この記事は、書籍「世界はラテン語でできている」を読んで興味深かった内容について抜粋して紹介する記事です。
この本は、古代ローマから用いられてきた言語が現代にどのように残っているのかについて書かれています。
政治、宗教、科学だけでなく、美術やゲームなど幅いジャンルに浸透している言葉について知ることで、世の中の解像度が上がって世界が少し楽しくなるかもしれません。
今回のテーマは、“ラテン語が使われている有名なゲーム音楽”についてです。
〜引用&要約〜
ゲームにおいてもラテン語が使われることはよくあります。
ゲームに使われたラテン語で一番有名なのは、おそらく「大乱闘スマッシュブラザーズX」のメインテーマではないでしょうか。
現在最新作のスマッシュブラザーズSPから15年以上も前の作品ですが、自分もプレイしていた作品であり、そのメロディーは今でも耳に残っています。
そのメロディと歌詞を以下に載せます。
【歌詞 ラテン語 →日本語訳】
Audi famam illius.
アウディ ファマム イリウス
Solus in hostes ruit et patriam servavit.
ソルス イン ホステス ルイ エト パリアム サヴァヴィ
Audi famam illius.
アウディ ファマム イリウス
Cucurrit quaeque tetigit destruens.
スクリ カク テティジ デストゥルンズ
Audi famam illius.
アウディ ファマム イリウス
Audi famam illius.
アウディ ファマム イリウス
Spes omnibus,mihi quoque.
スペス オムニバス ミヒ コケ
Terror omnibus,mihi quoque.
テラ オムニバス ミヒ コケ
Ille iuxta me.
イレ イクスタ メ
Ille iuxta me.
イレ イクスタ メ
Socii sunt mihi.
ソシ スントゥ ミヒ
qui olim viri fortes
クィ オリム ヴィリ フォルテス
rivalesque erant.
リヴァレスク エラント
Saeve certando pugnandoque
サーヴェ セタンド プグナンドケ
sprendor crescit.
スプレンダ クレシィト
【歌詞 日本語】
あの人の噂を聞いたことがある
たった一人で敵陣に舞い込み故郷を救ったとか
あの人の噂を聞いたことがある
地を駆け 触れるもの全てを砕いてまわったとか
あの人の噂を聞いたことがある
あの人の噂を聞いたことがある
皆のあこがれだった
自分にとってもそうだった
皆に恐れられていた
自分にとってもそうだった
その人はいま、私の隣にいる
その人はいま、私の隣にいる
今は仲間がいる
かつては英雄だった
宿敵だった仲間たちがいる
激しく競い合い
戦い合いながらも
輝きを増していく
Audi famam illius. というフレーズで始まるこの歌。
公式では「あの人の噂を聞いたことがある」と訳されます。
しかし本書では、「あの人の噂を聞け」の方がより正確な翻訳になると述べています。
もし「聞いたことがある」と訳すとしたら、ラテン語は“audi”ではなく“audii”または“audivi”になるからだそうです。
ラテン語のaudiという単語は「聞け」という命令の形であるため、歌詞には意訳が含まれていることが分かります。
また、有名なラテン語のゲーム音楽としては、「ファイナルファンタジーVII」のラスボスである「セフィロス」と戦う際に流れる曲もあります。
片翼の天使で知られるこの曲。
歌い出しは、Estuans interius ira vehementi(エスタンス インテリウス イラベーヘメテ)となっており、意味は「心の中で激しい怒りに燃えつつ」です。
これは「カルミ ナ・ブラーナ」という、ドイツで発見された中世に作られた ラテン語の詩集から引用されたものです。
その後の歌詞であるSors immanis et inanis(ソースィマニス エト イナニス)は「恐ろしき、空虚なる運命よ」という意味で、これも「カルミナ・ブラーナ」からの引用とされています。
〜引用&要約ここまで〜
スマブラXのテーマソングがラテン語だったとは……。
当時は、「耳に残るテーマソングだなぁ」と感じるぐらいでした。
それにしても歌詞が熱いですね。
「今は仲間がいる
かつては英雄だった
宿敵だった仲間たちがいる 」
という部分は、Xのストーリーが分かると感慨深いです。
デデデ大王がかっこいいんですよねぇ……。
最近はスマブラSPも触ってないので、またやりたくなってきました。