本記事は暗号資産古物商SSIの申請及び使い方に関して解説します。
古物商SSIで使っているのはuPortというイーサリアムの巨大企業Consensysが標準化を目指して支援するパブリックブロックチェーンやIPFSに基づいたオープンかつ無料で利用可能なID管理技術です。また、uPortは上記したDIDs仕様制定に深く関わっているパーティでもあり、この技術を実現するためにイーサリアムの認証プロトコル『ERC-780』や『ERC-1056』も開発しています。uPortは実際にクリプトバレー、スイスのZug州で市民権を管理するのに使われたり金融機関がKYCを共有するのに使われている信憑性の高いものです。まさにメタマスクの個人情報管理版みたいなポジションのアプリです。
古物商SSIサイトで『ログインして古物商許可商を認証』をクリックするとQRコードの横にアプリインストールリンクが表示されるのでこちらからAndroidかiOSかを選んでuPortアプリをインストールして下さい。
ログインするためには、uPortアプリでQRコードをスキャンする必要があるのですが、後でまた説明します。
uPortアプリでイーサリアムアドレスを生成して、プライベートキーで個人情報を管理することになりますが、大事な設定が2つあります。それはシードフレーズの保存とバックアップの設定です。初めてuPortアプリを開いた状態からの流れを説明します。
ID生成
uPortアプリ始動画面。
『Get Started』
をクリック。
※アプリを再インストールしたり、アカウントをリカバリーしたい場合は
『Recover Identity』
をクリックして下で説明する12単語のシードフレーズを入力します。
ユーザー名(変更可)を入力し、利用規約、プライバシーポリシーに同意にチェックを入れて
『Create Identity』
をクリック。uPort用のイーサリアムアドレスが生成される。お好みでプロフィール写真もアップロード可能。
シードフレーズ保存
アプリがバグったときや再インストールしたときにアカウントを復旧するために12単語のシードフレーズを必ずどこかに保存して下さい。この作業を行わないと仮想通貨ウォレットと同じで発行された認証や保存した個人情報を失うことになります。
設定画面から
『Account Recovery - Account At Risk』
をクリック。
シードフレーズを安全に保管することに同意して
『Setup Seed Recovery』
をクリック。
12単語を書き留めて
『Confirm Seed』
をクリック。丸見えですがこちらは僕の利用しているアドレスではなく捨てアカなので気にしません。
書き留めたシードを順番にクリックして『Continue』
をクリック。
Success画面です。ここで引き続き情報のバックアップをするか聞かれるのでこちらは自己判断でお願いします。
SSIのポイントが個人情報を中央集権なサーバーに置かないことなのですが、同時に管理に自己責任が生まれます。ここでのバックアップは、個人情報をuPortの用意したサーバーに保存してシードフレーズからアカウントをリカバリーしたときに発行された認証等も復旧可能にします。バックアップをしない場合、アカウントへのアクセスは復旧できますが認証などのデータは復旧できません。例えば、古物商許可証の認証を発行されている場合、紛失時にバックアップがないと再発行申請が必要になります。バックアップを希望する場合は
『Backup Now』
をクリック。
中央集権サーバーに暗号化されたデータを保存することに同意し、
『Backup Account』
をクリック。
こちらの画面へはシードフレーズ保存の際に経由した設定画面からも行けます。
バックアップ設定が完了すると『Success』画面がでます。これでuPortアプリでSSIを使う準備ができました。
繰り返しになりますが、シードフレーズをなくさないように気を付けて下さい。
それからuPortアプリですがたまに立ち上げ画面で詰まることがあるのでその際は一度アプリを閉じて、再起動すると直ります。
さて、古物商SSIウェブサイトに戻って先ほどのQRコードをuPortアプリを使ってスキャンします。スキャンボタンはアプリ右下の□(四角)です。
このような、ログイン承認画面がアプリの方に出てくるので
『Login』
をクリックします。すると、ウェブサイトの方でリモートでログインが完了するというマジックが起こります。
いよいよ許可証の認証を申請します。『古物商許可証認証申請へ』をクリック。
申請画面でサンプルの用に鮮明な許可証画像をアップロードし、掲載情報を正確に入力して下さい。こちらの情報一致を暗号資産古物商協会の方が確認して認証を発行する仕組みを想定しています。入力が完了したら『認証申請』をクリック。
申請中画面になります。確認作業が行われる前であれば、情報を修正できます。
情報の確認が完了して承認される(数日かかる事も有り)と以下のような画面になります。『証明を受け取る』をクリック。
ログイン時と同じ、QRコードスキャンとログイン認証を繰り返します。
暫くするとアプリの方に認証受け取り確認画面が表示されるので
『Accept』
をクリックします。
証明が発行されてアプリのCredentialsタブに『古物商許可証』が表示されます。クリックすると認証された情報を確認することができます。
証明は紛失した場合何度でも受け取れますが、上の
『申請データを削除』
を実行すると古物商SSIのデータベースからデータが削除されるので紛失時に再申請が必要になります。が、中央集権サーバーからデータを削除することができます。
以上で古物商許可証のSSI証明発行は完了です。
携帯に保存されたこの証明を外部の様々なサービスで利用可能になりKYC等が簡略化される予定です。
古物商SSIと同様の仕組みでログイン作業をすると今度はログイン時に古物商許可証の提示を求められます。
『古物商許可証』
をクリックすると提示を求められている情報の確認ができます。外部サイト(多通貨オークションプラットフォーム)にこの情報を提供することになります。
『Login』
をクリック。
※この場合許可証の全情報(画像含む)を提供していますが、今後証明書番号のみを共有する簡易証明も実装します。
古物商許可証が確認されると次のような画面になります。
外部サービス提供者はこういった方法で簡単に許可証の確認が可能になります。また、暗号資産古物商協会や連合した古物商市場でこの方法でKYCが済んでいる情報はプラットフォームごとの再KYCの必要を簡略化できる可能性があります。この辺を今後、協会や警視庁と相談の上調整していきたい考えです。海外では実際にuPortを使って金融機関がKYCを共有したり、スイスZug州の行政が市民権管理に使っている例があるので、古物商業界がこの方法を実用化できる可能性は高いと考えています。