マーケティング活動に関わる方であればLTV(顧客生涯価値)という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
LTVを理解し、活用することでマーケティングにおける投資回収可能ラインを明らかにすることができ、健全なマーケティング投資活動が運営できますので、マーケティング担当者はもちろん、事業収支を管理している担当者などにとっても必須知識になっています。
本記事ではまずはLTVを理解し、どんなシーンで活用するのかイメージが持てるようにするところまでをゴールに解説していきます。既に知っている方もこれを機会に復習も兼ねて記事を読むとさらに理解度を増すことができると思います。
LTVは Life Time Value の略語であり、日本語訳すと「顧客生涯価値」です。顧客が生涯を通じて該当の商品やサービスにもたらす売上のことを指し、一般的には商品やサービスに対する顧客ロイヤリティが高い(リピート回数や購買頻度が高い)ものほどLTVが高くなります。
色々と説明するよりもまずはLTVを計算するための式を見てもらった方がイメージが付くと思います。
LTV = 平均購入単価 × 購入頻度 × 継続購入期間
計算式からもわかる通り「顧客がその商品を使い続ける上で、商品に投下する金額の総額」を表しています。
それではなぜLTVを算出することが重要なのでしょうか?
それは顧客獲得にかかるコストの上限を決めるためです。どの市場に対峙していても競争が激化すると顧客獲得にかかるコストは増加していきます。ただし無尽蔵にコストを増加させても後々投資回収できない規模までコストを投下していたら事業はつぶれてしまいます。
そのため、顧客獲得にいくらぐらいまでなら出しても後々投資回収が可能なのかを事前に計算し、その数値をベースにマーケティング活動をする必要があるのです。
また投資回収が可能かの判断をする以外にも商品やサービスの中長期パフォーマンスを測るために活用されます。例えば、売上だけで商品やサービスのパフォーマンスを見ていると新規獲得がうまく行っていれば順調に見えてしまいますので、短期視点になりがちで実は新規で獲得した顧客が全然継続しておらず中長期で見た時に全然うまくいってなかったというのはよくある話です。
そのため継続の観点も含まれているLTVを定期的に計算、モニタリングすることは中長期の経営において非常に重要です。
また計算についてはこのサイトから簡単に行うことができます。
次に代表的なLTV活用シーンを具体的なケースで説明したいと思います。
シーン1:リスティング広告の目標CPAを決定する
先程説明した通り、マーケティング活動の投資回収ラインを設定するための活用することができます。
今回ケースとしては、最近ECサイトでもよく見る定期購入サービスに関してのリスティング広告出稿を想定してみましょう。
商品:お酒の定期購入サービス
値段:月額10,000円
原価率:70%
この商品をリスティング広告で新規購入者を増やそうとした時に目標となるCPA(Cost Per Action)をどのように設定しますか?
単月で見ると原価率が70%で、1万円売って3,000円が手元に残ることになりますので、この3,000円が広告投資の限界に見えます。ただ同様の商品を持つ競合がいる場合、この目標CPAではリスティング上位に掲載されず獲得がうまくできない可能性が高いです。
そこでLTV計算を使い、単月ではなく中長期で見た時の広告投資限界点を明らかにしましょう。
LTVを計算するためには先程書いた商品の情報だけではなく下記項目を明らかにする必要があります。
月間平均顧客単価:12,000円※お酒の定期購入サービスを買っている人は他の商品も毎月買ってくれている場合はそれも加算して計算します
翌月リピート率:90%
計算期間:12ヶ月※投資回収をいつまでに行うのかに合わせてこの期間は設定します、今回は1年で回収できる投資限界点を計算する前提で設定しています
この情報を基に、原価率70%の前提でLTVを算出すると25,832円となり、なんと単月で計算した場合の8.6倍にもなっています。
もちろんこの限界点を目標CPAで設定してしまうと利益が全く残らないことになってしまいますので、ご自身の判断で最終どれぐらいの利益を残すのか決定し、最終の目標CPAを設定する必要があります。
いかがでしたでしょうか?単月で見た時と中長期のLTVで見た時で広告投資が可能なラインがだいぶ変わってきますし、その結果競合企業に対する広告での競争力も向上させることが可能になります。
他にも色々なシーンでLTVを活用することができますので、それはまた別の記事で説明したいと思います。