ソーセージや菓子パン、シリアルやキャンディーなどの超加工食品は、私たちの身の周りに多く存在します。
砂糖や添加物が多く含まれるこれらの食品を多く摂取すると、がんや心疾患以外の要因による早死のリスクが高まる可能性があると報告されています。
代表的なもので言うと、ハムやソーセージの発色を良くするために使用される亜硝酸ナトリウムがあります。
この化学物質が胃液と反応すると、極めて発がん性の高いニトロソアミンに変化したり、その機序によってうつ症状や記憶障害の危険性も指摘されています。
そんな危険性が明らかになってきた超加工食品ですが、ハーバード大学らによって発表された新しい研究によると、早死にのリスクと密接に関係があることが示唆されるようになってきました。
今回のテーマとして以下にまとめていきます。
参考記事)
・The Link Between Ultra-Processed Foods and Mortality(2024/05/24)
・Consumer Survey: Public Perceptions Of Processed Foods In A Healthy Diet(2024/01/29)
参考研究)
・Long-Term Consumption of Sugar-Sweetened and Artificially Sweetened Beverages and Risk of Mortality in US Adults(2024/03/18)
・Ultra-Processed Foods: Definitions and Policy Issues(2019/02)
・The UN Decade of Nutrition, the NOVA food classification and the trouble with ultra-processing(2017/03/21)
超加工食品には、一般的に砂糖や脂肪、フレーバーが添加され、複数の加工工程を経て製造されることが多く、その中でも特に加工肉や砂糖入り飲料が早死のリスクを高める食品として注目されています。
2024年5月にBritish Medical Journalに掲載された研究により、超加工食品を多く摂取する人は、全死因による死亡リスクが4%、がんや心疾患以外の原因による死亡リスクが9%増加することが分かりました。
研究では、「看護師健康研究」と「医療専門家フォローアップ研究」による30年間のデータから、超加工食品と死亡リスクの関連性が調査されました。
この研究には17万2千人以上が参加し、1980年代中頃から4年ごとに食事調査が行われました。
興味深いことに、全ての超加工食品が同じようにリスクを高めるわけではなく、加工肉や砂糖入り飲料が寿命を短くする可能性が高いと指摘されています。
ジョンズ・ホプキンス大学のサリバン氏は、「加工肉の摂取は心疾患やがんといった病気のリスクを高めることが一貫して示されており、砂糖入り飲料も心血管疾患による死亡リスクを高めることが過去の研究でも確認されている」と述べています。
一方、全粒パンや果物入りヨーグルトなど、超加工食品に分類されるものの、健康への影響が比較的少ない食品も存在すると考えられていますが、極力避けることが推奨されます。
アメリカでは摂取するカロリーの58%が超加工食品であることが問題とされ、日本よりも盛んにその健康への影響を調べる研究が行われています。
しかし、多くの研究はサンプルサイズが小さかったり、期間が短かったり、長期にわたる食生活の再評価が不足していたりするという調査の粗が指摘されています。
今回の長期的なデータ分析は、「超加工食品」を多く含む食生活が、予想以上に早死のリスクを高めることの証拠の一つとなります。
『超加工食品』という用語は比較的新しいものであり、決められた定義はありません。
国際食品情報評議会(IFIC)の栄養コミュニケーション部門シニアマネージャーであるアリッサ・パイク氏によれば、多くの人が「加工食品」が具体的に何を指すのか理解していないとされています。
本研究では「NOVA」と呼ばれる分類システムに基づいて加工食品が分類されたものを使用しました。
超加工食品は一般的に脂肪、砂糖、塩分が多く含まれており、保存性が高く、「中毒性がある」とも言われています。
2019年のレビューによれば、超加工食品には家庭で再現するのが難しいような加工や成分が含まれており、人工的なフレーバーや甘味料、着色料、乳化剤などが加えられたものが多いとされています。
ジョンズ・ホプキンス大学のサリバン氏は、「超加工食品の定義が理解しにくい場合は、家庭で簡単に作れないものが超加工食品に該当すると考えると分かりやすい」と述べています。
例として、パッケージ菓子、清涼飲料、デリミート(ハムやソーセージ、ブロック肉など)、冷凍食品、ポテトチップスなどがそれらに当たります。
超加工食品の健康への悪影響が懸念される一方、これらの食品はアメリカの食生活に深く根付いているため、すべての超加工食品を完全に排除することは現実的ではありません。
サリバン氏は「すべての超加工食品を排除するのは大きな食生活の変化であり、現代の食環境では難しいだろう」と述べています。
専門家は、制限的な食事を追求するよりも、健康的な食品を増やすことが望ましいとしています。
果物、野菜、乳製品、全粒穀物、健康的な脂肪、ナッツ類、豆類などを積極的に摂取することで、超加工食品の悪影響を抑え、健康の改善が期待できるとされています。
また、健康を保つためには、特に加工肉(ベーコン、ソーセージ、大半のデリミート)や砂糖入り飲料(ソーダ、フルーツ飲料、甘味料入りの紅茶やレモネード)を控えることが推奨されています。
パイク氏によれば、栄養価の高い食品を取り入れることで、超加工食品が引き起こすリスクをある程度軽減することができると述べています。
・超加工食品の摂取は全死因による死亡リスクが4%、がんや心疾患以外の原因による死亡リスクが9%増加させる
・特に加工肉や砂糖入り飲料は早死リスクを高める。
・すべての超加工食品が悪いわけではない:全粒パンや果物入りヨーグルトなどは健康に悪影響が少ない
・健康寿命のために、精製された砂糖、植物油脂、体に合わない小麦など、食べない食品の選択が必要
個人的には、栄養価の高い食品を取り入れるよりも、超加工食品を摂取しないと決めた方が、健康効果を楽に得ることができると確信しています。
新鮮な野菜や肉など栄養価の高い食品となると、それを手に入れるためのコストや手間などのハードルが現れます。
数週間や数ヶ月などなら意識的にそういった行動をとることは可能でしょうが、半年や数年単位となると、ある程度の経済力が必要だったり、砂糖や植物油脂の入ったものを“断つ”という強い精神力に頼ることになります。
自分も超加工食品を絶って長いですが、「超加工食品の害を減らすために、栄養価の高い食品を摂取する」という考えでは長続きしませんでした。
それよりは「完全にやめる」と決めた方がはるかに楽です。
その方が体調が良かったり、精神が安定することが分かると、食べようとすら思わなくなります。
「減らす」や「補う」ではなく「完全に断つ」
意外と簡単に超加工食品をやめることができるのでおすすめです。