脳波は成長とともに活発になっていくことがこれまでの研究で分かっています。
しかし、それ以前の段階の安静時の脳波が成長をどのような影響があるのかは詳しくわかっていませんでした。
今回紹介する研究は、幼児期の環境や脳波が18歳になった時にIQにどのような影響があるのかを調べた研究です。
家庭で育った子供と施設などで育った子どもでは成人近くになった時のIQに違いが出るようです。
参考記事)
・Brain Activity as a Toddler May Predict IQ at Age 18, Decades-Long Study Finds(2023/08/03)
参考研究)
・Resting brain activity in early childhood predicts IQ at 18 years
テキサス大学、メリーランド大学の研究者らは、施設に収容された子どもと家庭で教育された子どもの認知能力を比較し、幼児期から18歳までのIQの違いを分析しました。
この追跡は、2000年代初頭から始まったルーマニアの捨て子の認知発達を追跡した研究であるブカレスト早期介入プロジェクトを基に分析がなされています。
分析によると、家庭で教育を受けて育った幼児と比べると、施設などで育った幼児は18歳時点でのIQ(知的推論、ワーキングメモリー、処理速度など)が低くなることが分かりました。
これは、施設での養育や里親の介入が遅ければ遅いほど幼児期の安静時の脳活動が高いことが予測されっています。
幼児であっても周りの状況を敏感に感じ取り、落ち着いた環境で育てることが認知機能発達させ洗練させる重要なステップであることが示唆されました。
過去の研究でも、脳波の遅さは貧困や社会的不利など特に敏感であることが分かっています。
今回の研究は幼児期の脳波の遅さと若年成人期の長期的な認知機能への影響を結びつけた初めての研究です。
この相関関係を確認するには、より大規模な分析をする必要があり、また科学者たちは、脳波が遅い場合、長期的な認知機能にどのような変化が現れるのかを調査する必要があると述べています。
この研究が、幼児期の脳波と認知発達不良のリスクが高まっている子供を特定し、早期介入によって学習困難の子がその後の人生で良い結果を得られる助けになるだろうと、今後の研究に期待されています。
子どもが育つ環境や親の関わり方によって地頭や勉強への意欲が変わることはよく言われていますが、脳波レベルでも賢さとの相関性があったのですね。
ものが分からない幼児期のときでも、安心して過ごせる環境作りが大切であるということですね。