タンスに小指をぶつけたとき、まるで何かが破裂したような痛みを感じる。
小指が何かにあたり、神経が特定のパターンで反応して脳に信号を送る。
この"痛み”とは一体何なのだろうか…?
痛みを生み出した体と、それを感じる心。
これらについての哲学的議論が"心身問題”である。
心身問題
小指をタンスにぶつけること(体)と痛みを感じること(心)は、本当に関係しているのか…?本当に一致しているのか…?
これらの疑問に哲学者達は立ち向かった。
痛みは、脳内で起きている神経細胞の反応に過ぎないのか。
もしそうなら、心は脳であるといえる。
しかし、痛みが神経細胞の反応以上のものであったなら、心は人間が身体と別に持っているものであると考える余地がある。
この考えを"心身二元論”と言う。
でお馴染みのルネ・デカルトもこの心身二元論者である。
心身二元論の哲学者たちは、もし心が脳と違うのであればどうやって心と脳が作用しあっているのだろう?ということを考えた。
心と体は、物質と物質が相互に作用する仕組みと同じ要領で影響し合っている…と考える哲学者がいる。
それに対し、随伴現象説を唱える哲学者は、体は心に影響を及ぼすが、その反対はない…と考えている者が多い。
今なお、心身問題は盛んに議論されている。
人工知能が心を持つことが可能かどうかも、この心身問題の議論のひとつである。