関連記事: Uniswap: 流動性提供者向けの状況確認ツール
Uniswapとの関わり方はトレードで使う方法と、流動性(トークン+トークン相当額のETHのセット)を提供して手数料をもらうという2通りあります。本記事では流動性を提供するときの損益を考えます。
は分かりやすいと思います。トレードの度に徴収した手数料(トレード額の0.3%)が流動性提供者に分配されます。
トレード量比 = 日次トレード量 / その日の流動性プールサイズ
というものを考えてみれば、
日利 = トレード量比 * 0.003
と計算できるので、
月利 = (1 + 日利) ^ 30 - 1
年利 = (1 + 日利) ^ 365 - 1
となります。
例えば最近急成長しているMKR/ETHプールの2月15日を見ると(次図)、
トレード量比 = 4180 / (2 * 5970) = 35%
で、年利47%という異常事態です。もちろん得ばかりではありません。次の章もお読みください。
とは何でしょう?ここではトークンを流動性提供せずにホールドしていた場合との差を指します。
Uniswapは
プール内のトークン量 * プール内のETH量 = 一定
を原理に稼働しています。
重要なのは和ではなく積ということです。
プール内のトークン量 + プール内のETH量 = 一定ではない
このことに起因して、トークンの価格が変化した際にはトークン量も変化します。
具体的にはこちらの記事で計算されているように、
ホールドの場合との差割合 = 2 * sqrt(価格比) / (1 + 価格比) - 1
となります。ここで
価格比 = 流動性回収時のトークン価格 / 流動性提供時のトークン価格
です。例えば、価格比2倍になると、単純ホールド時と比較して5.7%損します。
2019年10月6日追記: 損失に焦点を絞った記事を書きました↓
ここまでで、損益を考えるには「トレード量比」と「価格比」を気にすれば良いということは伝わったでしょうか?あとはこれらの関係を視覚化するだけです。年単位版と月単位版を作りました。
例として現在のMKR/ETHのトレード量比35%を考えると、年単位で見れば価格比が5倍になっても流動性提供の利益があると期待でき、月単位では価格比1.6倍程度が損益分岐点になります。
トレード量比と価格比をもとに、uniswapへ流動性提供することの損益について考えました。作成した図からは年単位で見て、価格比5倍を覚悟するなら、トレード量比は20%以上ないと損するという結果が得られており、仮想通貨のボラティリティからすると運用判断の難しいところだな、と感じています。
MKR/ETHのトレード量比がどの程度で推移していくのかは注目していきたいです。執筆時現在はMKRの価格変動が大きいため、普段よりもトレード量が増えている可能性があります。
2019/2/19追記:
期間を選んでこれまでのuniswapへの流動性提供によるリターンを計算できるツールが公開されました。↓
赤: 手数料徴収によるプラス
青: 価格変動によるマイナス
黄: 利益(赤 + 青)
となっています。
著者 kyoronut