投資で資産形成って言うと、賃貸マンションやアパートの不動産投資もよく聞きますよね。
何年か前までは「儲かってる」って話をよく聞きましたが、今は不動産投資で破産増加なんて話題も聞きます。
不動産屋さんのチラシやネットを見ると、予想利回り10%なんて広告も目に留まります。
さて、本当のところは今どうなってるのか、ちょっと調べてみました。
「不動産投資」「マンション」「利回り」なんてキーワードでググると、たくさんヒットしますね。
でも大半が不動産屋さんなので、信頼できそうなシンクタンク系を探してみたら、NRI(野村総合研究所)のデータを見つけました。
90年代に急上昇した家賃も2000年以降は減少に転じており、現在も減少が継続しています。
左の表では、東日本大震災で被災が大きかった仙台が10%程度と低いものの、それ以外の札幌、東京、名古屋、大阪、広島、福岡は約15%~20%の空室率です。
さらに右の表のように、比較的優良な首都圏においても2016年以降は空室率が上昇傾向です。(データはアパートも含む)
ここには未記載の不動産企業が公表のものも、概ね全国15~25%の空室率でした。
もちろん、統計なので平均的な数字です。
平均より良い物件もあれば、悪い物件もあるわけで、良い物件を探し出す「目利き」の能力が重要になります。
物件の良し悪しの判断尺度のひとつ、利回りを説明します。
預金や株とかと同じですね、投入したお金がどのくらいリターンを生むかの期待度を、利率で表したものです。
不動産投資の営業マンのトークやチラシにある「利回り」は、年間家賃収入を物件価格で単純に割った、見かけ上の利益率で、「表面利回り」と言います。
しかり「表面利回り」には諸経費が含まれていません。
諸経費を引いたものは「実質利回り」と言います。
物件購入時には仲介手数料、不動産取得税、登記費用などがかかりますし、その後も電気代や管理費なのどいろいろな維持費もかかります。
計算式を図にしてみました。
流石に最近の営業マンは、ここまでは説明してると思います。
こうなると、全国の実質利回りがいくらなのかが気になりますね。
いろいろ探したところ、この「日本不動産研究所」の期待利回りが実質利回りに相当するので引用します。(元データ)
東京4.4%、大阪4.9%、他も5%台。
利回りは低下傾向です。
でもこれだけでは、まだ大きな「落とし穴」が隠れています。
最初にNRIの統計にもあった、「空室率」が考慮されていません。
いつも満室が前提の計算なんです。
しかも空室率は上昇傾向なので、その地域の相場より少し余裕を見るべきす。
さらに、多額の買い物なので、銀行借り入れを行う場合が多いです。
その返済分を収入から差し引く必要があります。
「本当の利回り」の計算はこうなりますね。
満室の計算では割が良く見えても、ちょっと空室率が上がるだけで儲けゼロやマイナスに転じることが多々あります。
また、経年すれば家賃を下げないと近隣の物件に対抗できなくなり、将来の採算は悪化すると思ったほうがいいです。
この「本当の利回り」あたりの計算に興味があれば、「もふもふ不動産」さんの記事が実例で試算しているので面白いです。
もちろん、高利回りのお買い得物件もきっとたくさんあるでしょうが、それを見分ける能力が求められます。うーん。
(ただし、不動産投資は他の投資と異なり、銀行融資が受けやすく、容易に多額の原資を得て運用をすることができます。
安定収入が見込める良物件なら、低利回りでも”量で稼ぐ”ことができる可能性はあります。
一種の「信用取引」でレバを掛けるようなものですね。)
少なくとも私は自信がないです。
やっぱり私は「ほったらかし投信」!