通称「苔寺」と呼ばれ、一面が苔で覆われた庭園で有名な京都・西芳寺(さいほうじ)。
ここは世界文化遺産でもあり、世界中から参拝者が訪れる素晴らしい場所です。
今回、この西芳寺を訪ねることができました。
僕は京都に住んでいるので距離的には苔寺は近いのですが、後にも書くようにここの参拝は完全予約制なので、思い立ってすぐ行くことができず拝観のハードルが高いのです。
でも、今回は前もってスケジュールを組んで訪ねてきました!
西芳寺(苔寺)は京都盆地の西の端にあります。
最寄り駅は阪急電車嵐山線の上桂駅あるいは松尾大社駅となりますが、駅からかなり歩かないといけないので推奨されていません。
バスが苔寺の前まで行っているので、それに乗るのが便利です。
と言っても京都駅から1時間くらいかかるそうなので、ちょっと不便。
僕はおなじみのマイカーで行きました。車だとめっちゃ便利です。
近くにコインパーキングもあります。ただし、苔寺の近くの鈴虫寺へ行く人で駐車場は大混雑していました。
コインパーキングから数分歩いて、やってきました西芳寺(苔寺)。
山門の上の空はよく晴れていて気持ちがよいです。
背後は西山が迫っています。京都盆地の端っこですね。
さて山門をくぐりましょう。
しかし!
飛び込みで拝観しようとしても、この門をくぐることはできません。
西芳寺参拝は完全予約制なのです。注意してください!
しかも予約するには、往復はがきで申し込みます。
今どき往復はがきって…、と思っても決まりなのでしょうがありません。
苔寺に行くには、まず郵便局に行って往復はがきを買うことから!
ここは試験に出るので、よーく覚えておくように。
ということで、参拝には結構ハードル高いですよね。
実際、近くの鈴虫寺を参拝したついでに苔寺に寄ったような予約していない人たちは、すべて追い返されていました。
おお、これがホントの門前払いというヤツか!
さて、事前に予約しておいた選ばれし勇者?である僕は、堂々と山門をくぐります。
山門の脇には、世界遺産の銅板がありました。
そうなんです、ここ西芳寺は「古都京都の文化財」のひとつとして、ユネスコの世界文化遺産に登録されいます。すごいですよね。
では、先に進みましょう。
西芳寺本堂。きれいで立派な建物です。
いきなり庭園を見たいところですが、その前にすることがあるのです。
庭園拝観の前に、ここ本堂に参拝し写経をすることになっています。
西芳寺は往復はがきでの参拝予約、やや交通の便が悪い場所、そして庭園拝観前の写経(筆ペン持参)、そして参拝料は3000円以上と、お庭を見るにしてはかなりハードルが高いですね。
しかし、そのハードルの高さが良いのです。観光客の殺到を防ぐことができますから。
それに、写経についてはハードルですらなく、心を静める良い効果があると思いました。
写経は初心者向けで長いお経ではなく、延命十句観音経という文字通り十句だけの写経、しかも所定の紙に薄い字で下書きされているのをなぞるだけなので、10分くらいで書き終わります。
それでも10分は書くことに集中するので、心が少し落ち着くのです。
さて、写経が終わって落ち着いたところで、いよいよ庭園を拝観させていただきましょう。
「庭園入口」とありますので、ここからスタートです。
早速、苔がありますね。
庭園に入ると、一面が緑の世界!
池の周りは地面には苔、上には青もみじ。
順路に沿って、広いお庭をめぐります。面積は1万坪以上あるとのことです。
こちらは、湘南亭(しょうなんてい)。重要文化財です。
湘南亭は豊臣時代に千利休の次男、千少庵により建立されたお茶室。
千利休が豊臣秀吉より切腹を命じられた時、一時隠れ家として利用したと言われてます。また、明治維新の際には岩倉具視がここに隠れ、幕府の難を逃れたとのこと。
(西芳寺オフィシャルサイトより)
ここは池泉廻遊式庭園で、石畳の歩きやすい道を進んでゆきます。
両脇は苔。
参拝は完全予約制なので人は少なく、ゆっくりと拝観できました。
黄金池。西芳寺庭園の本池です。
この池の周りをぐるっと一周して拝観するのです。
見上げると、青もみじがきれい。
これが紅葉すると、どれだけ美しい光景になるのでしょうね。
池面に反射する青い空、白い雲。まだまだ夏の名残がある緑の色。
素晴らしい光景です。
苔寺には100種類以上の苔が生えているとのこと。
これはホソバオキナゴケ(のはず)。コロコロしていてかわいい。
池の際まで苔で一面に覆われていますね。
地面という地面が苔で覆われています。
木漏れ日がとても素敵です。
でも、梅雨の雨が降ったときなんかも素敵でしょうね。
こちらは、少し高い場所にある指東庵(しとうあん)。
西芳寺の開山堂です。
中には行基菩薩、眞如法親王、夢窓國師の御位牌と藤原親秀夫妻、夢窓國師の木像が祀られているとのこと。
指東庵の横には何やら石がゴロゴロと置かれています。
実はこれ、枯山水庭園なんです。
しかも、ここが日本最古の枯山水庭園とのこと。枯山水の原型なのですね。
夢窓國師により、暦応2年(1339年)に築かれた日本最古の枯山水の石組で、夢窓國師の生前の墓(寿塔)の造形化したものと言われます。
それまで、庭園の主流は、池をメインにした池泉庭園でしたが、夢窓國師は石組を庭の主役としたばかりでなく、禅の精神性をもその中に反映させました。
これは、当時としては非常に革新的で有り、まさに“新時代的”な石組みであるとも言えます。この夢窓國師作庭の西芳寺枯山水はあらゆる枯山水庭園の原点ともなり、我が国における枯山水庭園の最高峰とも評されています。
正直、枯山水庭園の最高峰と言われてもシンプルすぎてピンとこないのですが、禅の発想でもって見ないといけないのでしょう。
ということで、庭園を一周回りました。
終点に休憩所が設けられていたので、一息。
休憩所の横に置かれた、つくばいの水が涼しげです。
しばし休憩して帰りましょう。
苔寺庭園の目が緑に染まるほど鮮やかな苔と青もみじ。
目と心が癒されます。
苔寺は訪れるハードルが高いのですが、それに見合う素晴らしさがありました。
次回は、梅雨のしっとりした時期や紅葉の際にも訪ねたいものです。
紅葉の時期なんて人気すぎて、予約が取れないでしょうけどね。
Camera: LUMIX G8
Lenses: LEICA 15mm F1.7, LUMIX 25mm F1.7, 42.5mm F1.7, 12-60mm F3.5-5.6
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