モームは『世界の十大小説』のなかで三度読み返した『失われた時を求めて』(プルースト)にさえ「時代が移って価値を全く失ってしまった箇所」を認めています。あなたがつまらないと思うかぎり名作であるという通念が作品をおもしろくすることはできません。