と上限(Pmax)を指定することもあるかと思います。その場合、プールがバランスされる(Impermanent lossがゼロになる)中心価格(Pmid)は上限と下限の相乗平均です:
Pmid = sqrt(Pmax * Pmin).
中心価格に対してPmaxは何倍かというと
Pmax / Pmid = sqrt(Pmax / Pmin) = R
ですので、これを使って集中度を計算できます:
1/(1-1/(Pmax/Pmin)^(1/4)).
50:50で集中流動性を開始した際、impermanent lossは集中度倍されます。
ほぼ要点だけ述べたので省略します。50:50ではない状態から流動性提供を開始した際のImpermanent lossも考えてみたいです。
続編はこちらです:【Uniswap v3】集中流動性 (2)
著者: kyoronut