今回は前回と前々回に続き、セロトニンがもたらす効果についてのお話です。
【前回】
【前々回】
セロトニンとは
セロトニンは感情のコントロールに深く関わる、神経伝達物質のひとつです。
別名幸せホルモンとも呼ばれ、私たちの生活に密接につながっています。
不足するとイライラして攻撃性が高まったり、うつや睡眠障害のきっかけになってしまいます。
セロトニンの役割
セロトニンは神経を興奮させる作用をもつ、「ノルアドレナリン」や「ドーパミン」の働きを抑制する役割があります。
・ノルアドレナリン⇒恐怖や驚きへの対応
・ドーパミン⇒喜びや快楽への期待
興奮のし過ぎを抑え、リラックスさせる役割があります。
またセロトニンが減少すると、不安になったり落ち込んだりと、メンタルにマイナスの現象を起こしてしまうことが分かっています。
興奮を抑え、集中力を高める効果があり、学習能力においても効果が期待できます。
一方、学習したものを長期記憶に留めるためには、海馬にてθ波を出すことが重要になりますが、θ波はセロトニン神経によって抑制されてしまいます。
セロトニンの働きは夜間のレム睡眠状態では停止するため、寝ている時にはθ波が働きます。
だから勉強したことを定着させるには、きちんと睡眠をとることが推奨されています。
セロトニンは朝起きてから夕方日が沈むまで分泌されます。
夜になると、セロトニンがメラトニンという物質に変わります。
このメラトニンが体内時計を規則正しいものにしてくれます。
メラトニンには催眠作用があり、メラトニンの量が少ないなどコントロールが上手くいかないと、寝付きが悪かかったり睡眠の質が低下してしまいます。
パソコンやスマホなどブルーライトの光はメラトニンを減少させてしまうため、寝る前の光による刺激は良くないと言われています。
睡眠中はセロトニンの働きが抑制されますが、朝に近づくにつれて徐々に放出されていきます。
太陽の光が網膜に入ると、セロトニン神経が刺激されセロトニンの分泌が活性化します。
すると、血圧や心拍が活動的になるので、意識がはっきりしていきます。
また、セロトニンは痛覚伝導路を抑制する働きがあるので、脳内でセロトニンが分泌されている間は痛みが緩和されます。
セロトニンを増やす方法
ではセロトニンを増やすにはどうしたらいいのか…?
↑の項でも挙げたとおり、太陽の光(1日30分程度)に当たることがセロトニン分泌の第一歩です。
太陽の光は、体内のコレステロールをビタミンDに変える働きがあり、骨や歯も強くする効果が期待できます。
太陽でなくても、2500~3000ルクス程度(コンビニの店内の光)の明るさが網膜に入れば、セロトニンが分泌されると言われています。
同じ動きを繰り返し行うリズム運動。
・噛む
・呼吸
・歩く
・ダンス
・歌
・音楽
…
日常で何気なく行っている動作が、セロトニン分泌の鍵となっています。
普段の何気ない食事でも噛むリズムに意識を向けるだけでも、セロトニンの分泌が活発になります。
その他噛むことのメリットはまだ沢山あるので、↓の記事をご参考ください。
リズム運動もストレスのかかる状態で嫌々やったり、疲れすぎると逆にセロトニンの機能が低下してしまいます。
自分のリラックスできる状態で無理なく続けることがセロトニンコントロールの第一歩です。
セロトニンを増やす食べ物
セロトニンはトリプトファンと呼ばれるアミノ酸から作られます。
トリプトファンは人体では合成できないので、食べ物からの摂取が必要となります。
・卵
・玄米
・豆類
・乳製品
・ブラックチョコ
・ブロッコリー
・カリフラワー
・芽キャベツ
・キャベツ
・ケール
・大根
など。
さらに、トリプトファンをセロトニンにするには「トリプトファンヒドロキシラーゼ」と「デカルボキシラーゼ」という2つの酵素が必要となります。
トリプトファンヒドロキシノラーゼを活発化させるには、葉酸、ナイアシン、鉄分、カルシウム等の栄養素が必要となります。
・ほうれん草
・アスパラガス
・枝豆
・レバー
・果物
・魚介類
・肉類
デカルボキシラーゼを活発化させるには、亜鉛、ビタミンC、ビタミンB6、マグネシウム等の栄養素が必要となります。
・レバー
・大豆類
・魚介類
・肉類
また太陽の光を浴びると合成されるビタミンD、青魚やくるみなどに含まれるオメガ3脂肪酸も、セロトニンの合成をサポートします。
終わりに
以上がセロトニンについてのまとめになります。
リズムというものは意外に大切で、普段の生活でも意識的にリズム運動をすると、リラックス効果や安眠に繋がることが分かりました。
無理を通してやりすぎは逆効果ということも分かったので、少しずつ続けながらセロトニンと付き合っていきたいと思います。
参考文献&サイト)
咬合・咀嚼と認知機能 2016年
不安障害とセロトニン受容体 2000年
睡眠とニューロン活動の 1/f ゆらぎ 1994年