京都・五山の送り火が、8月16日の夜に終わりました。
五山送り火は、この世に帰ってきたご先祖様の霊が再度あの世に戻る時に、お見送りをするための火です。
この五山送り火が終われば、お盆も終わり。
そして、京都の夏も終わりとなります。実際は、残暑厳しいのですけどね。
今年も、五山の送り火を見てきました。
やって来たのは、嵐山公園・渡月橋。橋の上には人がいっぱいです。
そして川の水量が増えていて、流れが早いです。
台風の影響でかなり水かさが増えているのです。
渡月橋のある嵐山公園からは、5つの送り火のうち鳥居形がよく見えます。
鳥居形は最後に点火されるので、ちょっとゆっくりしましょう。
と…。
なんと、大文字が小さく見えるのです。
京都盆地の西に位置する嵐山から、東の端の大文字が見えるんです。
京都市街には建築物の厳しい高さ制限があって、高い建物がないから見えるんですね。
そして鳥居形は、
こんなふうに大きく、煙まで見えます。
なかなか迫力があります。
これだけ明るいと、京都ではお精霊(しょうらい)さんと言われるご先祖様の霊があの世に帰られるときの目印になって、迷わず戻られることでしょう。
嵐山では五山の送り火に合わせて、桂川で灯篭(とうろう)流しが行われます。
灯篭流しは、このような灯篭に〇〇家と書いてもらって、ご先祖様の霊を弔うため川に流します。
灯篭と合わせて、水塔婆という木の板にも亡くなった方の名前をお坊さんに書いてもらいます。
この灯篭流しのために桂川の岸にそなえられた祭壇で手を合わせて、その水塔婆をお供えします。
鳥居形と灯篭が夏の夜に浮かび上がります。
今年は最初に書いたように台風で桂川の水かさが増しており、灯篭を流すのは危険なため、岸に灯篭が並べられていました。
夜店も出て浴衣の人も多く、夏の風情がいっぱいです。
渡月橋の向こうに見える、鳥居形の火がだんだんと消えてきました。
鳥居形は五山の送り火のうち、最後に点火され最後に消えます。
これが消えると、送り火は終了。お盆は終わり、京の夏も終了という感覚になります。
送り火が消えて暗い空になると、満月が浮かび上がってきました。
火が消えたあとも、お精霊さんは月明かりを目印に、無事にあの世に戻られることでしょう。
渡月橋を少し散歩して、灯篭流しの会場の上に浮かぶ月を眺めます。
毎年、送り火が消えると渡月橋には涼しい風が吹いて、初めて秋の気配を感じるのです。
その風は、お精霊さんが通り過ぎる風なのかなと思っています。
まだまだ日中は残暑が厳しいのですが、着実に秋は忍び寄ってきています。
季節の変わり目を感じながら、嵐山をあとにしました。
Camera: PENTAX K-3II with SIGMA 17-70mm F2.8-4 & 70-300mm F4-5.6