スプトレ相場編では、Splinterlandsでのカードの売買に使える相場や投資の知識や考え方を紹介していきます。
第4回はリスクリワード比のお話です。
板読みによって市場から情報を得られるようになったとしても、100%先行きを予測して、全く損せずトレードし続けることは現実的ではありません。不確定なリスクの中で、いつ買っていつ売るか、どうやって判断すれば良いのでしょうか?
ここではリスクリワード比によって不安と期待を数値化して、必要以上に恐れずに挑戦する方法を紹介します。実際のカードを題材に考え方を説明していきますので、ぜひお付き合いください!
リスクリワード比は、これから行う1回のトレードのリスクに対して、どの程度の利益が見込めるかの割合を計算したもので、リスクリワード比=利益/損失です。
※一定期間のトレードに対して計算することで、自分のトレードを数値化して振り返ることにも使えます。ここでは1回のトレードに使うこととします
$10のカードを買って、成功時に$16、失敗時に$8になると予想しているとします。予想される損失は2、利益は6なのでリスクリワード比は6/2=3.0と計算します。
数値化することで、オッズ3倍の挑戦、すなわち$2をベットすることで$6を狙いに行く取引と見做すことができます。このようなリスクリワード比3.0の取引であれば、4回に1回成功すれば±0になります。前回の板やこれまでの値動きを踏まえて、それ以上の成功率が見込めるならば、同じ条件でトレードしていけばプラスになることになりますね。
※厳密には一部取引手数料として大会等のためにプールされることになります。それはそれでSplinterlandsエコシステムの一部として活動している気分になれて悪くないと思ってます
ちなみに、リスクリワード比と勝率から、プラスになるか否かをプロットするとこのような図が書けます。リスクリワード比1.0なら50%, 2.0なら33%, 3.0なら25%と、期待値がプラスになるのに必要な勝率を見ることができます。
このリスクリワード比(RR比)は、カードや取引ごとに決まっているものではなく、自分で選ぶことができるものです。
私は売る価格を決めておいて、どこで買うかによってRR比がどう変化するか見るという使い方をよくやります。何かを固定して別の数値を弄ることでシミュレーションするのは常套手段です。
ここでは仮シナリオとして、あるカードでの一例を考えてみます。
下の図は、sneak攻めで使える白の良カード、STITCH LEECH(金枠)の価格の遷移です。こちらのサイトでカードごとの過去の価格をグラフで見ることができます
グラフを見ると、下がっても$1.7ほどであまりへこんでいない割に、上方向には何度も飛びぬけているのが分かります。パックで供給されつつも、定期的にまとめ買いされているのかもしれません。どこかのタイミングで買ってマーケットに置いておけば、最安値でなくても買われることはありそうです。現状は$2.1のあたりに少し厚い売り板があるのが気になりますが、Commonなのでそれもずっと残るわけではないとしましょう。
とはいえここではあまり無茶をせず、上がったら$2.0くらいで売ろう(利確)、もし下がったら$1.5で諦めて売ろう(損切り)と売るタイミングを設定して、いつ買うかによってリスクをコントロールすることを試みます。
グラフを見ると、買える場所はいくつかありそうです。
0. 今$1.9で買う。RR比0.25。(手数料で相殺されるので今回は無し)
1. 今Bidを入れて$1.8で買う。RR比0.66
2. $1.7まで下がったときに買う。RR比1.5
3. $1.7の時にBidを入れて1.6くらいで買う。RR比4.0
これらを比べた時、圧倒的に3番が安全そうですが、成立には時間がかかりそうですね。今回このカードは定期的にまとめ買いがあるのでそこまで安全はとらないことにします。
すると1か2ですが、今は全体的にカードが買われている気配がありそうなので更に速度が欲しい所です。RR比は低くリスクは上がってしまいますが、このカードだったら早めに買える$1.8にbidを入れることにしましょうか……という感じで思考していきます。
計算のために簡単な数字にしたり、割とランダムにカードを選んだためにRR比は1切りましたね。期待値の曲線を見ると、勝率6割程度でもマイナスなので分は悪いですが、2を狙うと買えるのは結構あとになっちゃいそうな気もします。悩ましいですね。
ということで、実際この通りに買うかと言われると、もうちょっとRR比が良い方が良いなー、他に探すかなーとはなりますが、流れはこのような形です。板だけで考える時と比べて、今後の見通しも考慮して候補手を選んでいるのが伝われば幸いです。
※あくまで考え方、RR比を使った思考方法のサンプルです。実際には他のカードと比較して買うかどうか考えていきますし、このカードを買った方が良いという投資の助言ではありません。
整理すると、この使用例では以下の手順で売買のタイミングを決めました。
① グラフからいくらで売るか決める
② いくらで買えるか選択肢を出す
③ RR比とエントリーの頻度のトレードオフで買うタイミングを選ぶ
段階ごとに選択肢や可能性は数多あって、カード購入の予算やトレード期間、他に見る情報によっても選択は変わりそうです。こうやって手順を整理してみると、同じカードで同じ手順としても買うタイミングは人それぞれになりそうで、やはりトレードは面白いですね。
ちなみに、このようなカードごとの買う前に考えたことをメモとして残しておくと財産になります。後で見直して答え合わせしたり、自分の推論の緩いところを修正したり、状況が変わったあとの売買に使えたり。最初はざっくりの思考だったのが、段々精緻化していくのも分かるかもしれませんね。
リスクリワード比でリスクを検討する例を紹介しました。根がビビりな私はこのような観点からリスクを避けようとしてしまうため、バトルで使うカードは長期保有せずレンタル重視のスタイルです(Brawl用のβは常に持ってます)。
資産を十分に投入していれば、貸出や大会出場、シーズン報酬などにより、楽しみながら定期的なリターンで回収できるかもしれません。が、微課金勢がゲーム内アセットをゆっくり強化しながら楽しむには、レンタル+トレードというのも一つの手なのかなと思っています。
とはいえトレードメインの私も、思い出のカードは手放さずに持っています。はじめて当たったEpicのTorhilo the Frozen、少し背伸びしてバトル用に買ったCreeping Ooze、$60で売り損ねた戒めのDjinn Oshannus、執筆で折れそうな心を支えてくれた投げカード。これらは、価格がどんなに下がっても上がっても、ずっと保持し続けるつもりでいます。こうして保有したり識別したりできるのもNFTの良さですね。
さて。話がずれてしまいましたが、リスクリワード比でシミュレーションしながら考えることで分の良いトレードに挑めそうです。
しかしながら、今回の例では損失をえいと決めていましたが、リスクの大きさをどうやって見積もればよいのでしょうか?気づかないうちに変動しやすい、あるいは売れにくい高リスクのカードを買ってしまうことをどう避ければ良いでしょうか?
次回、第5回は「黒字倒産にご用心」の予定です。お楽しみに。
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