エウメネスに続き紹介する5人目のディアドコスは…、政治も戦もこなす隻眼の豪傑“アンティゴノス”です。
自らを隻眼王(モノフタルモス)と名乗り、マケドニアを支配すべく戦う人物をピックアップしていきます。
アレクサンドロス大王の下で
アンティゴノスが歴史上の表舞台に出てくるのは、アレクサンドロス大王が率いるマケドニア軍とアケメネス朝(ペルシャ)が戦った“グラニコスの戦い”からである。
グラニコスの戦いではアレクサンドロス大王と、大王のピンチを救った家臣についての話が多く、アンティゴノスがどう活躍したかは明確ではない。
しかしこの戦いの後アンティゴノスはフリュギア太守に命じられ、マケドニア本国から大王率いる軍隊を繋ぐ補給線の確保に従事する。
行軍に補給は不可欠であり、補給線が崩れると行軍はおろか壊滅すらあり得る重要な任務であった。
このことから、アンティゴノスが大王に仕える前からも評価が高かったことが分かる。
彼がが太守に命じられてから、少なくとも三度以上ペルシャ軍の攻撃から補給線を守り切っている。
大王の死後
大王の死後もフリュギア太守としてその地を治めていたアンティゴノス。
古くからの友人であるエウメネスはカッパドキア太守に命じられるが、アンティゴノスはそれをいずれ王となる自分の障害になると考えていた。
他の王位継承を狙っていた者の多くはエウメネスを軽視していたが、古くから付き合いのあるアンティゴノスは、彼の恐ろしさを知っていた。
エウメネスがカッパドキア征服のために援軍を要請したときも決して手を貸さず、あくる日の戦いに備える狡猾さも備えている人物、それがアンティゴノスである。