「1日のうち16時間は固形物を口にせず、8時間は自由に食事をしても良い」そんな断食方法がメディアや雑誌で紹介されています。
8時間ダイエットや時間制限食(TRE)、またはプチ断食として知られる手法です。
最近の研究では、確かに短期的なメリットが明らかになったこともあり、革新的な食事方法として広く知られることとなりました。
そんなプチ断食ですが、長期的な影響についてほとんど知られていません。
上海交通大学による新しい研究では、この断食の長期的な影響は、利点を上回るリスクを孕んでいる可能性が見つかりました。
今回のテーマとしてまとめていきます。
参考記事)
・Time-Restricted Eating May Increase Risk of Early Death, Study Warns(2024/03/22)
参考研究)
・P192 - Association Between Time-Restricted Eating and All-Cause and Cause-Specific Mortality(2024/03/18)
一部の人々は、健康問題に対処するために医療監督の下で時間制限食を行う場合がありますが、多くの人々は医学的アドバイスなしに、「体重を減らすため」や「何らかのメリットがあるだろう」という希望的観測によって行動しがちです。
体重は健康な体の1つの側面ですが、中国のチームによる新しい研究は、TREが心血管疾患や早期死亡を含むいくつかの深刻で長期的な影響と関連していることを示唆しています。
上海交通大学の疫学者Victor Zhong氏は、「8時間のTREを行った人々は、一般に健康な集団かがんや心血管疾患の恐れがあるかに関わらず、心血管疾患による死亡率が高いことがわかった」と述べています。
これに加え、今までの研究で分かってきたTREによる心血管への利点は、データのほとんどが1年未満で行われているため、長期的な影響を見逃している可能性があることも分かりました。
今回の研究では、2003年から2018年に国の国民健康栄養調査に参加した20,000人以上の米国の成人のデータに基づいて分析が行なわれました。
分析によると、1日の食事を8時間以下に制限した人々は、心血管疾患による死亡リスクが91%高いことが明らかになりました。
この傾向は、心臓病や癌の人にも当てはまりました。
心血管疾患を持つ人々では、食事を1日8時間から10時間の間で制限した場合、心臓病や脳卒中による死亡リスクが66%高いという相関性が見られました。
がん患者にとって、1日8時間という食事時間の制限をしない方が、死亡リスクの低下が見られたという結果が分析されました。
この研究はまた、TREがいかなる原因からでも早期死亡のリスクを減らす効果がないことを発見しました。
今の段階では、これらは単なる相関性でしかなく、因果関係は明らかになっていません。
Zhong氏は、「この研究では、8時間の食事時間の制限と心血管死との関連が特定されましたが、これは時間制限された食事が心血管死を引き起こしたという意味ではない」と結果の捉え方に対して注意するよう述べています。
また研究チームは、時間制限食を行った人々は、心血管死亡率に関連している他の人よりも体脂肪や筋肉量が少ない傾向にあることを発見しましたが?これらのメカニズムを適切に理解するためにはさらなる研究が必要であると今後の研究の発展に期待が持たれています。
Zhongは、「私たちの研究の調査結果は、個人の健康に合わせた推奨される食事を奨励する」と述べ、科学的な根拠やリスクを知らずに流行りに乗った食事を行ってしまう危険性に対する注意を促しています。
この記事は、アメリカ心臓協会によるライフスタイル科学セッション2024にて発表された内容を基に作成しました。