「個人情報」は生存する特定の個人が識別できるもの。
あるいは情報の組み合わせによって個人を特定可能な情報を指す。(氏名、アドレス、電話番号、住所、顔写真など)
さらに個人識別符号では、上記のような直接的情報ではなくてもマイナンバーや住民票など特定の書類振り分け番号、指紋などの身体的情報も含まれる。(ちなみに宗教や性的指向、病歴などは要配慮個人情報として扱われる)
インターネットがつながっている状態では検索、購買、移動の履歴も「個人情報(*1)」としてサービス利用を条件にその情報を提供している。
これらのデータは集約し、分析されてさらなるサービス向上やマーケティング活動の指針として活用されている。
一方、収集側企業のセキュリティ環境が追いつかず不備が生じてニュースになることも少なくない。その欠落を攻撃することでデータの不正利用を企む人もいる。
欧州では2018年にGDPR(EU一般データ保護規則)が施行されてから
個人情報の取り扱い/使用に関する制裁が既に複数企業に対して行われている。
そんな中、改めて個人情報の価値を見い出し、同意を得て提供する個人に対して、価値の還元をしよう。
「あなたの情報には価値があります。」と伝えようとしている企業を紹介する。
-株式会社マイデータ・インテリジェンス
情報を収集する銀行として、個人情報に関して提供の意思がある場合、データ提供する代わりにポイントが貰えるサービス。
2020年1月現在では「歩数」「行動」に関しての位置情報データ、朝食の写真やサービスの利用状況を回答することで、「MAYポイント」を獲得し、さまざまな商品へ交換可能となっている。
-株式会社 BasicIncome
「月に20万円支給する代わりに、あなたの生活を撮らせてください」ベーシックインカムは本来、国や政府が必要な最低限の金額を国民に支給して生活保障をするという制度。
それを民間で行い、かつ参加者は自身の生活を開示することで様々なデータを提供、対価として現金が支給されるという実験的な取り組みを行っている。
BasicIncome Cinemasベーシックインカムを支給するドキュメンタリー番組bicinemas.com
-株式会社J.Score
性格やライフスタイル、情報連携先からの取引情報など、情報提供に紐付いてAIスコアを算出。
貸付基準は従来の過去取引のみでの信用判断ではなく、習慣や行動でスコアアップし、リワード(特典)を受け取ることが可能。
またスコアに応じて個人向け融資(レンディング/貸付)を行っている。
検索履歴、行動ログ、趣味嗜好も含めて様々な情報は価値だ。
消費者が何を見て行動し実行しているのか、そのどの段階でどのようにお金が動くのかを見ることで、それらは仕事になり企業をつくる。
今まで「取得出来ない」とされていた情報はテクノロジーの進化によって収集可能になり、集約/解析することで傾向を分析して役立てられている。
一方、データ自体に価値があるということを個人が知らないままで企業間で売買されていることが問題視され始めている。
検索履歴や登録情報から、予測して他のおすすめ商品や広告が出てくること
顔認証を行って性別を判断し広告が表示されていること
これらは本来「最適化」されて便利になった世の中の象徴であるはず。
馴染みの店に行ったら顔や名前、嗜好を認知している店員さん(サービス提供側)が何も言わなくても「いつもの」で商品が出てくるというのと同じような考え方である。(あくまで例え)
簡単・便利には技術進化が寄り添っているので、利用するには相応の価値を持っているものを提供するべきだともおもう。
そこで、提供する側に出来ることは情報に対するリテラシー(知識、適切に解釈して展開出来る状態)を自ら習得して行く姿勢と、提供する情報とその提出先を取捨選択していくことだと思う。
(*1)Web上の個人を特定する情報(IPアドレスやCookieなど)に関してもGDPRではオンライン識別子として個人情報に含まれる。
Photo by Johny vino on Unsplash