子供の泣き顔に後ろ髪を引かれながら、転職先の会社へ向かったワイン氏
そこでいきなり1ヶ月の研修を宣言される。更に人影のない場所に連れて行かれているバスの中で同期からの辛い前職経験を聞く事になる・・・
そして私の仕事は一体・・
まずは保険会社の事をお話しよう。
保険会社は大きく3つに分けられる。生命保険・損保保険・第3分野の保険
私の新会社の同期は損保会社の国内大手で働いていた。
彼は損保会社の総合職で自動車保険の部署におり、毎日カーディーラーを営業で回り保険の件数のすり合わせや、優秀な営業マンを呼んでパーティーなども行われていた。私も参加した事があるが、質素な立食パーティーだった記憶がある。
ここで損保会社の当時の年収を確認しておく。
平均で800~900万円。当時はリーマンショックの真っ只中にも関わらず、ほとんど給与は変動していない。1000万円プレーヤーになるのが普通の企業体質で損保会社が如何に潤っているのかがよく分かる。
そんな好待遇の業界にいる人間がなぜ転職なのだろうか・・・
ワイン「ブラックって事はサービス残業とかが横行していた感じ?」
同期A「そうですね。もちろん営業なので時間外手当はないです。自動車販社に訪問する時とその他土日の対応が多くて大変でした。あとノルマへの追求が凄いんです。」
聞いているとそこまで激務感は伝わってこない。これは本人の意志の問題ではないのかと感じるほどだ。しかし彼が言う土日の対応と言うのが気になる。
土日はしっかり休みを取れるイメージがあったからだ。
ワイン「土日も仕事なの?結構休めるイメージあったけど。」
同期A「休みですよ。ワインさんも土日に事故対応とかしませんでした?」
思い出した。そうだ!
土日の事故対応で保険に関する相談などを損保会社の担当者とやり取りしていた。しかも最初はお客様もコールセンター対応だが、その後のやり取りは総合職がやり取りを変わる。
要は土日も人は車を乗り事故をするのだ。損保会社の総合職が激務と言われるのはここにある。
内閣府の調査でも金・土・日も事故件数は落ちない。平成26年度はむしろ週末に増える傾向にあった。
要は土日に事故件数が減れば、損保会社の総合職の人は少し給料が落ちても快適に休日を休める。
同期A「仕事が終わらないんですよ。特に新人や仕事のできない総合職は売り上げの少ない店舗を数多く担当させられます。するとノルマは達成できないが、事故対応の件数は半端なく先輩方より多いんです。地獄ですよ。世間が連休になると我々は休めません。事故するから・・・。」
想像してほしい。休日の早朝に事故対応の連絡で起こされる朝・パートナーと談笑中に事故対応の電話がありパートナーから嫌な顔される休日。
休みが休みで無くなる日々。この毎日に彼は耐えられなくなったのだ。
私はこう言う人達に感謝を伝えたい。
誰かが休んでる時に仕事をしてくれる人がいるから経済が回っている。
決して個人では出来ない作業をしてくれている人がいる。社畜と揶揄され、寝る間も惜しんで働いてくれる人も経済を支えている。
今使っているブログサイト・スマホ・パソコン・インターネット。
これらがあれば個人で稼げる時代。その裏にはその環境を守っている社畜がいる事を忘れてはいけない。個人は組織によって生かされている。組織も個人のおかげで成り立っている。だからこそwin-winでお互い尊いと思う。
話を戻そう。
保険に入っていないと払えない修理代金はたくさんある。1発事故して数十万、人身などになると物凄い金額になる。
この複雑な対応を彼の様な新人が数多く持たされていたのは知らなかった。
土日も連絡が取れて対応してくれていた事に本当に感謝する。ありがとう。
私は彼の話を聞きながら感謝をしていた。
そういえば以前の職場でも新人で入社して3ヶ月持たずやめた損保会社の男性がいた事を思い出した。彼も同期Aと同様に心身共に耐えられなくなり辞めたのだろう。
その彼の名前を同期Aに伝えると知り合い同士だった。
世間の狭さを感じた。
そして闇はこれだけではない。高収入の裏には激務で新人が潰れやすい構造があった。更に営業車は自腹で購入するそうだ。
ガソリン代も自腹。外回りすればするほど赤字を垂れ流す様になっている。
当時はそうであって今は改善されている可能性はあるが、それはキツイ。
しかし同期Aは言う。
同期A「でも収入はすごく良いです。これだけで辞められなくなるほど良いですね。新卒でいきなり600万くらいは貰えますし。耐えられるドMだったら天国でしょうね。」
勿論、ノルマなどの数字ありきな部分もあるだろう。1回のボーナスで100万以上貰える人もいると聞くと夢がある。
しかし彼はここに私といる。
お金以上に大切な何かに気づいたのか、楽する為に逃げてきたのかわからない。
それでも彼は今ここで私とバスに乗っている。
損保会社の闇を聞きながらバスは暗闇の中
煌々と光る施設に到着した。
すでに施設の従業員が出迎えてくれており、大歓迎の拍手。
一体何がここで起こるのか・・・
次回予告
バスの中で車の事故対応と自腹の闇を聞いていたワイン氏
そんな話に夢中になっていると暗闇の中の施設に到着した。
そこで施設従業員が拍手で出迎えてくれる。
ここで地獄の1ヶ月が始まるとは・・・
次回、私の仕事内容と地獄の研修