知り合いの知り合いの知り合いの知り合い...のようにして6人をたどっていけば、世界中の誰とでも繋がることができる!という「六次の隔たり」と呼ばれる仮説がありますが 、これって「単語」でもできるのでは?
ということで、「野口英世」と「鷹」という全然関係ないものを強引につなげてみましょう!
1000円札のおじさん、野口英世といえば感染症の研究で有名で、後世の人々に多大な影響を与えた人物です。
彼は、黄熱病や梅毒のの解明に取り組みましたが、研究中に彼自身が黄熱病にかかり、亡くなりました。(現在では黄熱病においての彼の功績は疑問視されていますが。)
黄熱病とは発熱や黄疸と呼ばれる体が黄色くなってしまう症状を引き起こすことから「黄熱病」と名付けられました。熱帯アフリカや中南米などで多く見られる病気です。
黄熱病のウイルスに感染している人を蚊が刺すことによってまず蚊が感染し、そのウイルスに感染した蚊がまた別の人を刺すことによって感染が広がっていきます。
他に蚊が媒介する伝染病としては「マラリア」などがあります。
1950年代以降、黄熱病やマラリアを媒介する蚊を駆除するために、感染が広がっている地域には「DDT」と呼ばれる薬剤が大量に散布されました。
DDTは、主に農薬、殺虫剤として使われる薬剤です。生物への毒性が強いのはもちろんですが、分解しにくいことでも知られています。
DDTは分解しにくいので、生物がDDTを含んだ食べ物を食べてしまうと、その生物の中に長くとどまり、悪い影響を与えます。
鷹は、食物連鎖の上位にいて、寿命も他の生物と比べて長い生き物です。なので、DDTがまかれた地域に住んでいる鷹にはDDTの生物濃縮が起こり、卵の殻がすぐ割れやすくなる病気にかかってしまいました。
生物濃縮とは、物質が生態系での食物連鎖を経て生物の体内に濃縮されていく現象です。
今回の事例では、DDTを含んだ草→虫→小動物や小鳥→鷹、というように濃縮されていっています。
卵の殻が割れるということは、子孫を残せないということです。DDTが撒かれた地域の鷹の数はどんどん減っていきました。
鷹や人体などへの影響を考えてDDTの散布を中止したこともありましたが、そうするとDDTのおかげで減っていた黄熱病、マラリアの感染者数は再び増えてしまいました。
現在ではDDTの使用はほとんどの国で規制されていますが、DDTの代わりの殺虫剤を手に入れることが難しい場合は、DDTを使ってよいとしています。
DDTに対する耐性を持った蚊もすでに確認されていて、「DDTを散布することは一時的な効果しかないのでは?」という声もあります。
一方を解決したとしても、ほかの悪いことが起こってしまう。
この葛藤は日常生活、仕事、人間関係の中で私たちがいつも感じていることですし、大きな歴史の流れでもあてはまります。
という感じで「野口英世」と「鷹」を無理やりつなげてみました。
四次の隔たりになりましたね。最後は脱線してしまいました。笑
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最後までお読みいただきありがとうございました。
noteもやっていますので、良ければご覧下さい。
『図説 世界史を変えた50の動物 』
エリック シャリーン (著)、甲斐 理恵子 (翻訳)
wikipedia-生物濃縮
Photo by Martin Adams on Unsplash
File:Bioakkumulation von schadstoffen.png
写真AC オレンジ星さん