成功した起業家はなぜ他人に起業を煽るのか
あなたは仕事に熱中できているか
成功した起業家が「#起業しろ」というハッシュタグでTwitter上にいる一般人達に起業を煽るケースが最近では散見される。
まずこれについて私は悪いことだと思わない。
私も過去に起業した経験があり、結果的に失敗して借金を追うことになったがいい経験だったと思っている。
まず、なぜ起業家達が煽るのかの結論として、起業には以下の3つのメリットがあると私は捉えている。
①自身が経済的に豊かになれる可能性がある
②社会を良くする事につながる
③上手くいっている企業活動はそれ自体に幸福感が得られ関係者の精神的豊かさも向上する
※③の「企業活動」は「起業活動」の誤字ではない。
まず①については誰でも分かると思うが、失敗する可能性はあれど、上手く行った場合の報酬は青天井であり、雇われて得られる報酬とは天と地の差である。
ご存知の方も多いと思うが、「金持ち父さん貧乏父さん」というベストセラー本の中でESBIという収入の区分の話が出て来る。
このESBIの概念はよくマルチ商法や投資詐欺の人たちもトークに取り入れるくらい分かりやすい概念だ。
詳しい説明はここでは割愛するので、自分でググっていただけるとすぐに出ると思う。結構厚い本だがもちろん書籍を買って熟読することも悪くないと思う。
ここで主張したいのは起業することによりBの収入が得られる可能性があることだ。アフィリエイトの経験者などはよく理解していると思う。
サブスク系のモデルであればなおさらユーザーが離反しなければ継続的な収入が見込める。最近オンラインサロンを始める人が多い理由の一つにもなっていると思う。
続いて②についてだが、起業がイコール社会を良くすることに必ずしもつながるわけではないが、割合としては社会に良い影響がでる事の方が多いと私は捉えている。
これにも2つの理由がある。
②の1つ目はまず経済的なメリットだ。日本で企業活動を行う以上は法人税がかかる。法人税をたくさん収められる企業が増えることで日本の税収があがる。もちろん徴収された税金の使われ方などはさらに多様な議論があるため、ここでは全て書ききれないが国内の税収が上がることで政府の活動を支えることができる。消費税を上げられるより国民としては助かる。
そして起業したサービスが海外展開などできれば外貨を稼げるためなお良い。日本は石油が出ないので、大量の石油やLNG(液化天然ガス)などを輸入しこれらで電力を供給している。その為外貨を稼げないと輸入が困難になるということだ。もちろんこの論調にも反対意見は多数あり、日本はドルを大量に保有している、エネルギー競争で石油は安価になるなどの意見もある。これらは読者自身で調べたり考えたりして意見を持っていただきたいがここでは一旦私の解釈を元に1つ目の理由の一部とさせて頂いた。
続いて②の2つ目の理由は社会の富が増えるということだ。
例えば多様な娯楽が増える、少ないコストで今と同等もしくはそれ以上のサービス提供が可能になる、などがあげられる。
多様な娯楽が増えるという意味では最近ではYoutubeやVRchat、荒野行動のようなオンラインゲームの民主化、オンライン飲み会、SNOW、ライブ配信などがある。いずれもお金があまりかからないものばかりだ。
つづいて少ないコストで今と同等もしくはそれ以上のサービス提供が可能になるという意味では、ロボットが農作業をして食料の供給が安価になったり、自動運転によりタクシーが安価になったり、建築ロボットにより建物の建築コストが下がり家賃が下がる、VR内で仕事ができると会社に出社しなくても良くなり、リモートワークが普及し家賃の高い都心に住む必要性がなくなったり地方移住者が増え人口の東京一極集中が解消できたり、洋服もオーダーメイドしたものが3Dプリントされ好きなテイスト、サイズの服が安価で手に入ったりなどがある。
このあたりはスーパーコーンピュータの研究、開発を行っていた斎藤元章さんの「エクサスケールの衝撃」を読むとよく理解できると思う。この記事の執筆時点(2019/1/5)ではkindleUnlimitedで無料で読めるようだ。(なんていい時代だ)
彼の思想では植物工場、安価な太陽光パネル、人工光合成、漁業の完全養殖化、ナノボットによる万能薬などを上記の書籍では紹介している。
これらの技術を作るには科学的なブレークスルーが必要であり、そのためにスーパーコンピュータを使用し科学シミュレーション上で新たな先端素材や化学物質の生成、創薬のシミュレーションなどが可能になるとの論調であった。
これらはやや極端な例ではあるが企業活動を通じて昔はなかった、ヒートテックやスマートフォン、iQOS、電子書籍、洗えるスーツ、チンするだけのコンビニ弁当などが出来た。
人類は確実に富を増やし幸福を増大させていると思っている。
社会を良くするということは人類の幸福の総量を増やす事であり、起業はその正攻法であると私は捉えている。
「#起業しろ」というハッシュタグが嫌いな人もいると思う。
起業はしたければすればいいししたくない人はしなくてもいい。わざわざ人に「#起業しろ」なんて命令形で言うのは不快だ。という主張の人もいると思うし私も一部同意する部分がある。
別に毎日やりたくもない仕事であっても毎月定期的に収入がもらえて、家に帰ったらYoutubeを見たりゲームしたりアニメみたり、ご飯を食べて寝てるだけの生活でもいいじゃないか。と考える人もいるだろう。
無感動、意識低い系、日々Youtube見て過ごす系。これらも悪くない。というかこれを否定するのはライフスタイルの多様性を否定することでもあり、優生思想チックにもなる。
私もそれは何も悪いことだとは思わない。本人がそれで幸せで日々楽しく過ごしているのであれば何も問題ではない。
ただ大体の起業家たちが言いたいのは恐らく「起業は楽しいし人生充実する」という事だと思う。
学生時代などにスポーツの経験がある人は感じた事があるかもしれないが、仕事にも「ゾーンに入る」、「フロー状態になる」というタイミングがある。心理的に覚醒した状態で挑戦したい欲求が生まれ、困難な課題が与えられると興奮する状態になる。(さめた人はこの状態の人をドMだとディスる)
これらの状態になるには前提技術がある程度の熟練されていること、自分のレベルよりやや困難な課題である事、アウトプットに対し即座なフィードバックがある事など様々な条件がある。気になる人はチクセントミハイ氏の「フロー体験入門」を読んでみると良いと思う。しかしこれも結構難解な(少なくとも私には)本なため、別の人が簡単に訳しているレビューが高い本などを手始めに読んでみても良いかもしれない。
つまり結論としては働くという事は至高体験であり、その活動自体に喜びを感じるのだ。仕事にハマった人間は本当に強い。土日も出社したりえらい長時間働いたりする。こういう書き方をすると長時間労働を肯定する様に見えるがそうではない。つまり仕事と趣味・娯楽との垣根がなくなっている状態なのだ。寝ても覚めても常に仕事の事を考えていてそれでいて本人はその状態がすごく楽しいのだ。周りが休めと言ってもドラクエのダンジョン探索をしている途中に夕飯だと声をかけられた子供のように手を休めない。
仕事にハマった人間は日々充実し、イキイキしており、輝いている。
起業する事で裁量と責任が広がりこういった状態になる人が多いのだ。
またこういう状態になると生じるメリットとして「貢献したい欲求」が生じると私は捉えている。
いわゆるマズローで言う自己実現欲求の様なものだ。
貢献したい欲求というと誰かのためにやらされている様なニュアンスで捉える人もいるかもしれないがそれは違う。
貢献したい欲求というのは自己満足の欲求なのだ。
誰かに偽善だと言われるかもしれない、喜ばせようとしたら悪意のある第3者に強烈に批判されるかもしれない。それでもいい。誰かのためになっていれば私は嬉しい。というのが貢献したい欲求だ。
以上が私の捉えている起業家が「#起業しろ」と煽る理由である。
総じて起業家が増えることは社会にとっていいことであると思うので「起業したい人」は起業すれば良いと思う。
また仕事が楽しく充実している人も増えると良いなと思う。