教育用語の遠隔教育(えんかくきょういく)をプロ家庭教師が解説しています。(元記事)
【遠隔教育とは】
遠隔教育(えんかくきょういく)とは、学校授業を教室ではなく、離れた空間で受講することです。
【遠隔教育の解決する問題】
遠隔教育が解決すべき問題として、離島僻地問題・不登校生徒問題・定時制などがあります。
【遠隔教育の歴史 古典の文通】
遠隔教育の歴史として、古典・中世には文通がありました。例えば、初期の科学・哲学・文学などの作品は、貴族たちの文通を通じて発展していました。日本の古典和歌論は、師範から弟子への手紙という体裁で、執筆されています。20世紀の科学学術雑誌も、投稿・査読・掲載・反響を、手紙のやりとりで実現していました。文通には情報の更新速度の限界という短所がありますが、一方で、執筆者が1つ1つの情報をていねいに扱うよう促す長所もあります。
【遠隔教育の課題 予算とノウハウ】
遠隔教育の課題として、機械設備購入のための予算不足・現場教員のノウハウ不足が挙げられます。
【遠隔教育の事例 放送大学】
遠隔教育の事例として、すでに放送大学が存在していますが、放送とICTは、情報の方向性で異なります。放送が先生から生徒への一方向の情報配信であるのに対して、教育ICTは先生と生徒との双方向での情報送受信となります。
【遠隔教育の事例 SINET】
遠隔教育のための通信インフラとして、SINETも候補に挙がっています。SINET(サイネット)は日本政府による100GBPSの通信インフラです。国公私立大学や学術研究機関での運用実績があります。SINETが各教育機関に接続すれば、より教材利用の幅が広がる見込みです。
【遠隔教育の事例 ミネルバ大学】
遠隔教育の事例として、米国にミネルバ大学があります。ミネルバ大学の学生は都市を移動しながら学び、授業はオンラインで実施されます。その成果が見えてくるのは、まだまだ先になると思いますが、先進的な試みとして、他の教育機関へ影響を与えています。
【遠隔教育 教育ICT】
遠隔教育のためのインフラとして、教育ICTの整備が進んでいます。教育ICT(アイシーティー)とは、総称で、メール・スケジュール・宿題・提出物・採点・録画録音など、授業に必要な電子機器を指します。
教育ICTはただ授業を保存・再生するだけではなく、生徒の行動の1つ1つがデータとして蓄積できるために、教育評価に新しい時代を切り拓くと期待されています。例えば、20世紀の中学高校では、定期試験がありました。生徒の学習評価は、試験日1日に比重が置かれていました。ところが、21世紀の学校では、ICTを用いて、毎日の学習がそのまま生徒の学習評価として、記録されるようになります。年齢主義のカリキュラムから、飛び級や原級留置(留年)もある修得主義のカリキュラムへと移行していくのではないでしょうか。
【参考文献】
教育社会用語解説
年齢主義と修得主義
ミネルバ大学
国立情報学研究所(NII) SINET