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テレワーク環境の政府指針を確認してみよっか

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  • 連獅子
  • 2020/04/29 03:10

いわゆるPCを使った作業を行う労働衛生管理においては平成14年に「VDTガイドライン」ってのが厚労省主導で作成されて、関係省庁を始めとして定期的な視力検査やら作業環境の構築の指針にされたりしていたのです(知ってた?)。

注)VDT:Visual Display Terminalsのこと

 

ガイドライン、新しくなったよ

昨年、令和元年に、上記VDTガイドラインが見直されて、テレワーク環境はもちろんのこと、スマホの入力操作までも含めた情報機器作業等についてのガイドラインというのが作られました(参考ニュース)。これに準じて労働衛生管理を行うように指導すべし!となっているので、紹介しておきたいと思います。当然意識高い民間企業様におかれましてはこの指針に沿っているとは存じておりますが(私の在籍してた企業では「なにそれ」って感じだったけどな)、在宅ワーク環境にまで落とし込んで考えている方は少ないかなー、と感じるところなので、ちょっと見てもらいたいです。なお、VDTという用語は平成14年から今日にいたるまでまったく世の中に定着しなかったので、公的に死語となり、ガイドラインの名称は「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」となり、略称は「情報機器ガイドライン」とすることになりました。定着するかなー。

自宅におけるテレワークにおいても、情報機器ガイドラインと同等にすることが望ましいと提示されていますので、一部抜粋して、ちょっとみてみたいと思います。

 

作業環境管理について

情報機器ガイドラインには「作業環境」についての指針があります、在宅ワークにおいてもこの指針は適用となりますので、確認しておきましょう。

1.照明及び採光

・室内は、できる限り明暗の対照が著しくなく、かつ、まぶしさを生じさせないようにすること。

・ディスプレイを用いる場合のディスプレイ画面上における照度は500ルクス以下、書類上及びキーボード上における照度は300 ルクス以上を目安とし、作業しやすい照度とすること。
 また、ディスプレイ画面の明るさ、書類及びキーボード面における明るさと周辺の明るさの差はなるべく小さくすること。

・ディスプレイ画面に直接又は間接的に太陽光等が入射する場合は、必要に応じて窓にブラインド又はカーテン等を設け、適切な明るさとなるようにすること。

・間接照明等のグレア防止用照明器具を用いること。

・その他グレアを防止するための有効な措置を講じること。

 私個人としては、在宅ワークにあたって間接照明まで設置するというのは否定派ですが、グレア(まぶしさ、眩惑)の防止ができればいいということですね。部屋の照明がモニターに直接反射するなんてことがないようにしてね、ということが趣旨ですので、在宅ワークにおいてはモニターの角度を替えたり、ノングレアフィルムを貼ったり、非光沢モニタを導入するなどでも対応できるところだと思います。

 

2.情報機器等

・デスクトップ型機器

(イ)ディスプレイ

 ディスプレイは、次の要件を満たすものを用いること。

a 目的とする情報機器作業を負担なく遂行できる画面サイズであること。

b ディスプレイ画面上の輝度又はコントラストは作業者が容易に調整できるものであることが望ましい。

c 必要に応じ、作業環境及び作業内容等に適した反射処理をしたものであること。

d ディスプレイ画面の位置、前後の傾き、左右の向き等を調整できるものであることが望ましい。

(ロ)入力機器(キーボード、マウス等)

a 入力機器は、次の要件を満たすものを用いること。

(a)キーボードは、ディスプレイから分離して、その位置が作業者によって調整できることが望ましい。

(b)キーボードのキーは、文字が明瞭で読みやすく、キーの大きさ及びキーの数がキー操作を行うために適切であること。

(c)マウスは、使用する者の手に適した形状及び大きさで、持ちやすく操作がしやすいこと。

(d)キーボードのキー及びマウスのボタンは、押下深さ(ストローク)及び押下力が適当であり、操作したことを作業者が知覚し得ることが望ましい。

b 目的とする情報機器作業に適した入力機器を使用できるようにすること。

c 必要に応じ、パームレスト(リストレスト)を利用できるようにすること。

結構細かく決めてありますね。厚労省が提示する政府指針ですから、これを基にして、【政府方針に準拠】という形で会社等は作業環境を構築すると想定されるので、おおもとである指針を極力細かく決めておくのは当然ですよね。もちろん責任を被らないために「望ましい」という表現に...おっと誰か来たようだ

ディスプレイについては『前後の傾き、左右の向き等を調整できるもの』がいい、ってことですが、市場で販売されているモニタをみてみると、高さ調整くらいはできるものの、前後の傾きまでは調整できないものも多く見受けられますね。このあたりは製品価格にダイレクトに反映されるところだとは思いますが、作業者の健康のためですので、コストを惜しまないようにしましょう。モニターアームの導入は非常に効果的だと思います。

キーボードについてはメカニカルキーボード青軸愛好家の私にとっては、ストロークと押下力についてこだわりたいところですが(あと打鍵音ね)、そんなものは個人の趣味ですね(笑)。少なくとも青軸系キーボードは職場での使用は向きませんが、在宅ワークで家族の迷惑を顧みなければ最高だと感じています。

指針にわざわざ明記してある「操作したことを作業者が知覚し得る」というのはどういうことなんでしょうね。いわゆるタッチパネルでの入力を意識しているのだとは思いますが、入力したことを振動や音で知覚させるということですかね。

・ノート型機器

(イ)適した機器の使用

 目的とする情報機器作業に適したノート型機器を適した状態で使用させること。

(ロ)ディスプレイ

 ディスプレイは、上記(デスクトップ型機器で述べた)要件に適合したものを用いること。

 ただし、ノート型機器は、通常、ディスプレイとキーボードを分離できないので、長時間、情報機器作業を行う場合については、作業の内容に応じ外付けディスプレイなども使用することが望ましい。

(ハ)入力機器(キーボード、マウス等)

 入力機器は、上記(入力機器で述べた)要件に適合したものを用いること。

 ただし、ノート型機器は、通常、ディスプレイとキーボードを分離できないので、小型のノート型機器で長時間の情報機器作業を行う場合については、外付けキーボードを使用することが望ましい。

(ニ)マウス等の使用

 必要に応じて、マウス等を利用できるようにすることが望ましい。

(ホ)テンキー入力機器の使用

 数字を入力する作業が多い場合は、テンキー入力機器を利用できるようにすることが望ましい。

このあたりは結構浸透した考え方じゃないですかね。会社で支給されたノートPCを持ち帰って、自宅で作業するにあたって外付けモニターを接続してマルチディスプレイ環境にするとか、外付けのメカニカル青軸キーボードを(略

・椅子

椅子は、次の要件を満たすものを用いること。

(イ)安定しており、かつ、容易に移動できること。

(ロ)床からの座面の高さは、作業者の体形に合わせて、適切な状態に調整できること。

(ハ)複数の作業者が交替で同一の椅子を使用する場合には、高さの調整が容易であり、調整中に座面が落下しない構造であること。

(ニ)適当な背もたれを有していること。また、背もたれは、傾きを調整できることが望ましい。

(ホ)必要に応じて適当な長さの肘掛けを有していること。

まあ、このあたりは労働衛生管理上、あたりまえですかね。在宅ワークにおいては軽視されるケースが多いように見受けられますが。

・机又は作業台

机又は作業台は、次の要件を満たすものを用いること。

(イ)作業面は、キーボード、書類、マウスその他情報機器作業に必要なものが適切に配置できる広さであること。

(ロ)作業者の脚の周囲の空間は、情報機器作業中に脚が窮屈でない大きさのものであること。

(ハ)机又は作業台の高さについては、次によること。

a 高さの調整ができない机又は作業台を使用する場合、床からの高さは作業者の体形にあった高さとすること。

b 高さの調整が可能な机又は作業台を使用する場合、床からの高さは作業者の体形にあった高さに調整できること。

これも当たり前ではありますが、なかなか在宅ワークにおいては難しいことも多いですよね。作業に割ける広さの机となると、家族が共用するダイニングテーブルしかない、という場合もあると思いますので、逆にそういう場合は考え方を変えて、「政府指針に準じた在宅ワーク環境が用意できないから、在宅はあきらめてコワーキングスペースを利用する」とか「車の中にワーキングスペースを作る」とか「自分一人でも出社を認めてもらう」とか、そういうポジティブな方向に進むのがいいと思います。

政府指針というのはそういう個人の考え方とか取り組み方に対する意思決定の基礎資料として使うこともできる(つまり政府の責任に転嫁する)、というのを覚えていただけるといいですね。

 

作業環境管理について

さて、情報機器が揃ったら、次は作業管理ですね。これも細かい指針が策定されています。ちょっと細かすぎるんじゃないの、と思うところもありますが、見てみましょう。

・作業時間等

イ 一日の作業時間

 情報機器作業が過度に長時間にわたり行われることのないように指導すること。

ロ 一連続作業時間及び作業休止時間

 一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分~15 分の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1回~2回程度の小休止を設けるよう指導すること。

ハ 業務量への配慮

 作業者の疲労の蓄積を防止するため、個々の作業者の特性を十分に配慮した無理のない適度な業務量となるよう配慮すること。

えっ、「一連続作業時間が1時間を超えないように」ですか。いやー、これが政府指針ということなら仕方がないなあ、ということで休憩させてもらいます。ってのはいいかもしれない。

・調整

 作業者に自然で無理のない姿勢で情報機器作業を行わせるため、次の事項を作業者に留意させ、椅子の座面の高さ、机又は作業台の作業面の高さ、キーボード、マウス、ディスプレイの位置等を総合的に調整させること。

イ 作業姿勢

 座位のほか、時折立位を交えて作業することが望ましく、座位においては、次の状態によること。

(イ)椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分にあて、履き物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とすること。また、十分な広さを有し、かつ、すべりにくい足台を必要に応じて備えること。

(ロ)椅子と大腿部膝側背面との間には手指が押し入る程度のゆとりがあり、大腿部に無理な圧力が加わらないようにすること。

ロ ディスプレイ

(イ)おおむね40cm 以上の視距離が確保できるようにし、この距離で見やすいように必要に応じて適切な眼鏡による矯正を行うこと。

(ロ)ディスプレイは、その画面の上端が眼の高さとほぼ同じか、やや下になる高さにすることが望ましい。

(ハ)ディスプレイ画面とキーボード又は書類との視距離の差が極端に大きくなく、かつ、適切な視野範囲になるようにすること。

(ニ)ディスプレイは、作業者にとって好ましい位置、角度、明るさ等に調整すること。

(ホ)ディスプレイに表示する文字の大きさは、小さすぎないように配慮し、文字高さがおおむね3mm 以上とするのが望ましい。

うーん、実に細かい。というかそんなの当たり前じゃね、というところもありますが、労務環境管理ということで、例えばずっと座り続けることを強要したり、モニターの輝度照度やら、椅子の高さの調整をさせない、なんていうブラック環境はダメよ、ということなんでしょうかね。ここでは抜粋まではしませんが、ガイドラインの解説ページにおいて、作業の「拘束性」という概念が提示されていますが、拘束性が高い状態はよくない、という考えが反映されているのだと思います。

まとめ

今般の情報機器ガイドラインでは、作業環境管理について、従前運用されている「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」も併せて参照して、以下のような環境構築をすべしということで、以下のような一枚紙イメージが提示されています。こちらのイメージファイルをよーく理解して、快適なテレワーク環境を構築していきましょう。

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では、今日はこのへんで。

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  • 連獅子
  • @renjishi
弁理士資格、1級知的財産管理技能士資格等を持つ知財系ゆとり。現在は某政府機関に所属。FXやポイントサイトなど、国家公務員でもできる副業を模索中。

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