

スプトレ相場編では、Splinterlandsでのカードの売買に使える相場や投資の知識や考え方を紹介していきます。
前回は分散購入戦略としてナンピンを紹介しましたが、いつ、何を買うのかを決める方法についてはまだ深堀りすることができませんでした。
今回は、特徴的な銘柄に絞って計画的に買い増しながら上昇をとらえていく相場師の技法として、うねり取り/リズム取りを紹介します。
あくまでカードの売買に役立つ考え方を探っていく目的ですので、厳密な手順や道具については扱いません。身近に相場師の方が居るわけではないですので、情報源は本などの知識やカードでの経験に拠っています。
各技法はどんな時に使われるのか、市場と技法にどんな性質があるか、カード購入のタイミングをどう計るか、紹介していきます。
ナンピンから一度の売買から時間をかけての分散売買に選択肢を広げましたが、実際の投資ではどのような選択肢があるのでしょうか?
時間軸の観点で整理して、短期から長期までざっくり例を並べたものがこちらのイメージです。以前カード売買で解説した板を見て短期間でトレードする方法から、積み立て投資のように一度買ったら数年間ずっと持ち続ける方法まであります。

矢印の上には株式やFX、仮想通貨での取引戦略を並べていて、矢印の下には今回扱う相場師の取引戦略を並べています。詳しくはのちほど説明しますが、うねり取りは数カ月単位の大きな価格変動の波から利益を得る方法で、リズム取りは数日~数週間単位の細かい波から利益を得る方法です。
それぞれ長短や商品との相性がありますので、どんな時に利用できる方法なのか解説していきます。
うねり取りやリズム取りは、先物や株式商品の性質を活かした投資方法です。値動きを日々追いかけることで値動きの感覚を磨き、今の価格がどんな状態なのか把握することを目指します。ここではその感覚を磨く術や訓練方法は扱いませんが、それらの商品の性質である周期性と自己相似性をキーワードに各手法を紹介します。具体的な方法はのちの章で解説し、ここでは概説のみです。
詳細が気になった場合はこちらを読んでみて、苦手でなければ本内の固有名詞をキーワードに広げると良いと思います。異なるスタイルをぶっ叩く系ですので要注意。
税制や決算、新年度、周期性を信じる人々の売買など……なんらかの理由で株価に周期的な価格の動きがあることが知られています。日本の株だけで起きる現象ではないようで、"Sell in May"という言葉のように、アメリカでもハロウィンに買って5月に売れとも言われています。
うねり取りに関する書籍等で語られることの多い投資対象は、安定した銘柄です。ニュースなどによる大きな変動がなく、十分な取引量があって価格操作がされにくく、一株数千円の会社の株です。理想的には下図のように、3カ月ほどの下げと3カ月ほどの上げを繰り返すものようです。

その中でも周期的な価格の変動をしている銘柄を、特に波の動きが自分に馴染む銘柄を見つけることに重点を置いています。そのような銘柄さえ見つければ、数年どころか一生その銘柄だけ売買すればよいと主張する方も居るようです。
うねり取りにおいては、この大きな波の下がった時に買い、上がった時に売ります。下がっている所と認識できるならば、打診買いのまま売っても、ナンピンしても大きく利益を上げられるという作戦です。時間がかかりますが、やることがシンプルで落ち着いて売買できるため、熟達しやすい方法です。


自然界には、自己相似性あるいはフラクタルというという性質が出現することがあります。右画像のカリフラワーのパーツが小さいカリフラワーになっているように、同じ形が繰り返されることで全体を成しているものです。雪の結晶も、部分と全体との間に似たものを感じ取ることができます。巻貝や木もその一例ですね。

実は株価のグラフにもこのような性質があり、全体としての波と部分的な波に相似性があるということが指摘されています。
先ほど解説したうねり取りだけを考えてしまうと、半年規模の波に対して売買のチャンスは1度だけです。
一方でこの数日~数週間の部分的な波に対しても底を見出してナンピンで買うと、細かく利益を上げられます。その売買を合算すると実際の大きな波の値幅よりも利益を上げられるほど膨らむのですが、この中期の売買をリズム取りと呼びます。
大きな波としての動きを意識する必要もありますが、直近の価格変動がどう起きているのか観察することで、うねり取りのように底を捉えることができます。
※どんな波が繰り返されているかという話まで踏み込むともっと面白いと思います。そちらも気になる方はエリオット波動理論を追ってみるとよいと思います。
期間としても技法としても、カード売買にはリズム取りが参考にしやすいです。
前述のように、うねり取りは数カ月単位で規則的に上げ下げする安定した銘柄を狙いますが、この条件を満たすカードは中々見たことがありません。
Splinterlandsではこの1年の中でも、資産家の離脱によってDECの価格とカードの交換価値を大きく下げたことがありました。ただゲーム自体の魅力から残っているプレイヤー観点でのカードの価値は、パック発売からの時間経過と運営の施策と共に高まっています。DECでの価格を見てみると、急騰と暴落を繰り返しながら上がっていくものが多く、長期的な下げを待っても機会が訪れない可能性があります。むしろ価値を見出されて急騰したまま下がってこないものも多く見かけます。そのため、数日~数週間の波を捉えてナンピンするリズム取りの方が実行しやすい感覚があります。
また技法の面では、長期保持するうねり取りではリスクヘッジのためにつなぎという技が求められます。ただしカード売買ではマーケットの仕様上、純粋にはその技を利用できません。リズム取りであれば、①価格変動の癖を掴み、②ナンピンで一時的な底を捉える と、技術的には前回のナンピンの精度が上がれば上手くいきました。
最後にうねり取りから学べることとして、うねり取りで要求される条件を満たさないカードでのナンピンは避けた方が良いかもしれません。板が薄い品薄株、環境やリリースで状況の変わる材料株、価格操作の行われている仕手株は向いていないとされています。これにはαβやリリース直後のカードが該当しそうですね。底が読み切れずに値下がりしたり、他の人の指値が安くて逃げきれなかったり、複数枚買っても捌きにくかったりと、確かにナンピンのリスクは高そうです。
売買としてはナンピンすれば良いとして、もう一つの重要事項である、価格変動の癖を掴む、あるいは短期的な底を見つけるにはどうすればよいでしょうか?
古典的な手法としては、絞った銘柄の価格を記録し、手でグラフを書いていたとのことです。次を予測するのではなく、あるがままにパターンを手や目に馴染ませて、今日の価格が底なのか分かるような感覚を鍛えるとのことです。この時、のちに上がったり下がったりするかという予測はせず、あるがままにデータを受け入れていくとのことで、一般の人が今から真剣にやるのは難しそうな修行ですね。
※教師なし学習や事前学習を人のハイスペックな汎化能力を使ってやるようなものと考えれば、その末に高精度な株価予測器が作れるという主張は一応理解できます。欲を消し予測をしないという注意点も納得です。ただその実現のためには、ノイズの少ない高品質なデータが必要になりそうですので、安定した銘柄でないといけないというのはかなり重要と感じます
その道の方には邪道と言われそうですが、他の方法としてはテクニカルな指標が有用だと思っています。特に、基本的にカードの価格が上がっていくときに購入する(順張り)という前提を置くならば、支持線を考えるだけでも役に立ちます。
例えばこちらは、リワードのレジェンドDJINN OSHANNUSです。ブロンズ帯でもゴールド帯でも使える良カードですが、そのうちリワードの印刷が終了したら更に価値は上がるかもしれませんね。これのDECでの価格がどうなっているか、過去90日ほどで記録・計算したグラフがこちらです。

ここ最近で値上がりしているようですが、それ以前はずっと1500DECから2000DECの間をふらふらしていたようですね。最近の底値が1800DECですので、1800や1500まで下がってくるかなと監視していると、買い時がやってくるかもしれません。そのあたりに分厚いBid注文がある可能性もありそうです。
※このカードを支持線通りに指値を入れて買えば良いという助言ではありません。手で記録せずとも毎日グラフを更新して変化のしやすさを感じてみたり、板の状況を見て価格操作している人が居ないか、botが張り付いていないか、暴落のリスクはないか、などこれまでのテクニックと合わせたりして判断します。グラフを作ると、注目するべき価格も分かったりして捗りますよ、というくらいのお話です
中期間の価格の変動を捉えてナンピンするリズム取りを紹介しました。新しい売買の選択肢やアイディアの元になれば幸いです。
ここ最近の私は絞ったカードの価格の変化を追いつつ、下がったタイミングでナンピンしながら買い集め、数日~2週間単位で売るようにしています。25枚のカードの価格の変動をヒートマップにしているのですが、それはそれで価格の動きやすい銘柄や全体としての上昇/下降トレンドが見えて面白いです。
ところで先ほどのDJINN OSHANNUSのグラフに違和感を持った方も居るかもしれませんが、実はここ数カ月はカード価格は上昇していて、直近の底値付近まで下がったものを買って売ればプラスになる状態だった認識です。
次回は「$100買い⇒$90売りで儲ける」というテーマで、このように視点を変える考え方について紹介する記事を5/28(土)に投稿する予定です。これまで実際に使ってきた相場の知識についてはこれで一通り触れたことになるため、スプトレ相場編は次回でひと段落の予定です。
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