短いスパンで素敵な曲を出し続ける優里氏の新曲。
そして鉄拳のパラパラ漫画は人の一生系のイメージと相性抜群です。
手書きの優しいタッチはシンプルですが温かく、重要な動作がしっかりと書き込まれているので引き込まれます。
概要欄にあったこの楽曲のメッセージは
「後悔しない」という選択肢を選ぶのはつまるところ自分が決めたことを諦めないというコトに繋がるので、何を選んでも自分次第、もう頑張ってると思うけど出来る事は頑張るしかない、頑張ろう、頑張れ。
私はそんな解釈ですが、テーマは広いので解釈も人それぞれで良いと思います。
まず歌詞自体もシンプルで分かりやすいのですが、歌詞の表示もなく絵だけで歌詞以上のメッセージを伝えているように思います、お見事。
登場人物はお金を出して寿命を買おうとする老人と自分以外はほとんどが若者、まだ社会に出て間もない若者にとって「ただ起きて食って働いて寝て起きて働く毎日」は不毛で変化もなくつまらないだろうし、1年の体感時間もおじさん達に比べると長く同じことの繰り返しは本当に辛いものです。
しかしだからこそ、そこには生の煌きがあります。
体は自分の思い通り動くし、何者でもない自分にはまだ様々な可能性があるし、失敗だっていくらしたっていい、日々を大切にしているなら大人にも当てはまるかもしれませんが、密度の高い時間がたくさんあるのはとても素晴らしい事です。
今ならなんにでもなれるんだと必死に今を生きる人の背中を押す作品
…だと私は思っています、50年後に自分もしくは自分の大事な人が生きているであろう全ての人に、一生懸命に、今を大事に生きている人に響く力強い応援ソング。
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さて、ここでファンタジーな質問ではあるが
「キミの残りの寿命を買わせてもらえないか?」
「50年を50億でどうだい?」
「人生をやり直したい」
なんて本当に言われたとして、私ならどうするだろう。
25歳の時なら「75歳の状態で50億円所持」まで自分だけワープ、浦島太郎とはちょっと違いますね。
75歳で50億をどう使うか…
歌だと渋ると100億になり豪邸と奥さんと子供付になっていますが、自分の体が思い通りに動かないならいくらあっても使うアテが無さそうですね。
親より年上になっちゃうのでほとんどの場合先立つだろうから、とんでもない親不孝者ですね。
お金に目がくらんで25歳から75歳になった時の自身の体の影響をロクに考えず決めちゃう…ってそれなんて笑ゥせぇるすまん状態?
例えば50歳になった時にでもその約束が使えるなら、
もしも寿命が100歳まであったとして、50年を売った次の日が最後の日なら。
もしも厳しい環境に居たり、家族の為に自分を犠牲にするというのがその人にとっての「後悔しない選択」のケースにもなり得るかもしれない。
生きること、生きていることに価値がある事
自分が生きているこの時間には価値がある事
なんにでもなれる今を楽しまないともったいない…なんて言われても希望をそこに見いだせない人だっている、楽しくないといけないのか?全員が前を向いてないといけないのか?言い出せばキリは無いかもしれないがそういう生き方だってある。
しかし、作中に出てくる「老人」は特殊な存在なので即決する人、ハネのけられる活力の残っていない人の前には出てこないのかもしれませんね。
以前一日の消費時間をグラフにしたことがありましたが、仕事のある日に起きて、食べて、働いて、寝て…の時間を見てみると自分の時間はかなり少ないように見えますが、食べる時間だって、働く時間に出来ることだってあるし、寝ている時ですら「生きる」という手放したくない毎日のひとつなのかもしれませんね。
限られた中で出来る事を、価値を探さなければならない
なんて視野を狭めなくてもただそこにいるだけで、
私が生きる理由は私が決める。
後悔しない選択を。
ではでは。