3年前、僕の祖父母は高齢のため2人きりで生活をすることが難しくなった。
そしてそれを機に祖父母たちは引越しをし
叔父たちと一緒に住むことになったわけだが、
その際、その元家を売却すべく家具の整理・廃棄を行うこととなり、当時僕自身もそれを手伝った。
作業はおおよそ2〜3ヶ月にも及び
その期間の土日には決まって家族親戚総出で
家の中の家具を全て外に出したり、廃棄物をごみ処理場に持っていったりした。
あの時の苦労は今でも忘れられない。
僕を含めて家族一同、
老後に向けて絶対にこれ以上家の中の物を増やさないということを誓ったのだった。
こんなことを今更ふと思い出したのは
昨日読んだビジネスモデルの本がきっかけだった。
今日はその中のいくつかの事例から見出した
とある"トレンド"に着目してみたいと思う。
昨今の世の中では
モノを「所有」するというこれまでの常識を
いい意味で疑うトレンドが出てきている。
物理的に物を「所有」するのではなく
物を「所有」せずに「利用」のみを促すような動きである。
いっそのこと、「時代の流れ」とも言うべきなのだろうか。
その考え方が取り入れられた事業が
すでに世の中にはたくさん存在していて、
そのどれもが僕の好奇心をくすぐるものであった。
具体的な例を挙げると、
1人あたりのジーンズの所有本数が世界一だと
言われるほどのジーンズ大国・オランダにて
非常にユニークな事業を展開しているブランド企業がそれである。
ブランド名を『MUD jeans(マッド・ジーンズ)』といい、なんとジーンズの"リース契約"を行っている企業である。
昨今、レンタカーやコーヒーメーカー等をはじめとして様々な物がレンタルサービスとして提供されている中、レンタルする対象物が「ジーンズ」となると一瞬だけ首を傾げたくなる。
上の2つのような「機械」とは違って
ジーンズは言ってしまえば単なる「生地」。
素人であれ、やろうと思えば姿形を好き放題変えたり、それを燃やしたりしていくらでも悪さができるはずだ。
しかし聞くところによると
その「レンタルジーンズ」は「『生地』の権利は企業側が保有している」という考え方に基づいてサービスが提供されており、それに付随して
サービス利用者の心を掴むための工夫がなされているそうだ。
リース期間中に無料でメンテナンスや修理のサービスが受けられるだけでなく、
リース契約終了後には、
古いジーンズを返却して別の新しいものをまた借りるか、
次回以降のレンタル時に使用できる割引券を受け取るか、
もしリース期間でそのジーンズを気に入ればそれを安値で買い取ることができる、という意外にも豊富な選択肢たちが用意されている。
正直言ってこれまでは
ただ「レンタル」するためだけにお金を払うのは
"社会活動チック"なことをさせられているかのような気持ちにしかならないものだと思っていたが
ここまで利用者に良心的なサービスならば
お金を払った後でも柔軟な選択ができるということに新たな「価値」が感じられる。
元々自分が思っていたよりも
世の中の「所有から利用」の流れは進んでおり、
まだまだ"同レベ"とは言えないものの
少しずつ「所有」ではなく「利用」することの
利点が見出されているのではないかと思った。
そして、いっそうその流れは加速していくと思うので今後どんな未来が訪れるのか、それが非常に楽しみである。
それに加えて、3年前の僕のように
「家に物を溜めまくったことによるデメリット」を遅れて盛大に被ってしまう人が1人でも減ってくれることを切に願っている。
おじいちゃんおばあちゃん
今回のこのような素晴らしい学びと気づきを与えてくれてありがとう。
そして、小さい頃から今まで
僕を大切に育ててくれて、本当にありがとう。