あらすじ
日本語教師に挫折した僕は警備業の傍ら、リラクゼーションセラピストとして就業する。しかし、実態は予想とは違い、業務委託という限りになく黒に近いグレーな仕事内容、勤務体系だった。労働基準方が適用されないままこきつかわれた僕は、またもや社会に絶望して職を転々とする。そしてとうとう「未経験文系SE」という修羅の門をくぐるのだった…。
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・未経験OK!文系SEとかいうパンドラボックス
研修料九万円をぶんどられ、金銭的にも精神的にもショックを受けた僕。
「もう、ちゃんとした正社員になろう…」と思って応募したのが未経験文系OKのSE職だった。
SEっていうのはシステムエンジニアのことで、プログラマーの進化版だ。プログラミングできないのに、上位の仕事できるの?という疑問はあるだろう。
結論から言うとできる。
しかし、とても大変でクソツラい。
基本的にそんなにプログラミングはやらない。やるとしてもコード見るくらい。そして見てもよくわからない。
やることは主にドキュメント作成だった。office を使った資料作成職人だ。
なんだ簡単じゃん、と思うかもしれない。わー。
んなわけあるか。
僕はとあるインフラ系システムの画面遷移図というものを作っていた。
この画面のここをクリックしたらここにいく。そのあと、ここ。そのあとはあそこに戻る。
っていうのをエクセルに延々と書き込まなきゃいけない。
エクセルってほんとに言うこと聞かないのよ。
特に僕はIT初心者だったからまじで意味わかんなかった。
しかもこの案件社長の肝いり案件だった…。
世の中の未経験SE志望の人たちに覚えておいて欲しいのは、社長肝いりの案件は大概ロクなことになら無いということだ。
僕ともう一人の新人はこの肝いり案件に何故か二人だけでアサインされた。
上司も先輩もいない。
指示だす人もいなければ、何やればいいかもわからない。
どうせいっちゅーねん。
たまの会議では進捗が遅いとしかられ。
上司に延々と僕のダメなところをダメ出しされた。もう一人の新人の目の前で。日本語教師時代のダメ出しが記憶に甦る。
泣いた。
心も、顔も。
情けなさでどうにかなりそうだった。
あともう一人の新人、H君とは最後までそりがあわなかった。彼はうまくいかないと「くそが!」と大声をあげ、机を叩いたり蹴ったりする。
ここ、取引先ですよ…?
信じられなかった。
救いの無い現場構成に、生まれて初めて心を病んだ。
精神科のある病院にいき、自分の状態やこの先どうすればいいかなど片っ端から相談した。
でも結果は、お金を取られて相槌打たれて、適当な回答をされるだけだった。
・誰も助けてくれないのは僕がダメなやつだから
僕は絶望した。
世の中は誰も助けてくれない。信じた人には裏切られる。弱いことは悪いことなんだ。全て僕が悪い。ダメな僕がいけないんだ。弱いやつに価値なんて無い。卑屈に生きるしかない。そんな考えを持ってしまった。
そんなこんなであっという間に精神を病み、七ヶ月程で退職した。
ちなみに。
病んで布団に突っ伏してた時、上司から鬼電があった。その数、50回以上。最後にメールで「家に行きます」という文字。恐怖した。震える手で、上司に連絡した。
僕はその後、休もうとしたが離職票貰えるほど仕事していなかったのですぐに仕事につかなければいけなかった。
ここで色んな転職活動をしたが、心を折られまくった。
僕は履歴書書くのが苦手だった。そして、僕の経歴を僕自身が誉められなかったし、アピールできなかった。
このあと折られる心さえ無くなりかけていたとき、今の会社に就職するのだった。
それはまた別の話。
みんな。卑屈になるのは仕方ない。それは君のせいじゃない。僕もまだ開き直れていないけど。自分を責めるな、とは言わないし言えない。でも生きることをやめてはいけない。