
京都の紅葉の名所は、どこもすごい混みよう。
そんな中、紅葉の穴場を地元京都の僕が訪ねる、知られざる京都の紅葉の名所シリーズ。
今回はかなり遠い場所を訪ねます。
「常照皇寺」という、桜や紅葉の名所であるにも関わらず静かなお寺。

常照皇寺(じょうしょうこうじ)は、地図のように京都盆地のはるか北の山間地にあります。
付近に鉄道は通っておらず、最寄り駅は京都駅となります。
もう京都じゃないだろうって?
それがなんと、ここは京都市右京区なんです。
かつては京北町でしたが、市町村合併に伴い今は京都市右京区に編入されています。
ここへ公共交通機関で行くのは、かなり大変です。
最寄り駅?の京都駅から右京区京北の中心地である周山へのバスが出ていますので、まずそれに乗ります。約90分もかかります。
周山で京北地区のコミュニティバスに乗り換えて、山国御陵前で降ります。田舎のコミュニティバスなので本数はとても少ないです。
このように常照皇寺を路線バスで訪ねるのはかなりハードルが高いので、僕が訪ねたときには路線バスで来ている参拝者はほとんどいなかったと思います。
タクシーを使うにも距離が遠いので、料金がかさみます。
となると、京都市街でレンタカーを借りるのが一般的でしょう。
僕はマイカーがあるので、もちろんそれで行きました。
このように不便な場所にあるため訪れる人は少なく、ゆったりと紅葉を楽しむことができるのです。
駐車場から降りると、早速山門が。

あたりは黄色に色づいていますね。落葉もたくさんあります。
秋の短い日が斜めにさして、木漏れ日が美しい。
そして、向こうまで参道には誰も写り込んでいません。
参拝者の少なさがわかると思います。

常照皇寺全体図。
先の山門から、お堂に進みます。

立派な門が見えてきました。これが勅使門。
天皇からの使者しか通れない門です。
常照皇寺の開祖は、南北朝時代に北朝初代の天皇となった光厳上皇なので、皇室ゆかりの格式高いお寺なのです。
石段が苔むしていていい感じですね。

こちらが方丈。
なんと茅葺き屋根の建物で、とても趣があります。
このお堂に上がらせていただきます。

方丈内部。
秋の柔らかい光を浴びて、とても優しく落ち着く空間になっています。
参拝者も少ないので、まったりしますね。
奥にわずかに写り込んでいるおじさん方は、居心地がいいので座り込んで長々とおしゃべり。

方丈から先ほどの勅使門が見えます。
苔庭にさす秋の夕の低い日の光が、センチメンタルでたまりません。
この御車返しの桜の葉っぱが全部散って雪の冬になるんだなと思うと、涙が出てきそうになります。素敵です。

先の庭園の反対側、方丈庭園にも立派な苔むすお庭がありました。

方丈庭園の池面で反射する、紅葉と空の色がとても鮮やか。
秋の最後の輝きを見せてもらっています。

額縁庭園のように、赤や黄色の華やかな秋の色と陽の光を楽しみます。

左手の建物が方丈。右手が開山堂です。
すっかり葉が落ちた二本の桜の木は、国の天然記念物である九重桜と、京都御所から株分けしたと言われる左近の桜です。
そして、一面が苔むしていますね。
このように、常照皇寺は桜の名所としても有名です。
春にもぜひ訪れたいと思っています。

足元を見ると、まだまだ元気な苔の上に落ち葉が。
これもまた、素敵な秋の光景ですね。

こちらは舎利殿。
道の左右に苔と紅葉。その対比が鮮やかです。
さて、ここ常照皇寺の奥には開祖、光厳天皇のお墓があります。
せっかくなので行ってみましょう!

お寺の横にある、この一面の苔の道を登ってゆきます。
苔はすごいし紅葉もきれいなのですが、誰もいません…。

山の斜面に光厳天皇山國稜が建っていました。
天皇陵なので宮内庁の管理。ここから先は立入禁止です。
京都の北の山合いで、静かに眠っておられるのですね。
さて、一通り参拝したらもう日が暮れかけてきました。秋の太陽はつるべ落としです。
秋の夕方の、低くて黄色く柔らかい日差しをいっぱい浴びて、そろそろ帰りましょう。

帰り道。京北・山國神社の近くにて。
もうすっかり夕方です。
茅葺き屋根のお家、刈り取られた田んぼ、紅葉、そして背後に山。
秋の夕暮れ、影が長いこの光景は、日本の原風景のような素敵な景色でした。
この景色をしばし見とれてほっこりしつつ、帰路の車のアクセルを踏みました。
もう少しすれば、この地は雪景色に変わります。
その前の、つかの間のゴールデンタイムの光を身体いっぱいに浴びることができました。
Camera: PENTAX K-3II with SIGMA 17-70mm F2.8-4 & PENTAX 50-200mm F4-5.6













