コーヒー、紅茶、緑茶などの共通点といえば、カフェインが入っていることが思い当たるのではないでしょうか。
カフェインの代名詞とも言えるコーヒーは、飲みすぎは健康害する報告もありますが、1日3杯〜5杯までを目安にすると、抗酸化作用やリラックス効果などの健康面なでの利点を得ることができることがわかっています。
今回は、そんなコーヒーなどに含まれるカフェインについて、二型糖尿病や心血管疾患のリスクが低下されることが観察された研究についての話です。
NEW ATLASに2023年3月15日付で掲載された記事からまとめていきます。
参考記事)
Higher blood caffeine levels may reduce weight, risk of type 2 diabetes
参考研究)
スウェーデン・カロリンスカ研究所の研究員は、血中のカフェイン(1,3,7-トリメチルキサンチン)濃度が高いほど、BMIと体脂肪率が低く、二型糖尿病のリスクが低いという研究結果を発表しました。
今回の研究では、メンデルランダム化を用いて遺伝的変異を調べ、血中カフェイン濃度の長期的な影響が、BMIや二型糖尿病、および心血管疾患にどのような関係があるのかを調査しました。
カフェインは主に肝臓で代謝されますが、その代謝は遺伝子はCYP1A2およびAHRの変異によって影響を受ける可能性があります。
・CYP1A2
シトクロムP450 1A2の略称
人体において生体異物の代謝に関与している酵素のひとつ
・AHR
CYP1A2などの生体異物代謝酵素を調整する受容体を生産する遺伝子
これらの遺伝子に変異がある人はカフェインの代謝が遅いため、コーヒーの消費量が少ない場合でも、血中カフェイン濃度は高くなる傾向にあります。
研究者らは、ヨーロッパ系9,876人の遺伝子研究から得られたデータを分析し、CYP1A2とAHRの遺伝子変異の影響を調べました。
分析によると、遺伝的に予測された血中カフェイン濃度が高いほど、BMIと体脂肪が低く、二型糖尿病のリスクが低いことが示されました。
さらに糖尿病リスク低下への影響の43%は、BMIの減少によるものでした。
カフェインによる熱の発生と脂肪の酸化を増加させることによって、BMIの減少に繋がっていると考えられています。
カフェインを1日に100mg摂取すると、エネルギー消費が1日あたり100キロカロリー増加すると推定されています。
(100mlのコーヒーには、およそ28〜60mgのカフェインが含まれているとされています。)
また、満腹感の増加やエネルギー摂取の抑制によって、肥満になるリスクが低下すると考えられています。
遺伝的に予測された血中カフェイン濃度の上昇と心血管疾患、特に虚血性疾患、心房細動、心不全、脳卒中との間に有意な関連性を示す証拠はありませんでした。
研究者らは「私達のメンデルランダム化による分析は、カフェインがコーヒーの消費と二型糖尿病のリスクとの間に、少なくとも部分的には逆の相関を持つ可能性があることを示しました」と述べています。
一方、研究の対象がヨーロッパ系のみであるため、それ以外の国の人種に当てはまるかどうかは分かりませんが、この研究をベースとして、カフェインと人体への影響がより深まっていくことが期待されています。
・血中カフェイン濃度が高いほど、BMIと体脂肪率が低く、二型糖尿病のリスクが低い
・糖尿病リスク低下の原因はBMIの減少によるものが約半分
・BMIの減少はカフェインによるカロリーの消費量の増加に起因する
・今回行ったメンデルランダム化による分析が、多様な人種での研究に活用されるkとに期待が持たれている
昨今になって、コーヒーのメリットが科学的に浮き彫りになってきていますね。
今回はコーヒーに限らずお茶などに含まれるカフェイン全般についての話でしたがが、普段カフェインを積極的に摂る方にとっては朗報かもしれません。
自分は基本的にカフェインレスのコーヒーですが、お茶などもよく飲むので、摂りすぎないことを頭に置いて、健康効果を享受できるよう立ち回りたいと思います。
それでは今回はこの辺にて!