中国人家族との値段交渉に挑んだワイン氏。そこへ西野先輩から「特車」というキーワードが入ったメールが届く・・・
ここで少し世界と日本の経済的な時代背景をお伝えしたい。
2002年アメリカでITバブルが弾け、恐慌になる事を避ける為当時のFRB議長は大胆な金融緩和に踏切り、恐慌は避けれた。しかし金融緩和をした事で金利は低下し、その頃から低所得層向けのサブプライムローンが住宅資産の期待で流行、更に人口増加が拍車を掛け、この当時の2005年頃はアメリカは住宅好景気で湧いていた。日本も小泉政権化で好景気が継続していた。更にこの年は郵政民営化の是非を問う「郵政解散」が行われ、解散・総選挙で与党が圧勝し、これで郵便局が民営化される事が決まった年だ。
この時私は経済に疎く、全く興味も無かった。しかし、あの恐怖のリーマンショックへ向けて一歩ずつ確実に世界が進んでいた。
西野先輩からメールを受け取った私は一旦中国人家族に値引き交渉の停戦を申し入れた。軽くここまで1時間半は経過していただろうか。
すると森口先輩から電話がかかって来た。
森口先輩「ワイン!よかったな!いい値段ついてるぞ!」
自分「え!本当ですか!いくらですか?」
森口先輩「通常は35万やけど、今海外でこの車種人気でそっち持っていく為にすぐ※2週間以内に引き取れるなら60万で買い取れるそうや!」
自分「きた!!!!これは熱い!という事は日本市場では35万の買取価格で問題ないって事ですね?」
森口先輩「そうや!風はこっちに吹いてるぞ!初受注かましたれ!」
自分「御意!」
この時ラッキーだったのは海外での日本産の車が中古車市場がアジアを中心に売れていた!この流れに乗って一気に畳み掛けようとしていたその時。
ピリリリリリリ(携帯着信音)
(心の声)
西野先輩や、そういえばさっきメール来てたな!
自分「はい、ワイン・アンドリュービネガーです。」
西野先輩「おう、さっきの特車の事やけど今電話大丈夫か?」
自分「大丈夫ですよ。今めっちゃいい感じなんで悪戯なしですよ。」
西野先輩「大丈夫や、実は今回の商談している車種が特別割引車と完全に一致してるんや。メーカーの長期在庫車で良ければ、メーカーから30万補填あるぞ。」
自分「ええ〜まじっすか!!これはめっちゃ利益稼げます!」
西野先輩「もちろん、利益もやけどお客さんにも特別に安くして喜んでもらえるチャンスでもあるから逃すなよ〜!」
自分「御意!」
ここで整理しておこう。
店長決済の30万、下取り枠60万、特車枠30万
この車はトータル120万値引きしても赤字にならない商談となってしまった。
例えるなら、私が今書いている記事がホリエモン氏・イケハヤ氏・はあちゅう氏3名同時に取り上げられるくらいのあり得ない出来事だ。
(たいした事ないかww)
この最強布陣で中国人家族へ挑む事10分。
勝った・・・
長かった。
最後は特車で10万円値引きしてFINISH。
意外にもこれ以上は無理だと中国人家族も考えていたみたいであっさり終わった。
決まる瞬間は早かった。
中国人家族:本体28万+下取り35万+特車条件10万=値引き73万
ワイン:120万ー73万=利益47万
完全にwinwinな関係で終わった。
ぶっちゃけめちゃくそ儲かった!
店長は大喜び(利益多いから)メーカーは在庫が売れ、販社も1台カウントが増え、お客様は安く買う事ができた。
※特車は在庫の為納期を恐ろしく早くできる。書庫証明をダッシュで出してしっかり60万の下取りは確保したのは言うまでもない。
今回は特別に色々条件も揃った事もあるが、初受注に全員が喜んでくれた。
その後、この中国人家族は親戚の車を数年後に私から再度購入してくれ、とてもありがたいお客様になってくれた。
こうして初受注からその月はさらに2台程売り上げ、合計3台の実績になった。
そして12月
店長から呼び出された。
店長M「ワイン君。順調に受注取ってくれてありがとうな。そこでそろそろ営業車が必要だろう?どの車種にする?選んでいいぞ。」
自分「え、本当ですか!ありがとうございます。」
店長M「まあ、あんまり大きいと狭い道とかで身動き出来ない事もあるし、運転にも慣れていないだろうからコンパクトカーにしとく方がええやろ?」
自分「そうですね。実はこのコンパクトスポーツタイプに車がいいと思ってまして。西野先輩にもMTは乗れるようになる方が良いと言われてます。」
店長M「おお、そうか。じゃあ早速与信にかけよう。善は急げや。」
自分「え?与信・・・」
初受注に湧いたワイン氏とその愉快な社員たち
しばらく経ち、店長に呼び出され社用車を選ばせてもらう事に
なったワイン氏。
なぜか「与信」という言葉に嫌な予感をさせていたのである。
第8章へ続く