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ビタミンD不足が自己免疫疾患を引き起こす理由

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  • 2024/11/06 15:13

コロナ渦において一際目立つようになった栄養素の一つに“ビタミンD”があります。

 

免疫力を高める効果の他にも、美肌効果や髪質の改善、ホルモンや神経伝達物質の調節にも関係するとして、健康増進の立役者としてスポットを浴びました。

 

世間からの関心が集まるようになったことからこの成分の研究も進むように、ビタミンD不足が免疫系に深刻な影響を与える可能性も明らかになってきました。

 

今回のテーマとしてまとめていきます。

 

参考記事)

Vitamin D Deficiency Can Trigger Autoimmune Conditions. Here's Why.(2024/11/03)

 

参考研究)

Skewed epithelial cell differentiation and premature aging of the thymus in the absence of vitamin D signaling(2024/09/25)

 

 

ビタミンDと胸腺の関係

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カナダのマギル大学の研究チームは、遺伝子操作によって自然にビタミンDを生成できないマウスを用い、ビタミンD不足が免疫系に及ぼす影響を調べました。

 

その結果、ビタミンD不足がどのように胸腺(免疫系の調節を行う臓器の一つ)に影響を与えるかが詳細に解明されました。

 

胸腺はT細胞と呼ばれる免疫細胞を成長させる役割を持ち、T細胞が健康な細胞を攻撃しないよう教育」する重要な臓器です。

 

胸腺は通常、ビタミンDによってその機能が保たれますが、ビタミンD不足により胸腺が早期に老化することが判明しました。

 

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ビタミンDの不足による胸腺内の自己免疫調節因子の低下 Skewed epithelial cell differentiation and premature aging of the thymus in the absence of vitamin D signalingより

 

老化した胸腺では、自己免疫反応を制御する機能が低下し、結果として「自己攻撃性」を持つ免疫細胞が制御されずに増えることになります。

 

マギル大学の生理学者ジョン・ホワイト氏は、「胸腺の老化は免疫系の漏洩を引き起こし、自己免疫疾患のリスクを増加させる」と述べています。

 

老化した胸腺では、誤って健康な組織を攻撃する可能性のあるT細胞を十分に排除できなくなり、結果として免疫系が「リーキー(漏れやすい状態)」になってしまうというわけです。

 

この「漏れやすい」状態により、健康な細胞を攻撃する誤った免疫反応が増加し、一型糖尿病やリウマチ、アレルギーなどの自己免疫疾患のリスクが高まることが示唆されています。

 

 

若年層におけるビタミンDの重要性

研究チームは、ビタミンDが特に子どもや若年層にとって重要であると考えています。

 

T細胞が健康な細胞を攻撃しないよう教育される胸腺での訓練は、約20歳まで続くとされており、この成長期におけるビタミンDの摂取が免疫系の健全な発達に不可欠と考えられます。

  

年齢を重ねると胸腺は徐々に機能が低下するため、ビタミンDの効果もあまり明確でなくなりますが、成長期には特に重要であるとされています。

 

今回の研究はマウスにおける実験での発見ですが、人間も同様の胸腺の構造と機能を持っているため、同様の生物学的プロセスが働いている可能性が高いとされています。

  

 

ビタミンDサプリメントの効果と推奨

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ビタミンDの不足が特定の健康状態において有害であるという証拠は増えているものの、サプリメントの効果に関する意見はさまざまです。

 

一般的には、ビタミンDが不足している人にはサプリメントが有益であるとされています。

 

特にビタミンDは、日光からも生成されるため、日光を十分に浴びることができない地域に住んでいる人や、冬の間に日照が少ない人にとっては欠かせない栄養素です。

 

サプリを使用する以前に、ビタミンDが豊富に含まれる食材(イワシやシャケ、キクラゲや卵黄など)を調理して食べることが推奨されます。

 

これは、ビタミンDの吸収において、食材に含まれる様々な栄養素が絡み合って吸収効率が上がるとされているからです。

 

どうしてもそういった食材が摂取できない場合は、太陽の下で活動する機会がない日があるときなどは、気休め程度のサプリは良いかもしれません。

 

研究チームは今後、人間の胸腺におけるビタミンDの影響を調査する予定です。

 

ビタミンDの欠乏が実際にどの程度まで免疫系の老化や機能低下に関与するかについてはさらなる研究が必要ですが、今回の発見は、自己免疫疾患の予防に向けた新しい取り組みのヒントとなる可能性があります。

 

マギル大学のホワイト氏は、「子どもがビタミンDを十分に摂取できるよう、医師と相談することが重要だ」と述べており、成長期におけるビタミンDの重要性を強調しています。

 

 

まとめ

・ビタミンD不足により、胸腺が早期に老化し、自己免疫疾患のリスクが増加することが示された

・特に成長期においてビタミンDは重要であり、免疫細胞が健康な細胞を誤って攻撃しないよう訓練されるための重要な役割を果たしている

・ビタミンD不足が懸念される場合、サプリメントが有益である可能性があるが、食材などから摂取することが好ましい

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