今日はとあるアーティストのライブへ
はじめてこのバイトを紹介された時僕は、
そのアーティストがライブ会場の見た目を整えるためこのようなことを意図的にやっているのか、
それとも
そのアーティストの運営がそのアーティストに気を遣ってこのような仕事を依頼したのか
どちらなのかが知りたくなった。
ただそれ以外の印象としては特にない。
今回はじめて名前を耳にしたそのアーティストに対して普通良い印象も悪い印象も抱かないはずだ。
「無知」な者としてライブに参加する上で
考えられる最悪な状態に対してだけは自分なりの対策を考え、あとは純粋に久しぶりの「ライブ」を楽しもうと思った。
実際にライブを鑑賞してみると
自分が元々想像していた以上に楽しめた。
事前に調べて聴いていた一曲が
一番最初に流れたことで喜びと親近感を感じたからだ。
もちろんその後の楽曲は一切聴いたことのない楽曲ばかりで、細かい振り付けなども分からなかったので、「ファンだけど、細かい振り付けで自分の身体を揺らすのは、ちょっと恥ずかしい男の子」を演じながら鑑賞していた。
今日のライブの総括として、
これまで一切聞いたことのなかったアーティストに"自動的に"注目をするという経験をした今回、
ライブ会場の雰囲気、大音量、俯瞰してみたファン同士の団結感とアーティストへの愛情、アーティストのパフォーマンスなど全て含めると
ライブに久しぶりに行けて楽しかったなと思った。
耳がはち切れるほどの大音量の音楽を聴く機会自体、日常的に生活していると全く無いので、その点においては特にテンションが上がった。
「音楽ライブ」というのは
普通そのアーティストのことが好きなファンのために企画されるお祭りなのだが、
今回の僕のように
「全く知らないアーティストのことを生のライブを通じて知る」という人であっても
いきなりライブに参加してみるのはそこまで悪くないことだと、僕は思う。
全く知らないアーティストであっても
自動的にそのアーティストのことを知って
自動的に彼等の音楽を実際に聴けるという体験が
あってもいいはずである。
言うまでもなく
「ライブ」の会場をファンのみで埋めるのではなく、「将来ファンになりうる人」が一部混ざっているという状況をある程度作り出すためには
ファンの偽装による収益低下や宣伝の難易度、
その価値観がある程度浸透するまでのファンからの不満の声など様々な懸念点があるが
考え方として、
新たな音楽の広げ方の一つの手法としてのこの
方向性はそこまで間違っていないのではないかと考える。
新しい音楽やアーティストに出会う時
我々はビルボードのランキングなどをみて「試し聴き」することはあっても、それ以外の楽曲やそこまで知名度のないアーティストに関しては友人や周りの人間経由で知らないかぎり、中々知ることができない。
反対に、普段聴いている音楽に飽きてきて
自分の聴く音楽の幅をもっと広げたいがその広げ方が分からない、という人も結構いるはずである。
そういった意味でも
「いきなりライブ」を通じてそのアーティストを知ることのできるタイプのライブが出てきたら
おもしろそうだ。
(勿論実現性はよく加味しないといけないが...)
そうすれば、グレーゾーンとも言うべき
「サクラ」たちにお金を払うよりも
ファンになる可能性のある色んな人間に逆に
お金を払ってもらいながら、なおかつ有効的なアプローチができるという、少なくともアーティスト側にとっては好循環な流れが生まれてくるのではないか。
今日のアルバイトを通じて
ふと、そのようなことを考えた。