今回紹介するのは、ショーン・マッキトリックが製作を務めた話題作「アンテベラム」です。
「ゲット・アウト」や「アス」のプロデューサーを務めた彼が、アメリカ南北戦争(前)時代の人種差別をテーマとして映画に落とし込んでいます。
黒人をただの労働力とし搾取する様子は、まさにクリストファー・コロンブスの西インド諸島の開拓以降の力関係を表しています。
奴隷貿易の歴史はご存知の方が多いかと思いますが、そういった知識がなくても楽しめる作品だと思います。
それではあらすじから……。
アメリカ南部のプランテーションで囚われの身となっている主人公のエデン。
農園には黒人奴隷が次から次へと運ばれ、男女関係なく過酷な労働を強いられている。
農園では白人が絶対的な支配権を持ち、農園から逃げようとする者は家畜のように殺される。
弱者の団結を恐る白人たちに自由に言葉を発することさえ禁じられたエデンたちは、恐怖の日々を耐え忍び、今か今かと脱出のチャンスをうかがっていた。
歴史の中で非常の根深い問題となっている話題ですね。
かつて世界各地に蔓延った「白人とそうでない者」という二元論が、現在でもあるということを表している作品でもあります。
ちなみにアンテベラムは、ラテン語のante(〜前の)とbellum(戦争)からなる言葉で、戦前を意味しています。
この映画の場合、Antebellum South(アンテベラム サウス)=南北戦争以前の、白人と黒人の対立関係を表しているのでしょう。
そんな反差別主義的な映画ですが、ネタバレなしで観てほし作品です。
特に「ゲット・アウト」を視聴し、気に入った人は是非是非。