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筋肉をつけるために、炭水化物はタンパク質と同じくらい大切(アングリア・ラスキン大学、他)

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  • KTAG
  • 2024/03/13 15:05

筋肉をつけるといったらタンパク質とすぐに連想されるほど一般に浸透してきたワードの組み合わせです。

 

若くして亡くなったマッスル北村こと北村克己氏は、黄身を捨て卵の白身のみ常飲するほどタンパク質の摂取にこだわった食事制限を行ったことで有名で、個人的には“タンパク質といったら卵”というイメージはこの人のインパクトが強いと思っています。

 

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また、映画ロッキーにて主人公のロッキーが生卵を飲んでいる描写があることなど、筋肉とタンパク質との関連性はメディアによっても結びつけられてきました。

 

そんな筋肉とタンパク質という関係ですが、過去に行われた複数の研究では、筋肉をつけるという目的において、タンパク質と同じくらい炭水化物を摂取することも大切であると主張しています。

 

今回のテーマとして取り上げていきます。

 

 

参考記事)

Here's Why Cutting Carbs For Protein Might Not Help You Build Muscle(2024/03/13)

 


参考研究)

Athletes' and Coaches' Perceptions of Nutritional Advice: Eating More Food for Health and Performance(2021/06)

Low-carbohydrate diets and performance(2007/07)

Is an Energy Surplus Required to Maximize Skeletal Muscle Hypertrophy Associated With Resistance Training(2019/08/20)

 

 

タンパク質と同じくらい炭水化物も摂ると良い

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アングリア・ラスキン大学をはじめとする過去の複数の研究から、筋肉の増強にはトレーニング後にタンパク質(ロイシンなどのアミノ酸)と同時に、十分なカロリーを摂取することが重要である可能性が示唆されました。

 

高タンパク質、低炭水化物の食事は、筋肉を増やして脂肪を減らすことを目的としたジムで運動をする人やボディービルダーにとって長い間黄金の方程式と考えられてきました。

 

しかし、あるボディビルチャンピオンは、これが必ずしも理想の体格を達成する唯一の方法ではない可能性があることを示しています。

 

2023年には「ミスター・ユニバース」を獲得した52歳のボディビルダー、マーク・テイラー氏によるインタビューでは、成功の鍵は実は炭水化物を摂取することだったと語っています。

 

テイラー氏は何年もの間、高タンパク質、低炭水化物の食事制限にこだわっていましたが、常々疲労を感じていました。

 

テイラー氏はこの執着から逃れ、炭水化物と一緒に多くのカロリーを摂取し始めたころからよりアクティブになり、その結果目標としていた賞を受賞することができたそうです。

 

ある一例とも考えられるこの戦略ですが、科学はどのように答えるのでしょうか。

 

 

栄養補給で筋肉を鍛える

前提として、筋肉を増やすにはトレーニングを行う必要があります

 

過去の研究では、十分なカロリーを摂取することと並行してタンパク質を毎日摂取することが、全体的な筋肉の増加にとって重要であることが度々強調されています。

 

筋肉の成長は、筋タンパク質の合成」(新しい筋肉組織が作られる&修復される)と「筋タンパク質の分解」(筋肉組織が分解される)という2つのプロセスによって行われます。

 

適切な栄養とトレーニングがこれらのプロセスを促し、特にタンパク質は筋肉の構成要素となるアミノ酸(ロイシンなど)を含むため必須の栄養素となります。

 

また、脂肪やビタミン、ミネラルなどの他の栄養素も筋肉の構築プロセスに関連します。

 

そして注目されるべきは炭水化物です。

 

体が必要とするカロリーよりも摂取カロリーが少ない場合、トレーニングに悪影響を及ぼす可能性があります。

 

マーク・テイラー氏の「常々疲れていた」という言葉や、北村克己氏が簡単な動作でも息切れを起こしていた様子からも、身体のエネルギー不足によるパフォーマンス低下がある可能性が見て取れます。

 

運動後に炭水化物とタンパク質を組み合わせると筋タンパク質合成が増加する可能性があることが示されていますが、タンパク質のみを摂取した場合でも同様に筋肉の増加は認められます。

 

これは、アミノ酸がこそが筋肉の構築のプロセスの鍵であり、炭水化物はこれらの構成要素を提供しないため、筋肉タンパク質の合成を直接促進できないためです

 

しかし、炭水化物は筋タンパク質の分解の程度に影響を与える可能性があります。

 

炭水化物がタンパク質の分解を減らすホルモンであるインスリンの生成を促すためです。

 

ただし、タンパク質もインスリン生成に影響を与え、同様の効果を生み出します。

 

運動後に十分なタンパク質を摂取している場合、余分に炭水化物を摂取する必要はないことを主張することもできます。

 

では、テイラー氏の成功をどう説明すればいいのでしょうか?

 

ボディビルダーの多くは、筋肉量を増やすために毎日の摂取カロリーを約15%以上増やすいわゆる「増量」を行います。

 

これに続き、筋肉をより目立つようにするために戦略的に体脂肪を減らす「減量」を行います。

 

低炭水化物の食事制限をすると、脂肪の減少が促進され、引き締まった体格が得られます。

 

しかし、低炭水化物の食事はエネルギーの減少を意味し、免疫力の低下、疲労の増大パフォーマンスの低下につながる可能性があります。

 

生理現象の観点で見ると、低炭水化物は、女性の月経機能を混乱させ、特に男性のテストステロン(筋肉の発達に必要)を低下させる傾向もみられます。

 

したがって、このような食事制限は一部の人にとって有害になる可能性があります。

 

炭水化物はグルコースの形でエネルギーを供給し、グルコースは後で使用するためにグリコーゲンとして筋肉に蓄えられます。

 

ジムでのハードなトレーニングは多くのエネルギーを消費します、

 

つまり、私たちは貯蔵したグリコーゲンをより迅速にエネルギー源として利用することを意味します。

 

これにより激しいトレーニングが可能になり、間接的に筋タンパク質の合成に影響を与えます。

 

炭水化物をとらず、低グリコーゲン状態でトレーニングを続けると、筋肉増強プロセスだけでなく、全体的なトレーニング結果にも影響を与える可能性があります。

 

また、テイラー氏は炭水化物の種類にも注意しました。

 

彼は、生成された砂糖や白米などではなく、血糖値を比較的に緩やかに上昇させるサツマイモやお粥を選びました。

 

特定の食品に含まれる炭水化物が血糖値を上昇させる速度の尺度はグリセミック インデックス (GI) と呼ばれ、お粥などは低GI食品に含まれます。

 

しかし、低GI食品は一日を通して健康にもエネルギーを緩やかに使用できる状態にしますが、ハードまたは長時間のトレーニング後の高GI食品(白パスタ、ベーグル、グラノーラなど)はグリコーゲンの迅速な回復をサポートすることが研究で示されています。

 

したがって、1日を通して低GI食品と高GI食品を組み合わせることが、トレーニングと回復戦略として役立つ可能性があります。

 

アスリートであろうとなかろうと、筋肉量を増やすには努力が必要であり、食事はこの筋肉増強に直結します。

 

炭水化物でトレーニングのエネルギーを補給しながら、筋肉にタンパク質を与えることは、目標を達成するためのより効果的な方法となる可能性となるでしょう。

 
研究の詳細は各種リンクや冒頭参考研究より。

 

 

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