2023年12月11日に国際電気通信連合(ITU)が原則2035年までにうるう秒を廃止するとした決議案を採択しました。最大で2040年まで延長があるとのことですが、悪名高きうるう秒がなくなるのです。
元々、時間は太陽の動きで決められていました。太陽が一番高く上る時間が正午です。
正午から正午までを24分割した時間が1時間と決められていました。地球の自転はほぼ一定なので、それを基準に時間を定義したということです。
その後、時計がどんどん進歩し正確な時間を計れるようになっていきます。
そしてついに地球の自転の精度(ばらつき)よりも時計の方が正確になったのです。それによって時間の定義は原子時計で決められることになります。
うるう秒って何? 次回の予定はいつ? 太陽時・原子時・協定時・わかりやすい時間の話
原子時計で測定すると地球の自転速度のばらつきまで測定できます。そうなると1日(正午から正午まで)は、ぴったり24時間ではなくわずかに違ってくることになります。
地球の自転で決まる時刻と原子時計での時刻の違いを補正するためにうるう秒が導入されたのです。
「地球の自転で決まる時刻と原子時計での時刻の違うとまずいよね」ということで、ずれが1秒以上にならないようにするためにうるう秒は導入されました。
0.9秒ずれそうなときに1秒うるう秒を挟んで一致させることになったのです。
大きな問題は「うるう秒がいつ発生するかわからない」ということ。
地球の自転速度の変化は複雑で気象条件などによっても変わるので予想ができないのです。
うるう秒には弊害もありました。
精密な時計では1秒のずれも許されません。うるう秒が入ると一気に1秒ずれることになります。
うるう年のようにいつ発生するのかわかっていれば、それを織り込んだ時計を作ればいいのですが、それもできません。
ちなみに自動で時刻合わせをしてくれる電波時計はうるう秒も自動的に補正されます。電波時計の基準の方を修正してくれるからです。
特に弊害が大きいのがネットワーク機器でしょう。
世界中で時刻合わせができてなければ、すぐに大きな障害になります(株などの売買の時間差を考えれば、そのくらい正解が時刻合わせが必要か想像できます)。
このようなシステムでは、うるう秒による障害が問題となります。障害がおきないよう様々な工夫がされていますが、それでも障害はゼロにはなりません。
うるう秒による障害を避ける方法もどんどん複雑になり大きな負担となってきています。
そのような背景もあって、うるう秒の廃止が決定されたのです。
地球の自転による時刻とはずれてしまうことになりますが、数十秒ずれたからといって大きな問題はないような気はします。