今回は農薬の安全性について書きたいと思います。
農薬の安全性と書くとバイアスが掛かるので参考までにフラットな視点で読んで頂けたら幸いです。
そしてまず冒頭に僕は農薬肯定派でも無く否定派でも有りません。
技術畑出身者として化学技術の進展には心躍りますし、一方で自然をこよなく愛するサーファーであり農家として農薬を散布する労力はかかるしで、必要がないならやりたくはない。
前置きが長くなりましたが農薬の安全について、日本国で農薬登録の認可を取ろうとすると大きく次の3つをクリアにしなければなりません。
1、NOAEL(Non Observed Adverse Effect Level;無毒性量 )
これは複数の用量群を用いた反復投与毒性試験、生殖・発生毒性試験などの動物実験において、毒性学的なすべての有害な影響が認められなかった最高の暴露量のこと。
そして動物で無毒性が確認出来ても人間は大丈夫なのか?に対して、動物の無毒性量の約1/10の安全係数を用いる事になっています。即ち動物より更に10倍の安全基準を設けていると言う事です。
またNOAELにプラスして、人は各々食事の摂取量や食べる物も異なる事を考慮し、更に1/10、即ち動物実験の無毒性量から100倍の基準を設けています。
この100倍の基準を2つ目のADI (Acceptable Daily Intake;⼀⽇摂取許容量)とARfD(acute reference dose;急性参照用量)とし、安全としています。
対象の化学物質を毎日摂取しても安全とした根拠はこの様な基準です。
そして最後は
3、FF(フードファクター)
これは日本人一人当たりが一日に食べる食べ物の量の事であり、この数値を元に日本人が一日に食べる量の中の残留農薬が摂取し続けても良い量(ADI,ARfD)を下回れば安全としています。
FFは厚生労働省が定期的に調査しアップデートされます。
農薬は法律でも農薬取締法、食品衛生法、食品安全基本法で法制化されておりファクトチェック、計算、法制化から使う量が定められています。
そしてもう一つ、我々プロ農家の生産物には抜き打ちで残留農薬の検査があります。
もしこれに引っかかってしまえば莫大な損害となりプロ農家は倫理的にもビジネス的にも慎重に取り扱っているのは事実です。こんなリスクと労力を使う事を思うと農薬なんか使いたくないというのが農家の本音です。しかし消費者市場では質より見た目重視な現状があるのも事実です。
話がそれてしまうのでこの辺りはまた書きたいと思います。
では、農薬に対する安全性基準が完璧と言えるのか?において
一つの視点として、日本国での一つの農薬の登録まで、企業は数10年以上の時間と数百億円単位のお金をかけていると言われています。
登録に関係する省庁を上げても農林水産省、厚生労働省、環境省、内閣府、消費者庁と企業は研究から商品化するまでとんでもない労力をかけています。人への安全性に係わる事なので膨大なステップが必要なのも頷けます。
もう一つ技術改革視点として、有名な話ですが過去欧米で起きたブルーベイビー病や、日本の水俣病、これらは窒素問題ですが今回のコロナワクチンでの賛否の様に技術改革は人を豊かにする反面副作用が出る事も有ります、しかし空気中の窒素を取り込む技術が食物生産の後押しをして世界の人口を増やし、農薬は野菜の安定供給に貢献していると言う事実もあります。現代の技術革新では僕達の住む地球環境問題も視野に入れて進められていますよね。
この辺りの情報に顔を突っ込みだすと人間には無くてはならないエネルギー源の食の安心と安全、人類学的に観ても人間の食への欲求は衰える事はないです。そしてこれらもweb3.0時代で進化の加速がなされると僕は思います。
人間が摂取している食べ物は活動エネルギーとして必要である一方で、摂りすぎると毒になると言った話によくなるのですが、食とは人それぞれ様々であり、農薬の安全性についても安全とは人それぞれ様々で異なりますし、安心、即ちリスク許容範囲も同様にご自身で選択する事が大切です。
以前流行りの様にトレーサビリティと騒がれていましたがNFTによるトレースは多様性社会の中で今後より重要になると思います。
巷では欧米と比較して日本は農薬大国だと騒がれていますが、これらの国でも農薬問題は同じように騒がれています。
日本の農薬の安全性はどうやって決められているか。まずここを知った上でご自身にとって安心安全な食品の選択をする事が大切と思います。
基準や規準は随時変わりますので間違いが有ればご指摘くだされば幸いです。
ここまで読んで頂き有難うございます。