みなさん、「情報銀行」って、知ってますか。
Web3.0と呼ばれる個人の情報管理と活用についての新しい流れです。
「聞いたことないよー」って人、多いと思います。
でも、まさに今始まろうとしている取り組みで、特に私たち一人ひとりに大きく関係してくる話です。
そしてブロックチェーン技術も、その成否に大きく関わってくるんだって。
今日はちょっと勉強チックな書きっぷりになるので、先に「ごめんなさい」しとく。
まず、「情報銀行ってなに?」から。
みなさん、銀行は利用してますよね?
例えば、あなたが持ってるお金を預けると、銀行はその”お金”をどこかに貸したりする”運用”をして、”利益”を生み出します。
あなたは、その銀行の利益の中から利息という形で”リターン”を得ることができます。
そう、「情報銀行」は、”お金”の代わりにあなた個人の”情報”を預けて運用します。
そして、預けたあなたは、利息の代わりとなる何らかの”リターン”が得れる仕組みです。
次に、じゃあ「個人の情報ってなに?」です。
商売する側が欲しい「個人の情報」ってなんでしょうか。
そう、すでに個人の情報は名前や住所、年齢といったコアな情報だけでなく、趣味とか、好きな色とか、いろんなあなたに付随する情報が、いろいろなシーンで集められていて、
セールスや商品開発に活用されいてます。
集めたデータ自体も商品として売買されちゃってもいます。
何年か前にJRがSuicaの改札を通った行動履歴データを利用者に告げずに他社に売っていたことがわかり問題となったことがあります。
Facebookでも個人情報の無断商用利用があったってニユースがありましたよね。
まあ、これは情報の無断使用だったので情報銀行ではないですけど。
みなさんに身近なところでは、Amazonや楽天のお買い物、Googe検索では、購入履歴やサイト履歴が取られています。(サービス利用の許諾条項があるのよ!細かくて読んだことなかったけど)
ネットを見ていると勝手に好きそうな商品の案内が出てきたりしますよね。
利用者が何に関心を持っているかなどの個人情報がプッシュ型セールスに活用されている。
個人向けネット企業は、このような仕組みで成長してきた、って言い切ってもいいくらい。
ネット広告市場は約20兆円らしいけど、個人情報を使って客の嗜好に合わせて売ることで成長してきたわけ。
ここまで聞いて、あれ?っと思った人いるでしょう?
すでにAmazonとかネット企業・流通で各社が個人情報を散々活用しているのに、なんでわざわざ「情報銀行」って仕組みを今作ろうとしてるの?って疑問あるよね。
発端は、EU(欧州連合)で近年、「個人情報に関わるデータをいろいろな企業が勝手に独占しようとする現状はは問題だ」って言われだしたこと。
そして、「消費者の個人情報は、消費者の手に取り戻そう」って運動がおこり、「消費者本人が自分の情報を管理できる権利」が定められた。
「自分の情報が勝手に使われるとか、どんな情報が使われているのかが本人には分からない」を改善しようってこと。
EUでは、今年から違反した企業には罰金もある。
さら進んで、
・お金のように安心して個人情報を預けれる仕組み
・情報銀行自身がデータ利用するにとどまらず、信頼できる基準を満たした相手企業であれば情報を流通できる(提供も外部から購入もできる)
・預託者へのリターンはいろいろな形態が考えられる(お金、サービス、物)
ってスキームをしっかり整えれば、消費者側も企業側ももっとWin-Winになるんじゃないか?
って構想になった。
それだ!ってことで、日本でも総務省が「第四次産業の成長戦略のひとつ」として旗を振り、早急な実現を目指してる。
総務省は、2018年7月31日付けで
”「情報銀行」の社会実装に向けた取り組み”
としてまとめているので読んでみると良い。
PDF資料「総務省「情報銀」の社会実装に向けた取り組み」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/detakatuyo_wg/dai1/siryou4-1.pdf
さて、そうすると情報銀行って、先の例に挙げたAmazonが「Amazon銀行」みたいに、銀行をポコポコ建てられると、情報のありかがバラバラのままでは横連携的な高度な使い方が難しくなる。
といって、政府が、すべての企業の上に立って巨大な情報銀行を作るのも、コストや運用の面で非現実的。
はい、そうです。ここでブロックチェーンの出番ですね。
私たちが付き合う町中の銀行みたいな企業が「ノード」となって、ブロックチェーンで個人情報をネットワークを通じて管理すれば、情報の「信頼性の担保」と、「セキュリティ確保」ができ、巨大システムを持たなくても良い。
「低コスト」で「運用負荷が少ない」実現的な仕組みができる。
加えて、私たちが個人情報を預けた利息に相当するリターンを仮想通貨ポイントみたいなものしちゃえば、情報の運用シーンで生まれる付加価値を仮想通貨ポイント換算しちゃえば、情報を付加価値と共に管理するのがとっても簡単。
まあ、最終的なリターンの形もお金や物やサービス、通貨ポイントそのものとかバリエーションも生まれるでしょう。
しかるべき基準をクリアして参加できる企業によっては情報銀行はビジネスのビックチャンスになりそう。
総務省は、さっそく10月19日に「情報銀行に関する認定説明会」を開催するよ。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin01_02000266.html
とにかく、私たち自身がどこまでの個人情報を預託するかで、リターンをコントロールできるってところが、「革新的」ってわけ。
個人情報ダダ洩れが現実だから、いっそ積極的に運用できる安心な仕組みを作ってくれたほうが良い提案や利息(配当)が得られるんじゃないかな。
総務省は2020年までに使われることを目指していて、矢継ぎ早に官民で進めようとしてる。
私は、昨年のCEATECで、MUFGコインの健康ポイントとドリンク自販機の連携デモを記事にしたけど、今月開かれるCEATEC JAPAN 2018でも、進化したMUFGコインの展示をするそうだ。
CEATEC JAPAN 2018でWebの事前登録をすれば入場料が無料になる。
一般人もOKだからぜひ行ってみて。
「MUFGのコーナーには、「情報銀行」ってキーワードもあるからお楽しみに」、って聞いてる。
同じく三菱UFJ信託銀行も今年8月から情報銀行の実証実験をしており、来年には本運用を目指している。
CEATECは元々は家電展示が中心だったが、最近はAIやロボット、自動運転、ついにブロックチェーンまで展示を競っていて華やか&カオスね。
また、情報銀行の法人版も検討が始まってる。
こっちは、都道府県や町村がもつ補助金や公共事業のデータをオープンデータとして解放して、地域を活性化しようってもの。
こっちでもブロックチェーンのスマートコントラクト機能が注目されてるみたい。
いま調べ中なので、そのうちに書けたらと思います。
最後まで読んでくれて、ありがとうございます。
今日はちょっとむずかしいことを書いたので頭がパンパン。
ではまたね。
参考:
・総務省)報道資料サイト)資料
・三菱UFJ信託銀行サイト「新たなデータサービス提供に向けた実証実験の開始について」)
<参考>:
Web3.0や情報銀行についてのpuddingの記事はこちら
・デジタル通貨で通勤ラッシュが解消?
・新しい奨学金のしくみ
・ありがとうは”coin”で
・情報銀行意欲、欧米は日本の2倍
・情報銀行を使いやすくするPDS
・情報銀行TEDxTokyo東大柴崎先生Youtube
・ともに創造する未来「Society5.0」
・Web3.0&情報銀行ざっくり解説
・個人の情報×ブロックチェーン=情報銀行