エナジードリンクといえば元気の前借り……、アルコールといえば疲れた日の最後のご褒美……、自分が勝手に抱いている印象ですが、いずれも健康に良いとは言えない嗜好品と言えるでしょう。
農林水産省からは、“エナジードリンク中のカフェインがアルコールによる機能低下を隠してしまう”といった理由から、エナジードリンクとお酒を一緒に飲むことに対して注意喚起がされています。(その他参考:Effects of Mixing Alcohol and Caffeine)
そんなエナジードリンクとアルコールの合わせ技ですが、ラットを対象とした実験では、認知機能に長期的な問題を引き起こしたという研究結果が示され、若年成人の飲酒習慣に対する懸念が高まっています。
以下にその研究についてまとめていきます。
参考記事)
・Mixing Energy Drinks With Alcohol Can Impair Brain Function, Study in Rats Shows(2024/07/05)
参考研究)
カリアリ大学とイタリアのカターニャ大学の研究チームは、アルコール、エナジードリンク、またはその両方の混合物が与えられた若いオスのラットの脳の特定領域が変化したことを報告しました。
ラットたちは飲料を摂取した後53日まで、脳スキャンや行動テストを含む認知機能がテストされました。
特に、2つを混合した飲料を摂取したマウスは、学習と記憶能力の長期的な変化と、学習と記憶を司る領域(海馬)にて変化を示したことが明らかになりました。
飲料を摂取したラットは人間でいう思春期にあたる年齢で、こうしたアルコールの摂取の仕方は、脳の成熟過程に大きな影響を与えるのではないかと懸念されます。
特に、海馬の可塑性が影響を受けるということは、新しい情報や要求に応じて適応したり、変化しようとする脳の能力を損なう可能性があるようです。
また、アルコールやエナジードリンクを単独で摂取したラットは、当初ニューロンの成長を促進するタンパク質レベルの上昇によって、特定の脳の指標と機能のブーストを示しました。
しかし、これらの利点は続かず、成人期になると脳能力が低下しました。
研究者は、「私たちの結果は、若い頃に飲んだエナジードリンクやアルコールの影響は成人期になっても残り、電気生理学的および分子レベルで海馬の変化を引き起こすことを示している」と述べています。
これらの結果は動物実験の域を出ず、人間の研究で確認される必要があります。
この研究で発見できなかった、ヒトが持つホルモンの相互作用や男女間の違いがある可能性も高いです。
しかし、この調査結果は、エナジードリンクやアルコールを自由に摂取しても良いということにはなりません。
研究者たちは、こういった飲酒の仕方が脳に恒久的な影響を与えるだろうと考えており、今後の研究で、さらなるエビデンスや反論など探求していきたいと考えているようです。
この研究は、Neuropharmacologyにて詳細を確認することができます。