夜更かしをした夜、明日の学校や仕事が始まるまでにあと何時間寝ることができるかを確認して絶望した経験はありませんか?
不眠症の人にとってはその時間確認が精神的な負担となって、さらに症状を悪化させることになるかもしれないという研究報告が発表されました。
今回はそんな研究についてのお話です。
参考記事)
・Doing This One Thing Makes Insomnia Even Worse, Psychologists Warn(2023/05/29)
参考研究)
・Use of Sleep Aids in Insomnia: The Role of Time Monitoring Behavior(2023/05/16)
インディアナ大学ブルーミントン校の臨床心理学者スペンサー・ドーソン氏は、
「人は自分の十分な睡眠を取れていないこと気にすると、眠りにつくまでにかかる時間や起きなければならない時間を推定し始める」
と述べています。
同大学の研究では、2003年5月から2013年10月までに地域密着型の民間睡眠医療センターで診療を受けた患者4886人を対象に不眠障害に関する調査を行いました。
調査では、患者が不眠重症度指数(ISI)と時間監視行動(TMB)を記入し、睡眠薬の使用頻度を報告し、時計を確認することと、それに関するストレスが不眠症や薬物使用とどのように関係するかを調べました。
その結果、ISI、TMB、睡眠薬の使用の3つの要因の間には強い関連性があることが示されました。
不眠症と関連する精神疾患を持つ患者は、より多く時計を見て、より多くの睡眠薬及び睡眠補助剤を使用することが分かりました。
さらに研究チームは、時計などで時間を確認することと、それがもたらすフラストレーションについて参加者に直接質問しました。
その結果から、時間を確認することで得られる「早く眠らなければいけない、あと何時間寝ることができる」といったフラストレーションが、睡眠薬の使用を促すという仮説の実質的な証拠になり、その結果、生じるフラストレーションがさらに不眠症を悪化させることも分かりました。
この研究は処方箋として反訳の両方で頻繁に使用されている睡眠薬について、より広範な調査の一環として実施されました。
その後、時計を見ることの不必要性などを完全に対し、カウンセリングをした結果、睡眠薬の使用量を緩和することが可能なことも判明しました。
これらの薬には健康上のリスクや長期的な有効性についての心配があります。
言い換えれば、使用する人が少なければ少ないほど良いということです。
研究チームは今後さらに大人数で長時間に渡ってTMBを研究することを推奨すると共に、時間を確認する誘惑を取り除くための対策を講じることが有効であることを示唆しています。
・不眠症悪化させる原因として睡眠薬の使用が増えるという点がある
・時計を見て時間を確認すると、寝なければいけないというストレスによって眠りにつきにくくなる
・その結果、睡眠薬の使用が増え、不眠症が悪化する可能性がある
・簡単なカウンセリングで、時計の確認の回数と睡眠薬の使用も減らすことができる
これまでの研究でも、“あと何時間寝ることができるか”を予測することは睡眠の質を高めることにつながらないとされています。
“その日は体力的に疲れ果てている”など、普段と異なった一日を過ごしていないのであれば、いつも起きるべき時間にしっかり起きることが、日常生活で良いパフォーマンスを発揮する条件とされています。
多少の夜更かしをしてしまった際は、時間を確認して絶望するより、アラームなどで起きるきっかけだけを作ることが良さそうです。
最終的にはアラームなしでも自動的に起きることができるようになったら、精神的にも負担なく日常生活を送ることができると思います。