今回紹介するのは、エイリアンに支配された地球とその中で生きる主人公とその家族を描いた映画「見えざる手のある風景」です。
原題はM.T. アンダーソン氏が著した「Landscape with Invisible Hand」という小説です。
2023年8月18日(米)に公開され、アマプラのレビュー数もまだ60と知らない人も多い作品です。
SFブラックコメディというジャンルが一番近く、支配する宇宙人を地球人が恐れながらも皮肉るような内容です。
例のごとく先に断っておくと、宇宙戦争のようなド派手に宇宙人と戦う映画ではありません。
しかし、宇宙人に対する人類の尊厳という両者に共通する意味での戦いがあります。
異星人に支配されたディストピアの様子や、主人公たちの葛藤を描いた様子を楽しむことができます。
ではあらすじから……。
現在から数十年しか経っていない近未来、地球はあるエイリアンの種族に占領された。
その高度なテクノロジーによって地球の大半が支配され、人類は一部の宇宙人にのために働く(飼われる)富裕層と、貧困と失業にあえぐ地上の難民に分かれた。
主人公のアダムとその一家は、地上の中でも比較的富裕層に位置し、人としての生活をなんとか享受できたいた。
あるときアダムは、スクールで知り合った女の子と仲がよくなり、家族ぐるみでアダムの家に住むことになる。
そんな中二人は、エイリアンに対して人間の恋愛リアリティーショーなる見せ物をしてお金を稼ごうとするも……。
主人公の名前がアダム、そして映画のタイトルが「見えざる手」……。
そこから連想するのは間違いなくアダム・スミスですね。
当時、経済大国だったイギリスにおいて市場経済を分析した人物であり、人類は“分業”によって高度に発展してきたという趣旨の「国富論」を著しました。
(詳しくは“国富論まとめ記事”にて↓)
この映画は、そんな彼が唱えた資本主義的な考え方を表現しているように感じます。
一部の富裕層が支配し、貧困に喘ぐ人を見下す構造……。
そんな資本主義の闇を如実に表現し、社会風刺的な内容を受けるので、そういう前提知識を持っていると更に楽しめる映画です。
あと……、お上に話は通じないというブラックジョークも感じます。