「レッシグの著書「Code」によれば、人の行動を左右する方法には4種類があります。法(強制力を持つ)、規範(人々が共有する価値観)、市場(値付けで行動が変わるなど)、そしてアーキテクチャ(プロトコル、ソフトウェアコード)です。市場とアーキテクチャ(あるいはプロトコル)は強力で、分かりやすいですね。」
ローレンス・レッシグ(Lawrence Lessig)っていう法学者が言っている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B7%E3%82%B0
私は、こんな疑問を持った。↓
「「法、規範、市場、アーキテクチャ」は、それぞれに矛盾が生じないようにしならなければいけないし、そこに階層的構造は無いという感じでしょうか?
法に則って規範が生まれる? 規範に則って法が制定される? 市場原理は規範と法の範囲内に収まるのか? アーキテクチャは法を固めるものなのか?
相互に依存しあうが、上位下位はないという解釈は正しいでしょうか。
タイプ2の議論は規範、タイプ1は市場とアーキテクチャ=DeGovプロトコル、法はどこに位置するのだろうか? 法は市場とアーキテクチャの枠組みか?。 規範はどこに影響し、規範は集団を統治し得るのか? となると、法は規範の強化要素なのか?」
(注:タイプ1とタイプ2というのは契約民主主義に於いての議論のジャンル分けです。)
先生からの回答はこちら↓
「法と規範の区別の話は、法律の専門家から見ると補足すべき点があるかもしれません。例えば法に理念(規範)を書き込む事例はあります。例えば日本国憲法第11〜13条。
大事な点として、レッシグの4分類(法、規範、市場、アーキテクチャ)の関係を考えると、今まで4種類の方法は使い分けを考慮されておらず、バラバラだったんですよね。階層構造とか、相互依存とか、そういう発想以前だった。
それを、複数の方法の合わせ技を使って、もっとうまくできないか。例えばなんでも法律で制度化するのではなく、市場やアーキテクチャでコントロールできないか。
インターネットの権利が平等である、という規範を、ブラウザとかDNSとか暗号通貨ウォレットとか、そういうコードに入れる動きがあります。議論は割れそうですが、仮想通貨送金のトラベルルール(KYC厳密化)のため機能をStellerはアーキテクチャに入れたとか。そういうクロスオーバーがあちこちで起きています。
こういう話をデフォルト扱いで本格的に進めるには、マルチステークホルダープロセス、つまり利害や専門が異なる複数の分野の人が討論して合意するプロセスが欠かせない。
そこで4種類の方法をうまく設計して使い分けるには、熟議民主主義が必要になる、と結論付けていいと思います。」
私↓
「解説ありがとうございます。なるほどスッキリしました☆
今までばらばらであった4分類を意識することで、相互補完しながら包括的な仕組みになると。
また、その4分類は専門性も異なることから、あらゆる層が協力して合議することに価値も生まれる、さらには、各分類はそれぞれが個別に完璧である必要はなく、できる範囲(または分類の特性を活かした得意な分野)で善処することで、他の分類からの補完を受けて、全体としてより高度に成熟したものが完成し得ると。」
まとめ
「法、規範、市場、アーキテクチャ」の四つのバランスをとって包括的に考えよう。
とても勉強になりました☆