でっかい火が燃える、燃える!
山伏が燃やす、燃やす!
炎が冬空に突き刺さる!
すっごいお祭りが冬の京都にあります。
それが知る人ぞ知る、「阿含(あごん)の星まつり」。
このお祭り、もう46回にもなるのにあまり知られていません。
それでは、どれだけすっごいかレポートしてゆきましょう!
まずは、会場に向かうために、京都駅からこの日限定のシャトルバスに乗ります。
参加者が多いようで、頻繁にバスが出ています。
会場のふもとの広場、バス乗降場につきました。
ここはまだ会場ではありません。
ん?、横に真っ赤な消防車が止まっているよ?
なんで消防車? ちょっとただならぬ雰囲気です。
星まつりの会場は京都東山のひとつ、花山(かざん)の山の中で、宗教施設以外の住宅などない無人地帯なんです。
なにせ、横に天文台があるくらい人気がない場所。
バスを降りた場所から、階段を登って竹やぶの中に入ってゆきます。
星まつりは入場料は不要で、信徒さんでなくても誰でも拝観できます。
僕も信徒ではありません。
シャトルバス代として片道300円の志納があるくらい。
ここで、登りやすくするために杖を貸してくださいます。
ええっ、登山なの?
ここは覚悟を決めて登りましょう!
山道をガンガン登ってゆきます。
風林火山ののぼりがいっぱい立っており、ただならぬ雰囲気。
星まつりの時以外ではこの山道(参道)は使われないはずですが、山道は階段や休憩所などとても良く整備されていて驚きです。
この山道を15分ほど登ります。お年寄りにはきつそうです。
さて、星まつり会場につきました!
なんだこれは?!
山の中に競技場のような広場があって、観客席には多数の参拝者が。
そして、広場の中央には二つのでっかくてこんもりとした緑の物体…。
やっぱりただならぬ雰囲気です。
そう、この緑の物体、大護摩壇(だいごまだん)をこれから燃やすのです。
松明を持った山伏(やまぶし)たちが、阿含宗の偉い人の前で何やら儀式をしています。
この松明に火をつけて、その火を大護摩壇に移します!
いざ、点火っ!
うぉー、護摩壇が燃えだした!
観客席は参拝者でいっぱいですね。
阿含宗の信徒さんが全国から、海外からも来られています。
この行事は「星まつり」と名付けられていますが、夜ではなく昼間に行われます。
「星」とは夜空の星ではなく人の「運命の星」のことで、旧暦の年始めである節分に護摩を焚き「星」を供養するので、「星まつり護摩供(ごまく)」という名前だそうです。
めっちゃ燃えてゆきます!
山伏の人の大きさと比べると炎がいかに大きいかわかると思います。
このでっかい炎は二つあります。
向かって右が仏界、左が神界の護摩壇(ごまだん)とのこと。仏教も神道も両方なのですね。
なので、この星まつりの正式名称は「神仏両界大柴燈護摩供(だいさいとうごまく)」となっています。
山伏たちが護摩木(ごまき)をどんどん投げ入れて、ガンガン燃やしてゆきます。
熱そうですよね。実際、めっちゃ熱いです。
この日は雪が舞う寒い日でしたが、観客席にまで熱気が届いて熱いんですよ。
とても大きく熱い炎。
山伏が護摩木を投げこんで燃やす、燃やす!
そして燃えすぎないように、水をバシャーとかける!
どんどんぶっかける!!
炎のエネルギーと山伏のエネルギーが、参拝者にもガンガン届いてきます。
こちらもすっかり熱くなります(物理的にも精神的にも)。
山伏が護摩壇にぶち込んでいる、いや焚いている護摩木がこちら。
裏面に祈願することと自分の名前、年齢を書いて焚べていただきます。
この護摩木は一本100円の志納。なかなか庶民的なお値段。
もっとお高い護摩木もいろいろあります。
自分は阿含宗の信徒ではありませんが、せっかくなので焚べていただきました。
ちなみに宗教の勧誘は全然なかったです。ただ、物販の呼び込みは結構盛んw。
さて、巨大な炎ですっかり暖かく、いや熱いくらいになったので、他の場所も見てみましょう。
阿含宗総本殿。
すっごい立派な建物!
これだけ立派な本殿はなかなかお目にかかれません。1978年に建ったという新しい建物。
ここ京都花山は阿含宗の総本山で、その中でもこの本殿が一番中心になる建物です。
これだけ立派なので、中も見てみたいですよね?
300円で本殿の中を拝観させていただきました。
中もめっちゃすごい!
鉄筋コンクリート造りのようで、ビルのように全館暖房で暖かい。
そして、中央には見たこともないような大きくて豪華で現代的な仏壇がありました。
写真撮影ができないので、お見せできないのが残念。
そして本殿の横にはなんと…、
だ、大仏が!
これ、京都大仏といいます。
京都に大仏があったんですね。
阿含宗、すごい…。
さらに本殿の横では密教占星術による占いコーナーも設けられていて、これが大人気。
山伏さんが占いというか、人生相談をしてくださるのです。
総本殿などを見学して阿含宗のすごさにおののきましたが、雪が舞って寒くなってきたので、また護摩供の会場へ戻ってきました。
相変わらず炎はすごく、山伏さんたちは熱そうに頑張っておられます。
さて、二つの護摩壇に挟まれた舞台のような場所には何があるのでしょう?
望遠レンズで拡大して撮ってみましょう。
一番うしろには大曼荼羅(だいまんだら)。
この大曼荼羅の絵はブータン王国に伝承し、見ることによって解脱するというブータン仏教最大の秘法とのことです。なんだかすごい。
そして中央に祀ってあるのは、ブッダの聖骨である「真正仏舎利尊」ということです。ええっ、ブッダの骨なの?!
そして、阿含宗開祖・桐山靖雄管長の聖骨も祀られています。
そう、この桐山靖雄管長がこの阿含宗の教祖というべき方なのです。
いろいろ有名なので、ご存知の方も多いと思います。
そうこうしているうちに、今からこの桐山靖雄管長による「秘密九字」が行われるとのこと!
おお、秘密と名がつくだけでとてもすごそう。
これは密教の秘技のようでとてもありがたく、星まつりのクライマックスの一つらしい。
参拝のみなさんや山伏さん一同が合掌している中、祭壇の横の大型ディスプレイに桐山靖雄管長が映し出されました!
桐山靖雄管長は何やら右手に持った棒のようなものを振り回しています。
空に九字を書いているのでしょう。
最後に「えいっ!」と掛け声をかけて棒を我々の方に振りました。
これが「最勝金剛靖雄大覺尊秘密九字」、すごい名前です。
ちなみに、この秘密九字はディスプレイ画面でしか見ることができません。
なぜなら、桐山靖雄氏は2016年に亡くなられているからです。録画なのですね。
星まつりは夕方の火伏せ(火消し)まで続きますが、秘密九字も終わったのでそろそろ帰りましょう。
とにかく、火の持つエネルギーはすごいですね。
阿含宗のことはよくわかりませんが、それでもでっかい炎の持つエネルギーで身体が物理的に熱くなり、精神的にも高揚することがよくわかりました。
火が持つ力はとても宗教的でもあると感じます。
阿含の星まつり、京都の祭りとしてはかなり異色のように思いますが、とても興味深いお祭りでした。
Camera: PENTAX K-3II with SIGMA 17-70mm F2.8-4 & SIGMA 70-300mm F4-5.6
2年前に僕が初めて星まつりを訪ねたときの記事がこちらにあります。
よければ見てくださいね。
(注:自分は阿含宗の信徒ではありません。この記事の表現には宗教的な配慮をしているつもりですが、無知ゆえに失礼な表現がありましたらお許し下さい。)
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