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ポケットの中の一円玉を寄付した話。

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  • CryptoChick
  • 2020/04/29 05:49

 

この方の記事を読んで、ふと昔を思い出した。

ちなみにこの方とは一度も絡んだことはありません。ALISでたまに見かけるくらいです。

 

 

20年くらい前だろうか、、、

食えない時代があった。

夢と理想を追いかけていた時代だった。でも金は無かった。

 

家賃は半年分以上滞納していた。

ガスは止まった。電気も止まった。水道は、止まらなかった。(水道は止まるとほんとうに死ぬので、実際には止まりません。(閉栓予告は来るけどw))

真冬に真っ暗なフロの中で、水のシャワーで凍えながら体を洗った。

食べるものも無かったから、水に醤油(←1Lくらいの特売の醤油が流しの下に置いてあった。)を少したらして、冷製醤油スープって言って飲んでた。

 

パンの耳をパン屋さんにもらいに行く勇気もなかった。

だって、袋でハイ10円ね☆とか言われても、その10円さえも持っていなかったから、、、。

 

そんな、どうやって生きていたかも覚えていないような時代、

一応仕事はしていた。フリーランスだけど。

まぁ、収入は無いw

 

カードも使い果たして、次々に止まって、もうね、督促やらなんやらは、どれがどれだかわけわからん状態でした。

 

他人から見ればそんな悲惨な?状態なのかもしれないけど、当の本人は、

夢と希望に溢れていたwww

 

「海賊王にオレはなる!」ってな勢いだったw

 

 

こんな状況になる前から、

食うためにお金を稼ぐという行為はしないって決めていた。

お金のために仕事や何かをすることを、しないって決めていた。

 

いよいよ、マジで食えない状況だったけど、時間もまぁ余りまくっていたけども、食うために仕事をしようとは決して思わなかった。貫いた。

 

 

知り合い?友人?が、見るに見かねて、
「おめぇ、ちょっとだけでもバイトいけば?」とか言ってくる。

ふむ。わかるけど。自分で決めたこと(←お金のために働かない。)を覆して、自分を裏切りたくなかった。

 

その人が、冗談交じりに、財布から千円札を取り出して、私の前に投げ捨てた

(あぁ、これは喜んで拾うってのを期待してるのね?って思った。)

まぁ、空気を読んで、「わぁーぃ、くれるの?千円落ちてる!」(べつにまったく欲しくはなかった。)って言って、足元のそれを拾おうとした。

 

・・・!!

 

 

何が起こったと思う?

 

 

それを拾おうとした私の手を、本気で踏んだの。彼は。ハハハって嘲笑を浮かべながら。

 

 

私は、その時思った、

あぁ、人間ってこうなっちゃうんだなぁって。

自分が優位だと思うと、こんな酷いことができてしまうんだなと。

 

 

 

それがきっかけで、私は、お金や資本やそういった資産の所有量の違いで、人間の何かを判断しないって決めた。

持っているお金の量で、人間の優劣?を決めるなんてことは一切私の中には無い。

 

この考え方は、もっといろいろ派生して、

年齢や性別や学歴?とかとにかくなにかそういったもの、それを元に、人間を判断したり、優劣や序列をつけることを、私はしなくなった。

 

真っ裸で、透明で、何もないものとして、その人の言動だけを見て、深く見て感じて、嘘を見抜いて、

ありのままのその人をその時その時で判断したい、感じたいと思っている。いつも、今も。

だから、肩書とか履歴とかそういったものがとても嫌い。

そんなの取っ払って、ただ目の前のあなたを見て感じたい。

昨日のあなたさえ、信じない。

今目の前のあなただけ。見るものは。

 

だから他人に対して、過去何があったとか、興味ないし、

今どうであるかも興味がない。

これからどうなるか?そのために今何をやっているか?それだけに興味がある。

 

話がそれました。。。

 

 

何の話だったかな、あぁそうだ一円を寄付した話か。

 

 

そんな食えない時代だったけど、一人いつも静かにそばに居てくれる友人がいた。

彼は貧している私に何も恵むことなく、ただ、いつも私と長い時間一緒に居て、だた良く語り合った。まぁ、無い仕事を共にやっていた。w

 

そんな彼は実家暮らしだったので、私の横で家から持ってきたお弁当を食べるんですよ。(私の電気もガスも止まっている部屋は、仕事の事務所代わりにしていた。電気がつかないので、昼間の明るい間だけ、彼はやって来る。)

私、冷製醤油スープしか食べ物ないのにww

 

そんな彼が、夕方、そろそろ帰ろうとするころ、

「〇〇(私の名前)さん、コンビニ行きましょう」って、珍しく誘うんですよ。

 

私は、何か買ってもらえるのかな?とかちょっと期待して、おにぎりでも奢ってもらおうかと考えてちょっと喜んだ。(なんせ固形物なんて、長い間食べていなかったかから。)

 

歩いて10分ぐらいの道中、いつも通り彼と語らいながら、コンビニに向かう。

コンビニに到着する。

(私はいつもお金がなかったから、欲求を刺激するようなコンビニには入らないように避けていた。)

 

彼は、先に扉を押して入っていく、私も続いて入っていく、

 

奥のお弁当コーナーにでも向かおうかと思っていたところ、彼は、そのままレジに向かうではないですか、、、?

ん?何買うの???

 

彼は、レジ前から私を呼ぶ。

 

私はわけもわからず、おにぎりも持たずに(苦笑)、彼に呼ばれるままにレジに行く。

 

そこで、彼は、レジ横の緑色の小さな募金箱を指差す。

 

 

「〇〇さん、今持ってるお金、全部ここに入れて下さい。」

 

 

・・!!!

 

 

ぉい!! 私の大事な全財産、ポケットの中の2円。
(当然彼は、私がそれくらいしか持っていないのを知っている。)

 

大事に大事に握りしめていた2円。

何も買えないのに、虎の子のように大事に握りしめていた2円。

 

 

何か買ってもらえると思っていたことの、真逆のことが起ころうとしていて、

私は脳内が混乱してしまって、彼に言われるがままに、半ば呆然と、、、

ポケットからその2円を取り出して、意識もなくただ言われるままに、その募金箱に投入していた。

全財産を失った・・・w

 

その後彼は、直ぐに、店を出た。

 

私も後をついて出た。

 

 

 

彼は何も買ってくれなかったし、そのまま二人並んで、無言で部屋に戻ろうとしていた、、、。

 

 

彼は言った。

 

 

 

「〇〇さん、お金や何かが欲しかったら、まずは自分が差し出すことですよ。」

 

 

 

グッときた。その通りだと知っていた。できていなかった。

 

彼はそれを私に思い出させてくれた。

 

 

 

彼は、陽が落ちて暗くなった部屋には戻らずに、自分の家に帰っていった。

 

 

そんな思い出の彼。あれから20年以上経ってるけど、どうしているのかなぁ。

命の恩人というか、ほんと大切な人だった。

 

 

その出来事を切っ掛けに、

 

私の極貧生活は、なぜか見事に好転していくのです。

不思議なものです。

 

 

そこから一年か二年か経って、滞納している家賃と共に、大家さんに最後の家賃を納に行った。

退去して新しいところに引っ越すのだ。

 

大家さんは、どうしようもない私の数年間を知っている、
半年以上も滞納する家賃、毎月月末前に電話で家賃払えませんゴメンナサイっていう電話をする私、いつも何も言わずにわかりました、と聞いてくれる大家さん。

 

最後にまとめて御家賃を渡した。

ありがとうございました。って心の底から感謝でいっぱいだった。

深く頭を下げた。

 

 

頭を上げたら、大家さんは、
家賃の入った封筒を、そのまま私に返してこう言った、

 

「ほんとうにこれから頑張ってね。これは私からの餞別です。」

と。

 

 

 

泣いた。

 

 

ありえないことが起こっていると感じた。

 

 

ほんとうに、一生懸命生きようと心に誓った。

 

 

ありがとうが溢れて、もう言葉にならなかった。

 

 

 

私もそういった素適な人になりたい。

 

 

二十代前半の思い出でした。

 

 

 

 

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