効率的にウェブや本から情報を引き出せるのか考えてみた結果①の続編です。
今回は著者の主張をざっくり理解することで全体像を把握しやすくし、取り入れた情報をアウトプットしやすい状態にして理解するという実践編です。
ただし、小説などのように行間を味わい余韻に浸りたいものについてはオススメできない読み方です。
あくまでも現時点で僕なりに考えた末行き着いた結果ですので参考程度にして頂きますと幸いです。
文章を理解する上で大切なことは情報整理をきちんと行うということです。理由は、情報整理が記憶と関係していると考えているからです。僕自身、本来記憶することがあまり得意ではなくて、複数の業務に追われているとき思いついたことを誰かに伝えようとすると、急に記憶が曖昧になり何を言わんとしていたのかを忘れてしまうことがあります。おそらくそんな経験をしたことがあるのは僕だけではない…はずです。
モノタスクとマルチタスク、どちらが情報処理方法として適しているのかはそれぞれに一長一短ありますので、適宜使い分けることが肝要かなと思っています。
ただしモノタスクに比べるとマルチタスクは作業記憶(メモリー)を消費しすぎるので情報整理が難しくなります。ですので基本的にはモノタスクで処理をする方が情報整理はしやすい。
初めての文章で熟読すると頭の中に意識的に入ってくる情報量が多くなるため、思考が分散してしまう場合(マルチタスク)があります。そうなると情報整理が難しい。
ですのでそんな時はあえてざっくり理解して可能な限り知りたい情報を得ることに専念しながら読む(モノタスク)方がおすすめです。必要であれば全体像が掴めた後に別途必要な情報を精読、熟読して理解した情報に肉付けしていきます。
モノタスクのメリットを説明するために記憶について少し踏み込んで説明します。
記憶は今意識していることや無意識に飛び込んできた情報をトリガーにして呼び覚まされるという性質があります。ふとした瞬間に過去の記憶がフラッシュバックするということを経験したことはありませんか。
フランスの小説家マルセル・プルーストの作品「失われた時を求めて」の一節に“紅茶にひたしたマドレーヌを食べていると、ふと幼い頃の記憶が鮮明によみがえってきた”という記述があります。
マドレーヌを紅茶に浸していただくなんてオシャレな場面には無縁だったので、僕の場合は幼少期に食べた何が添加されているのかよくわからない乙な駄菓子に近しい味に出会うとその当時のことを思い出したりします。
この現象をプルーストの名にちなんでプルースト効果と読んでいます。ちなみにトリガーになるのは香りだけでは勿論ありません。
ここで言いたいことは記憶はそれと関係している何かがトリガーとなり、呼び覚まされるということです。
つまり記憶は脳内である程度の関係性を築いて保存されている。この情報同士(ニューロン同士)の関係性をニューロンクラウドと表現し、あるニューロン同士が連動して興奮すると、その後も連動して興奮しやすくなると言われています。
ですので情報をインプットする際に情報同士の関係性が曖昧なまま(つまり文脈が理解できずに)読み進めてしまうと後で断片的な情報しか引き出せなくなり、思い出したい情報にアクセスするトリガーがない(もしくは少ない)状態に陥る可能性があるということです。
以上を整理すると、記憶の基本的な仕組みはニューロン同士が連動して興奮することで成り立っている→つまり原因と結果がセットになった状態で記憶していることが大切で、このロジカルな直列思考はモノタスクが得意としているところです。
僕の読み方は「速く読むこと」が主目的ではなく、「速く理解をすること」が主目的です。僕の言う「理解する」とは、細かいことまで覚えているという意味ではなく、著者の主張をざっくり理解し、それを応用してアウトプットすることができるレベル、フレームワークに落とし込むことを言っています。
細かいことまで覚えている。と言う点については覚えていることに越したことはないのかもしれませんが、私たちはどうあがいてもコンピューターの記憶力には勝てないし、細かな記述については片手で検索すればすぐに出てきてしまいます。
上述したプルーストの著書についての記述も、僕は「プルースト、失われた時を求めて、香り、記憶」という断片的なキーワードと原因と結果がわかる程度の大雑把に理解だけを記憶しています。この文章を書いている時に例えとして思い出し、細かな情報は再度読み直して書きました。
このように曖昧なつながりを持った言葉、知識のネットワークのことをスキーマと呼びます。人はこのスキーマを型として利用し、その時々の状況に応じて型の隙間を埋めるように推測を用いて具体的なものに落とし込もうとします。
この時に再現されるものはインプットした情報と類似しているけれども異なる情報としてアウトプットされます。これが応用です。例えばですが、子供たちに勉強していないと将来大変なことになるぞ!と言うのはスキーマを用いた典型例です。
まだ起きてもいない未来に対して、経験やどこかで得た知識に基づくスキーマを無意識に利用して推測する。良くも悪くも人は起きてもいない未来を予想したがる生き物なのかもしれません。
「効率的にウェブや本から情報を…①」でも記述したように人の記憶は曖昧であるが故に応用力があります。あまりにもハッキリと記憶し理解しすぎると、そのプロセス通りにしか実行できません。
あえて文章のキーになる要素だけは見落とさないように理解し、それらのつながりを曖昧に繋いでおくことでフレキシブルな情報源になるのだと僕は思っています。
次回で情報収集方法については一旦終わりにしようと思います。今回はアウトプットを意識したインプットの話だったので、次回は得た情報を実際にアウトプットする方法について書きます。
きちんと読むメリットは「細かいことまで理解することができる」、デメリットは「情報が多くなりすぎ、思考が分散しやすくなるので情報整理が困難になる。理解するまでに時間がかかる」→正確な情報が必要な場合に適しているが、全体像を掴むのには適さない。
ざっくり読むことのメリットは「情報を減らしモノタスクにして処理をするので、情報整理が楽。ニューロンクラウドを形成しながら、必要としているスキーマだけを形成」、デメリットは「細かい情報は取りづらいこと、飛ばし読みになると勘違いをうむ可能性があるので、注意」→アウトプットするための思考のフレームワークだけを取り出したいときに便利。
ざっくりしたまとめで申し訳ないのですが、常に一つの読み方を利用するのでなく、必要に応じて読み方を変えることがポイントだと思います。